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10年・20年先にも価値が残り続けるプロダクトの創り方

外部から資金調達をしない、自己資本率100%の経営戦略

Mar, 11, 2016

株式会社Donuts

根岸 心 氏

コンテンツとプロダクトが短命化する時代 

消費者とコンテンツ、消費者とプロダクトやサービスとのつながりは、以前と比べてはるかに希薄になりつつあると感じています。動画や音楽、SNS、ゲーム、書籍、ブログといったコンテンツの種類が爆発的に多様化し、消費者の余暇時間の過ごし方もそれと比例するように細分化していることも、背景にはあるでしょう。子供の頃に見たアニメや触れたゲームを大人になってからも語り合える、そんな経験はますます得難くなってきています。まずは数を稼ぐ戦略を採る企業も増えており、まさに多産多死時代とでも呼べるような状況を迎えています。

それでも10年、20年と長きにわたり愛され続けるプロダクトやサービスを輩出していく。それが創り手としてのDonutsの矜持です。GoogleやFacebookといったインフラ化したサービスを見てみても、消費者にとって真に価値あるものは須く長続きしているもの。私たちも、やるからには絶対に成功させる、その言葉通りにロングヒット作を生み出し続けてきました。たとえば、「App Store」、「Google Play」の総合年間国内セールスランキング上位に入った『暴走列伝 単車の虎』は、リリースから約4年経った今でもトップランクを維持しています。スマートフォンゲームの寿命はたかだか数ヶ月、長くて1年とも言われる中での、異例のヒットタイトルです。

 

資金調達をしないことで生まれる、経営戦略上の強み

Donutsが、外部から資金調達をしていない自己資本率100%の未上場ベンチャーであり、かつキャッシュリッチであることは大きなキーサクセスファクターだと考えています。社外にステークホルダーが存在しないため、経営の意思決定をきわめて高速に、かつ長期的な観点からおこなえる点は明確な強みです。事業の成長はあくまでもユーザに向き合うことでしか実現できないことは明らかですから、中長期的な観点での投資判断を社内で完結させ、ポテンシャルあるプロダクトには相応の時間をかけてじっくり育てることも、合理的な意思決定となります。市場から資金調達した企業においては、外部株主から短期的な収益化への圧力が加わることもある状況とは好対照ですね。実際、自社で版権をもつ『Tokyo 7th シスターズ』はリリースまでに2年ほど開発期間を置きましたが、現在では小説・マンガ・楽曲・ライブと、多方面にわたるメディアミックスが実現しつつあるところです。

個々の社員が最大限にクリエイティビティを発揮し、ビジネスを主体的にドライブする存在となれるように工夫していることも、奏功しています。というのも、Donutsでは数名のチームがヒットサービスの創り手となっていることも珍しくありません。たとえば10秒動画コミュニティ『MixChannel』は、たった3人のチームが3ヶ月でリリースし、月間で約5・5億回もの動画再生がおこなわれる巨大サービスに成長しました。チームを小規模化させることで、一人ひとりが効率化を考え、エンジニアやプランナーといった職域を超えた働きをし、ビジネスにインパクトを与える主役となる。そんな、全員がスタートアップ企業の創業メンバーに近いワークスタイルを好み、自律的に行動できる組織となっていることも、ヒットサービスを継続して生み出せている要因の一つです。

日本、アジア、そして世界へ

プロダクトやサービスを投入する領域は限定しておらず、BtoC、BtoBのどちらの分野にも広くチャレンジしていきます。現在でもすでに、従来のエンターテインメント領域でのプロダクトに加え、BtoC領域のWebサービスとして20代前半の女子向けに展開しているメディア『ハウコレ』は月間6000万PV規模にまで成長し、BtoB領域の勤怠管理クラウドサービス『ジョブカン』も5000社以上が導入、収益化も加速しています。いずれもまったくのゼロから事業として立ち上げたもので、Webとゲームの双方で一定の存在感あるサービスが育ってきています。単に事業立ち上げをするだけではなく、また「成長性が見込まれる」フェーズも乗り越え、実際にヒットを創り上げられている点こそ、「10年・20年先にも価値が残り続けるプロダクトを創る」ビジョンを達成するための一歩一歩を進められていると実践できるところです。

新たなプロダクトやサービスは、もちろん経営陣発信でスタートを決めることもあれば、現場メンバーが手を挙げて新規に創り上げることもあります。いわばプロジェクトリーダーが「起業家」、経営陣が「投資家」としての役割を担い、社内での資金調達をおこなうべく事業計画書を練り上げ、いざGOサインが出た後には、獲得した資金の投じ方、事業成長の方針などはほぼ完全に任され、まさに一人の経営者として意思決定をしていくのです。

今後は、日本国内でもさらにプロダクトラインナップを拡大しながら、海外市場への投入および海外支社設立も加速していきます。まず第一歩として、事業ポテンシャルの大きいアジア圏への進出を見据え、『Tokyo 7th シスターズ』をまずタイでリリースしました。試行錯誤を重ね、着実に世界展開を推し進めていきます。万人の記憶に残るプロダクト創り、多くのユーザが心から楽しめるプロダクト創りに挑みたい方と、ご一緒できることを楽しみにしています。

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株式会社Donuts

Interviewee

根岸 心 氏

ねぎし・しん

株式会社Donuts

共同創業者兼取締役

東京工業大学大学院総合理工学研究科を卒業後、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に新卒1期生として入社。DeNAでは、複数の部署と横断的に関わりながら、基幹プロジェクトに従事。同社を退職後、2007年2月に株式会社Donutsを共同創業し、取締役に就任。