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経営者の本棚 -未来を読み解くための厳選ブックリスト31冊

経営者の父を持ち、幼い頃から経営に関する本に囲まれて育ったSpeee代表である大塚英樹氏が、世の中の潮流を知るために有効な読書術と推薦図書を紹介する。世界の進化に貢献する事業を創造し続けてきた大塚氏が自らの経験を踏まえて厳選する、他には無いブックリストだ。

Jun, 04, 2016

株式会社Speee

大塚 英樹 氏

「仮説無き情報収集は不毛である」

そもそも、なぜ「知」が必要なのか。それは、自分の頭で仮説を構築するためです。より良い社会をつくりたいと考えているのであれば、常に今後世界に起きうる変化やパラダイムシフトについて自らの仮説を持っておくことが重要だと考えています。突然ですが、もしあなたがセブン-イレブンの社長だとして、あるアイスの売れ行きが落ち込んだときに、どのような施策を打ちますか? もしその商品の企画やマーケティングをより良くすることだけを考えたとしたら、長期的な利益拡大は難しいかもしれません。セブン-イレブン・ジャパンの設立者である鈴木敏文さんはこのとき、多頻度・小口配送でも利益の上がる物流システムを考えました。

なぜそのような発想が生まれたかというと、鈴木さんが人口動態や世帯構成等の社会動向の変化から「大量生産・大量消費社会から少数生産・少数消費社会へのパラダイムシフトが起きるだろう」という大胆な仮説を立てたからです。過去から未来への大きな流れから構築される仮説を持って初めて、良質なアウトプットを生み出すための情報収集ができるという一つのケースだと思います。もちろん、知識が無いと仮説を持ちようがありませんから、読書などを通して基礎としてのインプットを行うことは重要です。ただし読書においても、仮説を検証する習慣をつけることをおすすめします。最初から最後まで読み切る必要はありません。必要な部分だけ読み、自分の仮説を検証するのです。インプット後の仮説検証型読書を習慣づけることで、ある物事について考える際に、論理的帰結に至るスピードが上がります。コンサルタントなどに求められる、限られた時間と情報から素早く良質なアウトプットを導く課題解決型の思考も養われるでしょう。

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未来予測のヒントは人口動態とテクノロジーにあり

鈴木さんのように社会動向を踏まえた仮説を描く際には、人口動態に着目することも有効といえます。なぜなら、少子高齢化社会が深刻になることを誰も疑っていないように、人口動態は大きく予想が外れることの無い、数少ない指標であるからです。かつて経済が伸びているときは、専業主婦も多く社会保障費用は抑えられていましたが、共働き世帯が増加し少子高齢化が加速したために、家族だけでは高齢者を介護しきれなくなっています。これからの日本では、地域包括ケアシステムという、家族以外のプレイヤーで高齢者を支えていく仕組みを整備することが求められています。

Speeeはこうした社会の大きなトレンドを下地として事業を創出しています。医療業界に参入しているのも、少子高齢化と労働人口の減少、そして社会保障費の増大といった社会的課題を解決するために他なりません。こうした人口動態について学ぶのであれば、増田寛也さんの書籍をおすすめします。加えて労働人口減少に立ち向かう方法を考える際は、冨山和彦さんの『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP研究所)を読むとヒントが得られるかと思います。マクロ経済学者である竹中平蔵さんと日本経済のミクロに現場レベルで詳しい冨山和彦さんとの対談も、今の日本が置かれている状況を把握するのに非常に有用ですね。

このように人口動態は、時代に要請される社会のあり方を模索していくために、不可欠な情報といえます。そして、もう一つ注目したいのはテクノロジーです。テクノロジーは社会が前に進む伸びしろだといえます。テクノロジーは社会にどのような変化をもたらすか、その変化はどんな課題を解決しうるのか、ぜひ一度考えてみてください。緊急度の高い問題は国による規制も緩和されやすい領域です。そして規制緩和のときこそ、テクノロジーを活かしたイノベーションが起きうる隙間となります。

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産業構造の不備にこそイノベーションの種はある

マクロのトレンド情報から仮説を構築できたら、その仮説を検証するために周辺領域に事業の楔を打ち込みます。中心領域に踏み込んでイノベーションを起こすには、産業構造に潜む本質的な問題点の把握に必要な一次情報を集めることが重要だと考えています。業界構造を解き明かすのにこだわるのは、松井証券の松井道夫さんやユニクロの柳井正さんをはじめ、これまで新しい市場を創ってきたイノベーターの方々が、共通して構造改革的なアプローチをしているからです。

しかし私はこれまで、産業構造を知らないインターネット企業が、業界を変革する事業を立ち上げる難しさを痛いほど感じてきました。ですからSpeeeは、業界の周辺領域に軸足を置き、構造の問題点を明らかにしたうえで、中心に踏み込んで業界の構造革新を図りたいと考えています。医療事業において、地域包括ケアシステムを支える事業展開に踏み切ったのも、実際にクリニックと提携して診療所経営を間近に見たことで、業界の問題点を内側から知ることができたからです。これからもSpeeeは、社会的な「不」「負」を解決するべく、時代に即した事業創造をしていきたいと考えています。イノベーションを起こすことを志向する企業にとって重要なのは、事業そのものの連続性よりも、考え方や狙い方の一貫性ではないでしょうか。

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知識と能力、そして少しの偶発性が自分の可能性を広げる

組織の事業にしても個人のキャリアにしても、ウォーレン・バフェットさんや孫正義さんのように、覚悟を決めて早い段階でドメインを定め、長い期間打ち込むことで、複利を効かせていくことも面白いと思います。Speeeは創業時、モバイルの検索数が指数関数的に増えていくと仮説を立て、いち早くモバイルSEOというニッチな領域に踏み込んだからこそ、この領域において日本一詳しくなることができました。ただ、実際には自分がどの領域に情熱を燃やせるか分からない学生も多いと思います。そういった場合、たとえ今はこれだという領域が見つかっていないとしても、「知れること」と「できること」をバランス良く増やすことが大切です。そうすれば、おのずとフィルターを通して社会を見ることができ、やるべきことや、やりたいことが見えてきます。

企業の場合も同じです。Speeeの場合、デジタルマーケティングとメディアの運営を通じて、知識と能力を身につけられたので、「やるべきだ」と思える事業領域を見つけることができました。Speeeでは若いうちからできることを増やしてもらおうと、最速で新卒2年目にP/Lまで含めた事業の全責任を持たせます。すると決まって社員の目の色が変わりますが、これは事業家として大きく成長する瞬間ではないでしょうか。

組織や経営を学ぶ3冊


キャリアの考え方は多々あると思いますが、大切なことは「選択できること」と、「踏み込めること」です。時代の要請の大きい新領域に関わっていなければイノベーションの機会に恵まれませんし、責任を当事者として背負うという「踏み込んだ」経験がなければ、ビジネスマンとしての成長は見込めません。知識だけが増えてフットワークが重くなってしまってはもったいないので、事業家としてのキャリアに興味があるのならば、当事者としての責任を持って意思決定を下す経験を早くから積むことです。ただし、事業家になるために意図的に歩もうとしているキャリアだけに固執するのではなく、偶発性や創発性の部分を残しておくことをおすすめします。私は起業家になるという道だけを歩んできたが故に、若いうちに起業してしまい、仲間集めに苦労しました。もちろん下敷きに意図があることは前提ですが、その中である程度偶発性を許容していくと自分の可能性は広がっていくでしょう。そういった偶発性を許容した道が意外と、最短距離だったりするものです。このあたりの話は、クレイトン・クリステンセンさんの『イノベーション・オブ・ライフ ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ』(翔泳社)に書いてありますので、キャリアを選択する前に一度読んでおくことをおすすめします。

一度きりの人生、事業創造による社会創造という仕事に、共に情熱を燃やしてみませんか。

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社員がこれまでに読んだ書籍とそのレビューが時系列で分かるデータベース。誰がいつ何を読んで何を思ったかを確認することができるため、日々のフィードバックの中にも活用されている。日報で書籍が紹介されると、すぐにレビューを見て借りる社員が多いと言う。勉強好きな社員が多く、書籍が日常的に流通する文化が根付いている。

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Interviewee

大塚 英樹 氏

おおつか・ひでき

株式会社Speee

代表取締役

経営者の父をもち、幼い頃から経営者になることを志す。大学在学中からビジネスの世界に飛び込み、2007年にSpeeeを創業。