ソニーの特徴・企業研究レポート

目次

  • ソニーの特徴
  • 主な事業と製品・サービス事例
  • これまで事業の歩み
  • 今後の経営戦略
  • ソニーや、出身者による著書

ソニーの特徴

家電、電子部品、金融、映画・音楽など多数の事業を展開するコングロマリット企業、ソニー。ウォークマンを始めとした製品の大ヒットにより世界屈指のブランド力を持っており、外国ではアメリカの企業と勘違いしている人も多いほどです。

戦後日本で最も成功したベンチャー企業と言われ、その自由なものづくり精神で多くの優秀な人材を集めてきましたが、2000年代以降は業績が低迷。2014年度は当期純利益が1260億円もの赤字となってしまいます。厳しいリストラに加え、VAIOの売却や、テレビ・スマホ事業の縮小など合理化を進めて、2015年度は当期純利益約1450億円と復活を果たしました。

売上比率は各事業それぞれ10~15%で分散しているものの、営業利益は金融分野に大きく依存し、2015年度の営業利益のうち50%が金融分野となっています。その他上から順にゲーム&ネットワークサービスが30%、音楽が30%、イメージング・プロダクツ&ソリューションが25%、ホームエンタテインメント&サウンドが17%、映画が13%となっています。(モバイル・コミュニケーションとデバイスの2セグメントは赤字です。)

主な事業と製品・サービス事例

モバイル・コミュニケーション

携帯電話、インターネット関連サービス事業

ゲーム&ネットワークサービス

ゲーム機、ソフトウェア、ネットワークサービス事業

イメージング・プロダクツ&ソリューション

コンパクトデジタルカメラ、ビデオカメラ、レンズ交換式一眼カメラ、放送用・業務用機器、医療用・研究用機器

ホームエンタテインメント&サウンド

液晶テレビ、家庭用オーディオ、ブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー、メモリ内蔵型携帯オーディオ

半導体

イメージセンサー、カメラモジュール

コンポーネント

電池、記録メディア

映画

映画作品の製作・買付・配給・販売、テレビ番組の制作・買付・販売、テレビ・デジタルのネットワークオペレーション

音楽

パッケージ及びデジタルの音楽制作物の販売、アーティストのライブパフォーマンスからの収入、楽曲の詞・曲の管理及びライセンス、アニメーション作品の制作・販売、音楽・映像関連商品のソリューション提供

金融

生命保険、損害保険、銀行、介護

その他

上記カテゴリーに含まれない製品やサービス、海外ディスク製造事業、その他の事業

これまで事業の歩み

1946年に井深大と盛田昭夫らによって設立された「東京通信工業」がソニーのルーツ。最初は真空管電圧計の製造・販売を行って官公庁等に納入していまいした。

1950年には日本初のテープレコーダー、1955年には日本初のトランジスタラジオと独自の製品を次々と発売。1957年に世界最小のトランジスタラジオ、世界初のFMトランジスタラジオを発売、特に前者は世界的に大ヒットしたため、トランジスタラジオのブランド名であった「SONY」に社名を変更。1958年に東証一部上場を果たしました。

1960年以降はアメリカ、香港、イギリス、スペイン、フランス、ドイツなど海外拠点を続々と設立。1968年に米国はシービーエス・インク社と合弁で現在のソニー・ミュージックエンタテインメントを立ち上げました。1970年には、ニューヨーク証券取引所に上場します。

1968年にはトリニトロンカラーテレビの開発に成功。次いで松下電器や日本ビクターなどと共同でビデオカセット(現在のDVDの前進)の規格を立ち上げるが失敗、挽回する形で1975年からは独自形式であるベータ方式のビデオを発売します。日本ビクターが開発したVHSと激しい戦いを繰り広げますがソニーがこれに破れ、以降ソニーのビデオデッキにはVHS規格が採用されるようになりました。

しかし、1979年に携帯型カセットテーププレイヤー「ウォークマン」が大ヒット。1995年には生産累計が1億5000万台まで達しました。1982年にはフィリップス社と共同でCDを開発、音楽ソフトの可能性を求め、以前合弁会社で立ち上げていた米国の音楽・映像会社を子会社化し、ソニー・ミュージックエンタテインメントとソニー・ピクチャーズエンタテインメントをソニーグループの傘下に置きました。

1994年には家庭用ゲーム機であるプレイステーション(据え置き型家庭用ゲーム機で初めて累計出荷台数が1億台を突破)、1996年の家庭用パソコンブランド「VAIO」など、いくつかのプロダクトは成功を収めます。しかし、2000年代以降はテレビやパソコン・スマホの不振で業績は低迷、巨額赤字を抱えます。2014年にはテレビ事業を分社化、2017年にはVAIO事業を売却。犬型のコミュニケーションロボット「AIBO」(1999年)や二足歩行ロボット「QRIO」(2003年)などの開発も進めていましたが、これも撤退しました。

その一方で、1990年代の規制緩和で金融事業の参入が容易化したころから本格的にスタートした、ソニー銀行(三井住友銀行との合弁)・ソニー生命保険・ソニー損保が大きく成長し、現在はソニーグループの利益の大半を稼ぎ出すまでになっています。

2009年~2012年にかけては、外国人として初めてハワード・ストリンガーが社長に就任し話題を呼びました。

今後の経営戦略

ソニーの2015年~2017年度の中期経営計画では、3つの基本方針が掲げられています。

  • 一律には規模を追わない収益性重視の経営
  • 各事業ユニットの自立・株主視点の重視
  • 各事業の位置づけの明確化

その中でも、特に成長を牽引する分野としてゲーム&ネットワークサービス分野が掲げられています。PS4やそれに付随したネットワークサービスを含めた事業展開で、2015年度の売上が前年比で50%増加するほどの拡大を見せています。

エンタテインメント事業では、デジタル化・ストリーミングサービスの隆盛という産業構造の変化を捉えて、高質なコンテンツ制作力を強みとするリカーリング型ビジネス(特定のユーザーと継続的に付き合うサービス。定額制動画サイトなど)への投資を進めていく計画です。

これまで伸びていたイメージセンサーは、スマートフォンの出荷台数が鈍化したことにより、成長の減速が予測されています。そのため、ファクトリーオートメーションの現場や車載カメラ、ドローンでの利用可能性などを新たに模索しています。

また、一度撤退したロボティクス分野に再度参入。新しく事業部を立ち上げ、AI技術を組み込んだ新しいロボットの開発に取り組むことを発表しました。

ソニーや、出身者による著書