ユニリーバ・ジャパンの特徴・企業研究レポート

目次

  • ユニリーバ・ジャパンの特徴
  • 日本での主なブランド事例
  • これまで事業の歩み
  • 今後の経営戦略
  • ユニリーバ・ジャパンや、出身者による著書

ユニリーバの特徴

世界約190カ国に多彩なブランドを展開する消費財メーカー、ユニリーバ。グローバルで400ブランド、日本ではリプトン、ラックス、ダヴなど13ブランドを展開しています。

1970年代に成長が鈍化したユニリーバは、1980~2000年代にかけて事業の選択と集中を大胆に進めて復活。日本でも、以前は柔軟剤「ファーファ」やマーガリン「ラーマ」といった商品も発売していましたが、現在国内では衣類用洗剤事業と、紅茶と委託生産商品以外の食品事業はすべて撤退しました。ユニリーバ・ジャパンの売上の9割以上が化粧品関連となっています。

2009年以降は「環境負荷を減らし、社会に貢献しながら、ビジネスを2倍に」をグローバル目標としており、日本では2015年、世界で初めて国内全事業所で利用するエネルギーを自然エネルギーに100%切り替えました。

ユニリーバグループの社員数はおおよそ179,000人ですが、ユニリーバ・ジャパンの社員数はおよそ500人と少数精鋭です。先進的な人事制度で知られており、2016年には、フレックス制度や在宅勤務制度を超えた、いつどこで働いてもOKな勤務形態「WAA」を導入。社員の働きやすさとチームの生産性向上に一役買っています。

日本での主なブランド事例

パーソナルケア

アックス、ダヴ、ポンズ、レセナ、ヴァセリン、クリア、ティモテ、モッズ・ヘア、ラクス

ホームケア

サンライト、ジフ、ドメスト

食品・飲料

リプトン、ベン&ジェリーズ

これまで事業の歩み

ユニリーバの始まりは、1880年代に生まれたイギリスの石鹸会社リーバ・ブラザーズにまで遡ります。1930年にはオランダのマーガリン会社マーガリン・ユニと経営統合、社名を「ユニリーバ」と定めました。

日本進出は、豊年精油との合弁で「豊年リーバ」を立ち上げた1964年です。当初はラードやマーガリンなどを販売していました。1974年、化粧石鹸「ラックス」で初めて国産製造を開始。1977年には社名を「日本リーバ・インダストリーズ株式会社」とし、ユニリーバの子会社となりました。(後に社名は何度か変更されます。)

ジフ・ドメスト・ティモテ・ファーファ・ヴァセリン・レセナ・ダヴなど次々とヘアケア、ホームケア、スキンケア分野の新商品を発売し、成長を続けます。1996年には、日用雑貨分野で、2002年には食品分野でオープン価格制を導入し、小売や卸業者から注目を集めました。一方新ブランドを続々と投入するだけでなく、2006年にはファーファ、2007年にはラーマブランドを含む家庭用マーガリン事業を他社へ譲渡するなど、撤退したブランドも複数ありました。

2009年にホールディングス制に移行し、社名をユニリーバ・ジャパン・ホールディングスとします。最近では、2007年「アックス」、2012年「ベン&ジェリーズ」、2014年「クリア」が新ブランドとして日本での展開を開始しました。また2015年には、日本国内で使用する電力を100%自然エネルギーに切り替えたことでも話題を呼んでいます。

ユニリーバ・ジャパン出身の著名人には、以下のような人物がいます。

上垣内猛
西友最高経営責任者、ウォルマート・ジャパン・ホールディングス最高経営責任者
福崎康平
コーチ・ユナイテッド代表

今後の経営戦略

P&Gとの大きな違いは、世界戦略「ザ・コンパス」においても「環境負荷を減らし、社会に貢献しながらビジネスを2倍に」という目標を掲げている通り、サステナビリティを非常に重要視している点です。各国のマーケティングでは、商品を地域に最適化するグローカル戦略が取り入れられており、日本では発売されていないブランドも数多く存在します。

2016年、1050億円という巨額の資金を投じ、「男性向け会員制ヒゲ剃り」という独創的なビジネスを提供する米国のヘルスケアスタートアップ、ダラー・シェイブ・クラブを買収。これ以外にも、エコフレンドリーな洗剤ブランド、セブンスジェネレーションなどといったベンチャー買収を積極的に仕掛けています。デジタル時代の変化に対応できないユニリーバが、デジタルに強く、卸や小売を通さない直販型ブランドを手に入れることで、イノベーションの種と顧客を獲得するための戦略です。リスクを取ってでもイノベーションを進めることで、P&Gと真っ向対決をしようと試みています。

ユニリーバ・ジャパンや、出身者による著書