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    独自の人材育成戦略

経営幹部が、次世代のビジネスリーダーを育てる
独自の人材育成戦略

ユナイテッドが発表した、「次世代リーダーコース」採用。入社当初から役員直下の事業企画、事業戦略を担当するポストに配属し、ビジネスリーダーになるための成長機会を提供するという。CEO 早川氏、COO 金子氏には、これまでの歩みと共にどのような人材育成を志向するのかを。次世代リーダーコースを立案した執行役員の米田氏には、ユナイテッドの人材獲得・育成戦略と本案件に懸ける情熱を伺った。

Dec, 02, 2019

ユナイテッド株式会社

早川 与規 氏 ・ 金子 陽三 氏  ほか

「安定的な成長」など、存在しないのがインターネット業界

―― 近年は、一つの事業やプロダクトをスケールさせることに集中する企業が多く見受けられるが、ユナイテッドの事業ポートフォリオは多彩だ。広告プロダクトからコンシューマー向けアプリ開発にメディア運営と、インターネットに関わることは「なんでもやる」勢いを感じる。その理由を「生存戦略」として複数の事業領域を拡大させる方針からだと、早川氏と金子氏は口を揃える。

早川 もし、将来100億円、1,000億円の売上が期待できる有望なサービスが完成したとしても、明日にはGAFAが参入し、市場シェアを一気に奪っていくかもしれない。スマホのような、ディスラプティブなデバイスが現れるかもしれない。 実際ユナイテッドも、元々フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)の広告ビジネスを主軸に伸びていたのが、iPhoneの台頭で一気に窮地に追い込まれ、事業をゼロから作り直しました。インターネット上で事業を考える大前提として、単一サービスが10年、20年もの間、安定的に生き残ることは「不可能」だと認識しています。

金子 単一事業の成長を追求しすぎる結果、その事業で利益をあげることに企業構造や組織が最適化されてしまうのは、テクノロジーや社会変化によるディスラプション(急激な環境変化)が起きたときに次善の策を打てなくなってしまうリスクを孕んでいると言えるでしょう。

 私たちのビジョンは「日本を代表するインターネット企業」になること。このビジョンを見失わず、1つの事業に固執するのではなく、社会変化と共にニーズが顕在化する領域にはどんどんチャレンジしていきたい。「どんな社会になっても事業を創り続ける」のが、ユナイテッドのコアバリューです。

早川 とはいえ、ユナイテッド自体が、ユニコーンとなるような事業創造を目指していないわけではありません。むしろ、それぞれの事業について、個別に明確な戦略を持ち、ユニコーン級のビジネスに成長させようとしています。決して「小さな事業をたくさん創っておけば安泰だ」などと考えているわけではありません。 また、多くの事業を運営している分、撤退の判断にも多くの時間をかけません。良くも悪くも一度始めた事業に「執着しすぎない」ことが、ユナイテッドのカルチャーです。

―― まさに「インターネットそのもの」のように柔軟な変化を実現させているユナイテッド。そんな同社には、多様なミッションや信念を持った社員が集まっている。金子氏は「多様性こそがユナイテッドの強みであり、変化に対応できる組織たる所以だ」と強調する。

金子 多くの領域で事業を進めていますし、ユナイテッド自体が多くの企業の合併によって生まれた企業ですから、異なる価値観を受け入れる土壌があります。「インターネットはこうあるべき」と各自の持論を押し付けるのではなく、「そういう見方もあるのか」と多様性を認め合う柔軟な思考が、変化の時代に耐えうる企業カルチャーを生み出す「しなやかさ」につながっているのではないでしょうか。

早川 執行役員のメンバーを見ただけでも、外資系戦略ファーム出身者から、元々エンジニアで開発部門のトップを経て執行役員になった者まで、多様な出自の人びとが集まっています。ユナイテッドのいいところは、どんな相手であってもリスペクトを持って「学び」に転化させられる社員がたくさんいるところ。呼吸が合わない相手と仕事をすることがあったとしても、「合わない」とだけ言わず、自分の成長機会に繋げられる自責思考を持った社員がたくさんいることです。

ビジネスリーダーの要件は どう変わるのか?

―― 早川氏が語ったユナイテッドの多様な執行役員。その一人が米田氏だ。ファーストキャリアは電通、2社目はボストン・コンサルティング・グループ(以下、BCG)で、テクノロジー領域のクライアントの事業戦略・新規事業開発・営業戦略策定に取り組んできた。BCGでプロジェクトリーダーを経験したのち、 2019年3月よりユナイテッドの執行役員に就任。「若手リーダー」の一人でもある米田氏は、これからの時代のリーダーの「3つの要件」を提示する。「いかなる状況でも好奇心を持ち、チャレンジしようとするマインドセット」「複雑でスピードが早い変化の中で„ビジネスチャンス“ を抽出できる洞察力」「デザイン/エンジニアリング/アカデミアなど、自らが詳しくない領域のプロフェッショナルであっても働きかけ、協働できるチームリーダーシップ」の3点だ。

米田 転職にあたって、様々な企業の面接を受けました。最終的にユナイテッドを選んだ理由は3つあります。「①”成果主義“を徹底している」「②プロフェッショナルファームバックグランドで経験豊富な中途社員も多く、経営チームの多様性が高い」「③事業ドメインが成長著しいネット業界である」点です。

 リーダーには、複雑かつ早い変化の中でビジネスチャンスを抽出し、事業として向かうべき方向性を示せること、多様なプロフェッショナルに働きかけ/巻き込むことが求められると考えています。ただし、入社当初から全ての要件を満たす人材は極めて少ない。ですので、リーダー候補人材を見極めて採用し、成長確度をどれだけ高められるかが大事だと思っています。

 そして、ベンチャー企業が優秀な学生の採用競争を勝ち抜くためには、条件の改善もさることながら、その後の企業としての人材育成力が重要です。「新規事業に携われる」だけではなく、コンサルティングファーム等に劣らない成長を実現できる環境/制度を整えることが、ハイポテンシャル人材の採用には大事だと考えています。

ビジネスリーダーの育成に成功している企業は少ない

米田 多くの会社で「ビジネスリーダーが不足している」と叫ばれています。私は、短絡的にMBA留学やOff-JTの充実を図るだけでは、優れたリーダーを輩出することはできないと考えています。大手企業でさえも有効な解決策が示せていないリーダー育成について、ベンチャー企業においてはどうあるべきか?社内で議論を行う中でたどり着いたのは、外面のいいプログラムを準備することではなく、「徒弟制」と「個々にカスタマイズされた育成プランの提供」でした。

 この考えに至ったヒントは、BCG時代にありました。私はBCGに入るまで、電通でのマーケティング・プランニングの経験しかありませんでした。BCGでは戦略コンサルタントとしてのマインドセットや経営に必要な考え方/スキルを、先輩コンサルタントが真横の席に座って徹底的にフィードバックしています。初歩的なところではメールの文面からはじまり、論点の立て方や戦略コンサルタントとしての仕事への向き合い方等も、徹底的にフィードバックしてくれました。

―― こうした自身の経験から、米田氏はユナイテッドで、「次世代リーダーコース」という経営幹部候補を育成する仕組みを新たに構築した。このコースでは「最大3名」という選び抜かれた新入社員を役員の直下に配属し、経営層として身につけておくべき専門的なスキルやマインドセットを、マンツーマンで伝授する。また、定期的に多くの役員がディスカッションを通じて新入社員を評価し、個別カスタマイズの育成プランを提供する点が特徴だ。

米田 フィードバックを徹底的に行えるようにすること以外、決まった「型」はありません。個々人の成長サイクルや、携わっている事業のサイクルに応じて適切な手法は変わるので、パターン化できないと考えています。

 本人の成長課題を鑑みて、ストレッチした役割/ポジションへのアサイン、Off-JTプログラムの受講、社内の役員道場(役員の特命プロジェクトにアサイン)への入門等を組み合わせて、個別カスタマイズされた育成プランを実行したいと思います。

 50~100万円かかる「ミニMBA」のような特別研修受講から、新規事業の立ち上げ、既存事業の成長を担う責任者まで…。その人の適性に沿って役員陣が議論し、具体化した育成プランを実行する中で、リーダーとしての素養を身につけられるようにしたいと考えています。

 お察しの通り、多大なリソースを割くプログラムです。故に、育成の質を担保できるよう次世代リーダーコース採用の上限は3名としています。

―― ユナイテッドの役員陣は多様で、層が厚い。米田氏以外にも、アドテクの新規プロダクト開発の多くを開発した役員や、FAS(財務特化コンサルティングファーム)出身でM&Aチームを率いる役員の直下に配属され、指導を受けられる可能性もあるという。

米田 先述の通り、まずはビジネスリーダーとして身につけるべきマインドセットを叩き込みたいと考えています。常に成果を求め、挫けずに他人を頼ってでも「成果を出そう」とすること、チームで成果を最大化するためのチームリーダーシップの重要性を、特に強調したいと思います。

 マインドセットの次は、戦略策定に求められる企画スキルを学んで頂きたいと思います。初期配属では事業戦略ポストに就くことを想定しています。この中で、ビジネスモデルの捉え方、成長戦略を策定するときの企画スキルを中心に身につけていただく予定です。

 次世代リーダーコース採用の人材は、役員道場やストレッチした役割へのアサイン(例えば、新規事業責任者、既存事業企画責任者等)への抜擢で、経営上の重要な議論に携わります。時には、ボードメンバーと喧々諤々とした議論を行ったり、事業責任者としてP/Lに責任を持つ立場に就いたりします。何よりもこうしたチャレンジングな役割や責任を持つことが、リーダーに大事な胆力や自身のリーダーシップスタイルを形作るという点で重要だと考えています。

修羅場経験が胆力を養い、 個々のリーダーシップスタイルを形成する

―― 控えめに言っても、タフな環境という印象だが、「次世代リーダーコース」に選ばれた社員には、年俸600万円という、就活市場では高給とされる部類の外資戦略系コンサルティングファームにも匹敵する待遇が約束される。また先述の通り、ときには外部研修も活用し、新入社員に惜しみなく成長できる環境を与えていく。ユナイテッドは役員総出で、優秀な若手の成長にとことんコミットする構えだ。では、早川氏、金子氏が考えるリーダー像とはどのようなものなのだろうか。

早川 リーダーの仕事は「仕事を創り、価値を生むこと」。言葉にしてみると簡単そうに見えますが、実際にやりきるとなると、そうはいかない。自分のビジョンと業務内容がマッチングしなければ、良い仕事などできません。ですから、私がリーダーに求める前提としては、自分が何にこだわりを持ち、どんなことを成し遂げたいのか。自らの内面と向き合い、そういったことに答えを出していることが挙げられます。

 また、自分で仕事を作ったあとも、ブレずに高いハードルをセッティングし、チャレンジし続けられる”胆力“は必須です。自分への負荷として「高いハードル」をセッティングできるのもまた、深い内省が導いてくれるものだと思っています。

金子 「リーダー」といっても、事業家、起業家、経営者と、さまざまな事業フェーズにおける、さまざまな形がありますので、一概に「こういう風になれ」「こんな人をロールモデルにしろ」と言うことはできません。

早川 リーダー像に正解はなく、その人のキャラクター次第です。IT業界には20年以上関わっていますが、「この人うまくいくのかな?」と思った若手が起業し、後に大成功するケースも複数ありました。プロ野球に例えるとわかりやすいですけれども、イチロー選手も野茂選手も、誰かの真似をした訳ではなく、それぞれユニークなスタイルで一世を風靡してきましたしね。

金子 その前提で、それぞれが目指すべきリーダー像は、修羅場に置かれたときの「立ち振る舞い」に、傾向が現れるのではないかと思っています。例えば、修羅場に置かれたときに「部下のために頑張ろう」と思える人は、部下思いの上司タイプ。「世の中に自分の価値観を伝えたい」と思って踏ん張れる人は、起業家タイプかもしれない。修羅場に置かれたときの「逃げない理由」が、その人をもっともエンパワーメントする要素ですから、「自分がどんなリーダーを目指すべきなのか」についての見極めポイントになるのではないかと思っています。

―― 米田氏もまた、ユナイテッドで目立った活躍をしている若手の共通点として挙げられるのは「修羅場を乗り越えたかどうか」だと、強調する。その代表例として、2人の若手社員を紹介してくれた。新卒入社3年目にしてアドテクノロジー領域の事業部長に抜擢された増田潤氏(現事業戦略担当 部長)と、内定者時代に社内の新規事業創出支援プログラムに採択され、現在はインフルエンサー事業の責任者を務めるようになった村田美寿穂氏だ。

米田 増田は専門ではないプログラミング知識とエンジニアと協働する力を身につけました。今ではアプリ広告市場について社内の誰よりも詳しくなっています。村田は、当初立案した新規事業の撤退判断を経験しています。その上で事業のピボットを実現し、現在はKazaryという事業の責任者を努めています。

 二人に共通するのは、経験したこともない課題に直面しても我武者羅にやり抜く中でビジネススキルや専門性、タフな環境でも動じない胆力を養ったことです。

 プロフェッショナルファームでは自ら事業を創る機会は限定的ですが、ベンチャー企業では豊富に存在します。新たなチャレンジ機会に若手を抜擢し、その中で胆力やスキルを身につけていただきたいと思います。修羅場を経験する中で、自らのリーダーシップスタイルを確立し、更なる飛躍を遂げる為の土台を構築していただきたいと思います。

ありたき姿は、ビジネスリーダー育成に優れたベンチャー企業

―― しかし現在、多くの学生が時代の変化に耐え得る「汎用性のあるスキル」を求め、コンサルティングファームに進もうとしていることも事実だ。BCG出身の米田氏は、その現状をどう受け止めているのだろうか。

米田 私自身コンサルティングファームで素晴らしい経験を得られたので、全く反対するつもりはありません。ただ、”何となく“進路を決めるのではなく、将来ありたい自分の姿を考えてから進路を選ぶべきだと思います。「若いうちに箔をつけたいし、卒業生コミュニティに入りたいから」という理由でコンサルティングファームを選ぶ学生もいると聞きますが、そもそもOB・OGコミュニティに入ってから何がしたいのか、最低限しっかりと考えておくべきではないでしょうか。

 アメリカ・シリコンバレーのベンチャー企業を見ると、事業のピボットを軽やかに行ったり、全く違う領域の事業に手を広げたりする企業がたくさんあります。1つの事業に執着しすぎず、社会にインパクトを与えるためにどんな事業が必要なのかを常に考えている。私はユナイテッドをそんな集団にしたいと思っているんです。

 そうして、近い将来ベンチャー企業の中で、「ビジネスリーダーになるための登竜門」「ビジネスリーダー輩出企業」と言われる、「リーダー育成に優れた」企業になりたいと思っています。

 ですから、「いずれ起業家や事業家として社会にインパクトを与えていきたい」と思う学生がいるとしたら、ユナイテッドの「次世代リーダーコース」に参加するのも面白いのではないかと思っています。「次世代リーダーコース」ではユナイテッド役員が師匠となるので、新規事業や事業推進の型を持っている人から直接指導を受けられ、コンサルティングファームに劣らない成長機会となるはずです。

ユナイテッドについて詳しく知りたい方はこちら

ユナイテッド株式会社

Interviewee

早川 与規 氏

ユナイテッド株式会社

代表取締役会長CEO

早稲田大学政治経済学部卒業後、1992年、博報堂入社(営業職)。1998年、米国シラキュース大学経営大学院に私費留学。1999年、サイバーエージェント常務取締役。2000年、同社取締役副社長兼COOを務める。 2004年にモバイルサービスを展開するインタースパイアを設立、代表取締役社長CEOに就任。2009年、スパイア代表取締役社長CEOに就任。2012年12月、ユナイテッド代表取締役会長CEO に就任(現任)。

Interviewee

金子 陽三 氏

かねこ・ようぞう

ユナイテッド株式会社

代表取締役社長COO

慶應義塾大学卒業後、リーマン・ブラザーズ、ドレーパー・フィッシャー・ジャーベットソンを経て、アップステアーズを創業。2004年、同社をネットエイジキャピタルパートナーズ (現・ユナイテッド)へ売却。2012年、ユナイテッド代表取締役社長に就任。

Interviewee

米田 吉宏 氏

ユナイテッド株式会社

執行役員

慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年電通入社。2013年ボストン コンサルティング グループ入社。テクノロジー領域のクライアントの事業戦略・新規事業開発・営業戦略策定に取り組む。BCGでプロジェクトリーダーを経験したのち、2019年3月よりユナイテッド事業戦略担当執行役員に就任。