楽天の特徴・企業研究レポート
目次
- 楽天の特徴
- 主な事業
- これまで事業の歩み
- 今後の経営戦略
- 楽天や、出身者による著書
楽天の特徴
就職活動でも多くの人が利用する「みん就」の運営元でもある楽天。2012年から社内公用語を英語に切り替え、TOEIC800点以上でなければ入社できないとする姿勢を取っています。特にエンジニアの多国籍化は進んでおり、現在では東京、ニューヨーク、パリ、シンガポール、ボストンの4か国5拠点体制。会議などは基本的にすべて英語で行われています。
共通IDによる会員ビジネスを軸とした「楽天エコシステム(楽天経済圏)」というビジネスモデルで、成長を続けてきました。現在では社員1万4000人、10億人を超えるユーザーが10兆円以上の流通を生み出すプラットフォームとなっています。スポーツビジネスにも積極的で、東北楽天ゴールデンイーグルス、ヴィッセル神戸、FCバルセロナメインパートナーなど、その幅を広げています。
売上としてはインターネットサービスが65%、FinTech部門が35%ですが、利益でみるとインターネットサービスが556億円、FinTechが656億円と売上と収益の優位が逆転しています。
主な事業
インターネットサービス
ECカンパニー
楽天市場、楽天ブックス、ケンコーコム、楽天マート、ラクマ、フリル、楽天スーパーロジ、その他台湾・アメリカ・ブラジル・フランス・ドイツのECサービスほか
ライフ&レジャーカンパニー
楽天トラベル、楽天GORA、RaCoupon、楽天オーネット、楽天ウェディングほか
通信&メディアカンパニー
楽天モバイル、楽天コミュニケーションズ、楽天エナジー、Viber、楽天kobo、OverDrive、Viki、Wuaki.tv、楽天SHOWTIME
インベストメントカンパニー
Rakuten Ventures、Rakuten FinTech Fund
新サービス開発カンパニー
楽天ビューティ、楽天ダイニング、楽天車検、楽天デリバリー、楽天ポイント加盟店サービス、楽びん!、楽天カフェ、Rakuten.FM、Super Point Screen
スポーツカンパニー
東北楽天ゴールデンイーグルス、ヴィッセル神戸
オープンEC・AD・アフィリエイトカンパニー
リンクシェア / TGアフィリエイト、楽天リサーチ、エー・アイ・ピー、楽天レシピ、Infoseek、みんなの就職活動日記、Rakuten Marketing、Ebates、Slice Technologies
FinTech(金融)
カード&
楽天カード、楽天Edy、楽天スマートペイ、楽天ポイントカードほか
証券カンパニー
楽天証券
銀行カンパニー
楽天銀行
保険カンパニー
楽天インシュアランス、楽天生命
これまで事業の歩み
楽天の創業は1997年。エム・ディー・エムという社名で、従業員6名、13店舗でインターネットモールをスタートさせました。翌年には楽天オークションのサービスを開始、1999年に社名を「楽天」に変更し現在に至ります。
2000年にJASDAQへ上場した後は、「楽天トラベル」「楽天ブックス」「楽天スーパーポイントサービス」など新規事業を次々に開始。創業5年目・6,000店舗突破したタイミングで出店者への手数料を従量課金制(実質値上げ)に変更し、加盟店から激しい反発を呼びました。ただし、実際には楽天自体の集客力が大きかったため、それほど大きな収益減とはならなかったようです。
2003年には検索サイトのインフォシークを吸収合併、同年ディーエルジェイディレクト・エスエフジー証券(現 楽天証券)を子会社化。特に、DLJの買収は、今後の楽天の収益の方向性を金融方面へと変える出来事になっていきます。2004年、みんなの就職株式会社、青空カード(現・楽天カード)の子会社化など次々とM&Aを進めると同時に、東北楽天ゴールデンイーグルスを設立。日本のプロ野球界において50年ぶりの新球団設立となりました。
2005年にはTBSとの経営統合(ほとんど敵対的買収)を画策し、20%弱のTBS株を取得し3年半に渡って交渉を続けていましたが失敗。この失敗を糧に、楽天はさらにM&Aを加速させていきます。
グローバル展開をはじめたのは意外に遅く、2008年の台湾楽天市場オープンが最初です。その後はイーバンク銀行(楽天銀行)、ビットワレット(現・楽天Edy)、アイリオ生命保険(現・楽天保険)といった楽天経済圏を補完するM&Aを続ける一方で、タイのTARAD Dot Com Co., Ltd.、アメリカのby.com Inc、フランスPRICEMINISTER S.A.、ブラジルIkeda Internet Software LTDA.、ドイツTradoria GmbHなど、ロシアOZON.ru、イギリスPlay Holdings Limitedなど、フランスAlpha Direc Service S.A.S.、アメリカWebgistix Corp.など、世界のECサイト関連企業への買収・出資を強化。2011年には、楽天市場の年間流通総額が1兆円を突破しました。有名な英語の社内公用語化を開始したのは2012年。2年の準備期間を設けて開始した一大プロジェクトでした。
2013年、楽天イーグルスが日本シリーズを制覇。同年、東証一部市場変更を果たします。その後も多くの企業のM&Aや新規事業を展開する中で、サービスプロモーションのため2014年楽天カフェをオープン。2015年にはヴィッセル神戸を取得しJリーグにも参入、2017-2018シーズンにはスペインの名門「FCバルセロナ」のメインパートナーとなりました。
楽天出身の著名人には、以下のような人物がいます。
- 田中良和
- グリー代表取締役会長兼社長
- 南壮一郎
- ビズリーチ代表取締役社長
- 岸田祐介
- スターフェスティバル代表取締役社長
- 伊藤将雄
- ユーザーローカル代表取締役
- 経沢香保子
- カラーズ代表取締役社長
- 宗像淳
- イノーバ代表取締役
今後の経営戦略
Vision2020として営業利益を約2倍に成長させる戦略を立てています。楽天経済圏、ECをメインとし、これまでデジタルコンテンツ・ポータル&メディア・トラベル・通信・証券・保険・銀行・クレジットカード・電子マネーとM&Aでサービスを拡張してきましたが、しばらくは生産性の向上を図りながら既存事業の拡大に努める方針です。また、未だ収益率の低い海外事業に関しては、ブランド面から強化すべくFCバルセロナのメインパートナーとなることでサービスの加速を目指しています。
新規事業としては、メディカル事業への進出を開始。特に、ガンの新しい治療法として研究されている光免疫療法の商業化を目指す米国ベンチャーの取締役会長に三木谷氏が就任し、現在は治験を進めています。
創業20年目となる2016年度の決算では増収減益と業績が下がっており、しばらくはサービスの選択と集中が続きそうです。