• トップページ
  • パラダイムシフトがもたらした、マーケティング新時代そのビジネスインパクトを問う

パラダイムシフトがもたらした、マーケティング新時代そのビジネスインパクトを問う

Sep, 30, 2016

株式会社ウィルゲート

小島 梨揮 氏

マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラー教授によると、マーケティングとは「顧客のニーズに応えて企業の利益を上げること」を意味する。この起点とゴールは昔から変わらないものの、昨今は新たな形態のマーケティングが広がりつつあるという。
2008年のリーマンショック後、再起を懸けたGEが“Instagram”を通じて行った施策もその形態のひとつ。航空機エンジンや発電インフラ等、同社の産業プロダクツ製造過程やその誕生ストーリーを語る「広告」が功を奏し、30%もの売上伸長を達成したとも言われている。GEの例を含む「コンテンツ」マーケティングは、現在世界的に興隆しつつあり、2010年より米国で毎年開催されている業界イベント『Content Marketing World』には、世界55ヶ国から数千名規模のマーケターが集う。
今回、日本でコンテンツマーケティング事業を展開する株式会社ウィルゲートにて、過去に2,900社に及ぶBtoBのマーケティング支援を手掛けてきた小島梨揮氏をインタビューした。以下、同氏がコンテンツマーケティングの沿革、従来型のマーケティングとの違い、企業にとっての利点から社会的な意義までを解説する。

―――はじめに、なぜコンテンツマーケティングが誕生したのでしょうか?

コンテンツマーケティングは、企業と顧客をとりまく環境の変化が要因で誕生しました。

これまで、多くの企業が主要なマーケティング手法としていた「ダイレクトレスポンス広告」(注※)は、“ニーズが顕在化している顧客”という限られたパイを奪い合う性質を持ち、インターネット広告が普及すればするほど価格の高騰が起きていました。そうなると、効果を出すためには他社よりも大きな投資が必要となってくる上に、このマーケティング手法では継続的な集客効果は見込めません。こうした背景から、一時的に顧客を呼び込むための手法だけではなく、継続的に顧客を呼び込むコンテンツに投資することが重要という考え方がうまれました。

それに加えて、顧客を取り巻く環境にも大きな変化がありました。2013年スマートフォン出荷台数の3,000万台突破、Facebookユーザーの1,000万人突破が象徴するように、スマートフォンの普及とソーシャルメディアの発達により、流通する情報量が増加してきたのです。この過剰な情報量の中から取得してもらえる情報はほんの一握り。だからこそ、企業は戦略的なコンテンツ設計を行い、ユーザーが求めている情報を必要なタイミングで発信することが大切だという考えが浸透していきました。

この2つの背景から「企業が知らせたい」情報ではなく「顧客が知りたい」情報を発信する「コンテンツマーケティング」という手法に注目が集まることになったのです。この手法では、これまでエンターテイメント領域と考えられていた「動画」「アプリ」「SNS」「ブログ」などを活かした集客・認知度の向上も可能なので、これまでのマーケティング手法よりも高い市場ポテンシャルがあると考えられています。

注※リスティング広告など、顧客の「購買行動」を促すことを目的とした広告

―――リスティング広告など従来のマーケティング手法は淘汰されてしまうのでしょうか?

いえ、顕在的なニーズのある顧客に対しては、これまでのマーケティング手法が今後も有効で、短期・中長期を見据えた最適なポートフォリオを組むことが重要になっていくといえます。そして、顕在的なニーズのある顧客向けの、一時的な広告掲載にお金を払うだけではなく、潜在的なユーザーを呼び込む有用な資産としてコンテンツを持つことが、マーケティング効果を最大化すると考えられます。

―――では、コンテンツマーケティングを成功させるには何が必要なのでしょうか?

コンテンツの企画、生産、拡散のそれぞれに成功させるポイントがあります。企画では、顧客の気持ちに沿ったリアルなカスタマージャーニーを描くこと。生産では、質の高いオリジナル記事を作成すること。拡散では、適切なチャネルで適切なコンテンツを配信すること。各々の効果を検証し、適切に設計していくというサイクルが必要ですね。

《Goodfindより解説》ウィルゲートのコンテンツマーケティング

◆ 一気通貫
コンテンツマーケティングの企画・生産・拡散・検証、これら全てを自社サービスで提供していることがウィルゲートの独自性といえる。通常個々のプロセスのみを個別の企業が請け負うが、全てのプロセスを自社サービスでやるからこそ市場ニーズをいち早くサービスに反映することが可能で、常にサービスを最適化している。

◆ 質の担保
コンテンツの生産過程で、自社クラウドソーシングサービス内のライターの属性や特長をラベリングしたり、専門性の高いライターを選定したりする等、個性を活かした執筆活動で適切な報酬を得られる仕組みを構築した。これにより、質を担保したコンテンツ生産が可能となる。

◆ 潜在ニーズへのアプローチ手法
ウィルゲートは「生活の知恵」「妊娠・育児」「家づくり」など、ライフイベント領域のメディアを保有していて、これまで埋もれていたアイデアが広く活用されるためのアイデアプラットフォームとして展開している。特定の領域に関心のあるユーザーと、オピニオンリーダーが集まる自社メディアを拡散に活用することで、企業に対してはコンテンツがより多くのユーザーの目に触れる機会を提供し、潜在ニーズへのアプローチを可能としている。

―――コンテンツマーケティングのビジネスとしての可能性は理解できましたが、社会に与えるインパクトとしては、どのような可能性がありますか?

投資できる資金が限られている中小企業にとっては、継続的に顧客を呼び込めるコンテンツマーケティングを、これまでに比べ低価格で導入できることは経営的に大きなインパクトがあります。それは、彼らが持つ優れた情報やサービスが適切なユーザーに届く社会につながると考えています。

また、ライターやメディア投稿者といったコンテンツ提供者には、「新たな働きがい」や「優れたアイデア・情報を発信する場」を提供していくことで、少子高齢化や働き方の多様化が進む社会の課題解決につなげていけるのではと期待しています。

弊社では「一人ひとりの『will』を実現する」という理念を掲げ、それを実現するために、企業・コンテンツ提供者双方の「will(=想い)」を叶える機会を提供しながら、今後も事業を成長させていきたいと思っています。

株式会社ウィルゲート

Interviewee

小島 梨揮 氏

こじま・りき

株式会社ウィルゲート

代表取締役

1986年岡山県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。 小学校の頃からの幼馴染であり、現株式会社ウィルゲート専務取締役の吉岡諒と共に18歳でネットビジネスを開始して、2006年に同社を設立。 設立間もなく組織の内部崩壊によって倒産危機に陥り、自身も1億の負債を背負うがそれを乗り越えて同社を業界トップクラスの企業へと導く。 当時の経験を経て、理念経営を掲げた組織づくりに一貫して取り組んでいる。 現在はコンテンツマーケティングとメディア事業をてがけ"一人ひとりの『will』の実現"を目指す。