アクセンチュアの事業内容/経営戦略
目次
- アクセンチュアの特徴
- コンサルティング事例
- これまでの事業の歩み
- 今後の経営戦略
- アクセンチュアや、出身者による著書
アクセンチュアの特徴
アクセンチュアは本社をアイルランドに置き、世界120か国以上に事業を展開、従業員数358,000人を超える米国発の巨大コンサルティングカンパニーです。ただし、アイルランドに本社があるのは税務上・法務上の理由であり、事実上の本社業務はシカゴ・ニューヨークの2拠点で行われています。あまり知られていませんが、グローバルの社員のうち1/3~半数近くがエンジニアです。
日本では現在、約7000人の社員が経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスを行っています。NRI(野村総合研究所)の社員数が約6000人弱なので、それより15%程度多い規模感となります。事業内容を5つの領域(「ストラテジー」、「コンサルティング」、「デジタル」、「テクノロジー」、「オペレーションズ」)に分け、幅広いサービスとソリューションの提供をしています。特に強みがあるのは、テクノロジーとデジタル分野です。
世界中の大手企業や政府機関へのコンサルティング経験が多く、取り扱える案件の規模は比較的大きめ。シカゴとクアラルンプールに教育施設を保有しており、世界合同での社員研修を行っています。
グローバルにビジネス分野で働きたい、テクノロジー分野に興味のある方にとっては刺激のある良い環境といえるでしょう。
コンサルティング事例
ここでは、特に日本におけるアクセンチュアのコンサルティング事例や、事業事例について挙げていきます。
- ファーストリテイリング(ユニクロ)の売上高の350%成長を、基幹業務システムのクラウドへの移行やEコマースのプラットフォーム構築などを通じて支援
- エーザイのオペレーションの一部をインドに移す「トランスフォーメーション戦略」推進(BPOコンサルティング)
- アステラス製薬との戦略的BPO契約
- ユニリーバの、SAPソリューションによるビジネス・プロセスの改革
- AGC旭硝子の、SAPソリューションによるグローバル会計統合基盤構築支援
- ユナイテッドアローズの基幹システムの刷新と保守運用、時期商品管理システムの構築
- シンガポール航空の新CEM(カスタマー・エクスペリエンス・マネージメント)システム開発
- タカラトミー、オプトとのO2Oマーケティングプログラム共同展開
- 旭化成のeコマースサイト「AKchem.com」の開設
- JICAへの総合的なITアウトソーシングサービス
- 2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けた訪日外国人向けサービス「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」
- 横浜市とオープンイノベーション分野での提携協定、ICTを活用した解決策の実証実験
- 会津大学復興支援センターの基本計画策定支援(先端ICTラボ構想)
- 社会保険庁システム・出入国管理システムの開発、検察情報システム・登記情報システム導入
これまでの事業の歩み
1953年に米国において、アクセンチュアは「アーサー・アンダーセン」の1部門として電子情報システムの開発と統合のサポートをするコンサルティング業務を開始します。1960年代よりアジア太平洋地域への業務拡大を実施し、この時に日本での業務を開始します。
1989年、従来の税務・会計ビジネスからコンサルティング部門が独立し、「経営と情報」のプロフェッショナルとしてアクセンチュアの前進である「アンダーセン・コンサルティング」が分離独立。東京事務所が設立されました。2001年には、日本法人が「アクセンチュア株式会社」に社名変更。その後は、北海道・大阪・京都・福島・熊本と拠点を増やしていきました。
2008年には、オラクル製品のシステム・インテグレーションに強みを持つ株式会社ソピアを完全子会社化(2012年に統合)。同年、経営管理本部を東京都勝どきから横浜市みなとみらいに移転します。
アクセンチュアが関与した珍しい事案としては、2006年から開始されていた特許庁の基幹系システム開発プロジェクトの中止(2012年)があります。東芝ソリューションが落札した特許庁の基幹系刷新プロジェクトが大幅に遅れたため、途中から事業管理のコンサルティングをアクセンチュアが請け負ったものの立て直すことができず、30億円超の契約金を返還しています。
東日本大震災後、2011年8月に復興支援の文脈でアクセンチュア福島イノベーションセンターを設立しました。
2016年には日本のマーケティング企業である株式会社アイ・エム・ジェイの買収を決定。優れたクリエイティブ性の獲得と、デジタルマーケティング分野の戦略立案の強化を加速させることが目的です。
アクセンチュア出身の著名人には、以下のような人物が存在します。
- 金子英樹
- シンプレクス代表取締役社長
- 羽物俊樹
- スカイライトコンサルティング株式会社 代表取締役
- 松永エリック・匡史
- 音楽家、PwCコンサルティング合同会社執行役員・パートナー
- 三谷宏治
- KIT虎ノ門大学院主任教授
- 田村誠一
- 株式会社JVCケンウッド取締役兼執行役員最高戦略責任者
- 吉松徹郎
- 株式会社アイスタイル代表取締役社長兼CEO(東証一部上場・@cosme運営)
- 遠藤直紀
- 株式会社beBitビービット代表取締役社長
- 山下泉
- かんぽ生命保険代表執行役会長
今後の経営戦略
アクセンチュア全体の売り上げは2014年度から2015年度にかけてUSドルにて3%上昇、経営状況は比較的順調です。特にデジタル関連サービスでは売り上げを前年度と比較して35%上昇させるなど、需要の高まりが伺えます。
グローバル本社でも「進歩するデジタルへの対応力によって市場での生き残りが決まる」と明言しており、確実にやってくるデジタル時代で勝ち残るべく、デジタル×戦略コンサルティングのプロジェクトを数多く手掛ける方針を示しています。