マーケティングは専門職で市場価値が高いと考えている方も多いだろう。しかし変化の早いこの時代では「マーケティング職においてもAIや他者に代替されにくい人材を目指す必要がある」。そう語るのはエム・シー・アイ社で活躍する二人だ。世界的製薬企業をはじめ医療・ヘルスケア業界のマーケティングを支援する二人に「求められる価値提供」や「指名される人材になるための環境」について話を伺った。
──医療業界に特化したマーケティングのプロフェッショナルであるMCIのおふたりにお聞きします。これからのマーケティングにはどのような役割が求められていますか。またマーケティング職では、どうしたら市場価値を上げていけるのでしょうか。
K.F マーケターと聞くと「専門性が高い職種でそれだけで市場価値が高い」とイメージする人もいるかもしれません。しかし変化の早い今の時代では、マーケティング職においてもAIや他者に代替されにくい人材を目指す必要があります。
マーケティングは企業の売り上げに直結し得る重要な役割ですが、実際のマーケターの仕事のほとんどは、長い間「自社製品や顧客のプロモーション活動の支援」に終始していたように思います。しかし、最近では従来のカバー範囲にとどまらず、企業のより根本的な課題解決をしていくことが求められています。当社でも顧客の販売体制や戦略、指標の立て方にまで及ぶ支援をするなど、売れる仕組みや売れるための背景にまで深く入り込む支援をすることがあります。
根本的な課題解決をするには、高い専門性を当然のように持ちながら、一方でビジネスパーソンとしての高い総合力を発揮していく、いわゆるT字型人材を目指す必要があるでしょう。
例えば広告運用やデータ分析といった部分的な作業をできる人材はたくさんいる上に、細分化された業務はある程度自動化されていくため、縦に深い知識やスキルを持つだけの人材は陳腐化していきます。数字や分析に強いだけでなく、それぞれのスキルや知見を横に統合し、課題解決ができる総合力を身につける必要があると考えます。
一方で、横に広いだけの知識やスキルでは提供できる価値レベルが低いため、競争が激しくより高度なマーケティングが求められる時代についていけません。
Y.N 私は「個の力をつけること」をキャリアの軸として、就職活動では総合系のファームなどコンサルティング業界を幅広く見た結果MCIに入社しました。入社して感じるのは、コンサルタントとして獲得した一つ一つのスキルを繋げて守備範囲を横に広げていくことと、業界に特化したプロとして顧客からの信頼を得ること、それら両方の重要性です。
マーケティング職での市場価値について私の考え方をお話しすると、多くのメーカーのマーケターは1つの製品を2-3年に渡って担当しますが、もし売れる製品を担当した場合は予算が多く面白味がある一方で、売れない製品や予算の限られた状況では売る力がつきません。その点MCIでは1年目から複数のプロジェクトに入るため、売れやすい製品も売れにくい製品も、どちらも経験することができます。
このように同じマーケティング職でも、コンサルティング業では「経験量と課題の種類の豊富さ」を得やすく、さらにはノウハウを蓄積しやすい構造のため、製品に左右されない「個の力」が付くことを実感しています。
──課題解決力は、どのようにして高めていけばいいのでしょうか。
K.F 根本的な課題に踏み込んで解決するためには、まず顧客と深く関わり理解を深める必要があります。そのため業界に特化した専門性を持つという事は非常に有効な手段だと思います。
特定の業界について知識を縦に深めていけば、業界特有の構造や課題がわかるようになり、それが顧客に信頼される基礎となります。また、一人の担当がプロジェクトの始めから終わりまで伴走することでさらに深い関係を構築できます。深い関係構築ができて初めて、顧客の抱える本質的な課題にアプローチする打席に立てると考えています。
マーケティング支援会社の中には幅広い業界を対象とする会社もありますが、MCIではヘルスケア業界に特化することで、医薬知識・医療業界に精通したプロフェッショナルコンサルタントとして、専門性の高いサービスを提供しています。
Y.N MCIのコンサルタントは、プロジェクト全体を担う総合力と業界に特化した専門性を併せ持っていますが、各自が顧客の売上に貢献するような成果を挙げると、再度仕事をさせていただく機会ができます。リピートしていただいて、プロジェクト経験を積み重ねていくことで顧客企業や製品に詳しくなり、代替されないパートナーとなっていきます。
MCIの主な取引先は世界トップの製薬企業ですが、そうした顧客から指名されるコンサルタントが社内には多数存在します。その理由は、高い個の力とプロジェクトの実績の積み重ねで顧客から得た信頼にあります。これらの循環によって業界でのMCIのプレゼンスが高まっています。
──自分が専門性をつける業界は、どのような視点で選ぶといいのでしょうか。
K.F 第一のポイントは、業界の市場規模と成長性です。伸びている業界にはお金が集まってくるため、挑戦機会が増えて自らの成長につながりますし、提案の幅やできることの余地が大きい点で面白いと思います。
また一過性の伸びではなく、長期的に盛り上がっていく業界がおすすめです。短期的に盛り上がる業界では、トレンドが落ち着いて案件が途切れてしまうと連続的な成長をしづらくなります。一方で長期的にコンサルニーズがある業界では、案件の供給量が安定するため個人のキャリアとして継続的にスキルや専門性を高めやすいと言えます。
第二のポイントは、競合の多さです。できたばかりの新しい市場で競合が少なければ、外部のコンサルタントに頼らずとも自社のマーケティングで完結する可能性があります。成熟して競合がひしめきあい、企業の課題が複雑な業界こそマーケティング支援のニーズが高く、コンサルティングの力が発揮されます。また難易度の高い課題に向き合うことでコンサルタントの力もつきます。
──MCIが特化するヘルスケア業界の将来性や特徴についてお聞かせください。
Y.N 2018年の経済産業省のレポートによると日本国内のヘルスケア産業の市場規模は2016年には25兆円、2025年には約33兆円になると推計されており、日本の産業全体の5%程度に相当する巨大市場です。
またデロイトトーマツの2020年のレポートによると2019年から23年にかけて世界の医療費が年平均成長率5%で上昇すると予想されており、また国内総生産(GDP)に占める世界の医療費の割合は2023年まで10%前後で推移するとみられ、今後も世界の高齢化に伴い医療ニーズは拡大が続くと想定されています。MCIの主なクライアントは、グローバルに展開している大手製薬企業のため、グローバル市場への成長機会も広がっています。
医薬品や医療機器といった製品は人の命に関わるため、より高い精度で質の高いアウトプットが求められていることは業界の特徴の一つです。
──最後に、ヘルスケア業界に特化したマーケティングコンサルティングファームのMCIでの成長やキャリアについて教えてください。
Y.N マーケティングリサーチという手法はある程度確立されているため、競合優位を生み出すためには「いかに課題解決するか」というプロジェクトの設計力が必要となります。数字や分析に強いだけでなく、プロジェクトを統括できる「総合力」のある人材を育成できるMCIは、今後より重宝されていくでしょう。
MCIの社員は一年目からプロジェクトの最初から最後まで深く関わり、分析力、課題発見力、戦略立案能力、プレゼン力など一つ一つのスキルを獲得することで、顧客への高い価値提供を目指しています。
私たちの一番の強みは「一気通貫」によって高いクオリティでスピーディーに解決策を提供できることです。そして、そのような仕事の進め方が顧客に指名される人材が育つための大きな要因になっていると思います。
──MCIの強みである「一気通貫」での価値提供は、なぜ他社ではできないのでしょうか。
Y.N 一気通貫でのアサインが可能なのは少数精鋭だからです。現在(2021年4月時点)マーケティングリサーチ事業部は50人規模で、個の能力が高い人材ばかりです。同業他社の、特に大手ではプロセスが分断され分業制となっていることがほとんどです。
K.F 少数精鋭のプロ集団と聞くと専門性を突き詰めるイメージを持つかもしれませんが、MCIではキャリアの拡張性があります。全員が2-3年かけてプロジェクトリーダーになった後は、チームマネジメント、後輩育成といった自社の組織成長を担うこともできますし、業界を俯瞰したリサーチの新サービスをつくることもでき、自らの意思で多様に可能性を広げていける環境です。
課題解決で指名されるほどの個の力をつけたい人や、顧客だけでなく自社の成長も担いたい人には、ぜひMCIを見ていただきたいですね。
株式会社エム・シー・アイ
Y .N 氏
株式会社エム・シー・アイ
マーケティングリサーチ事業部 マネージャー
2014年に新卒でMCIに入社。ヘルスケア業界に特化したマーケティングリサーチコンサルタントとして大手製薬企業のプロジェクトに複数従事。現在は顧客に対する責任者であるプロジェクトリーダーを担うと同時に、後輩メンバーのマネジメントも担当。
K .F 氏
株式会社エム・シー・アイ
人事部門マネージャー
2009年卒。1社目では経営企画室で人事部の立ち上げ、その後上場準備期のベンチャー企業にて採用および上場体制の整備等を経験してMCIに入社。新卒採用以外にも人事領域を広く担当。