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わずか20人で売上65億円。急成長するネット広告カンパニーの時流を掴む経営手法

現在と同じような先行き不透明な状況だった2011年に創業し、9年で65億円の売上規模にまで急成長しているリンクエッジ。わずか20人ほどの社員で高い生産性を誇る、新進気鋭のネット広告カンパニーだ。様々な逆境をものともせず躍進を続ける秘訣はどこにあるのか。同社の時流を掴む経営手法や優れた事業戦略について、代表取締役の川合幸治氏に話を伺った。

Jun, 24, 2020

株式会社リンクエッジ

川合 幸治 氏

変化の先を見据えた顧客ポートフォリオの構築

 リンクエッジを創業したのは、2011年。東日本大震災の4ヶ月後のことです。当時は未曾有の災害により先行き不透明な状況でしたが、インターネット業界に限っては売上が大きく落ち込むことはありませんでした。2008年のリーマンショックの直後も、さほど影響を受けることなく伸び続けていましたし、そのような業界特性はコロナ禍の現在も変わりません。

 とはいえ、逆境と言えるような状況下で事業を立ち上げたのは、「この領域ならチャンスがある」という確信があったからです。ちょうど人々がガラケーからスマホに移行するタイミングでもあり、スマホの利用時間が延びていたので、スマホ広告に参入すれば時流に乗って事業を伸ばすことが出来ると考えていたんです。スマホ広告はまだどの会社も経験したことがない領域だったので、急速にマーケットが拡大することを予測して参入しました。

 当社は今年で9期目を迎えますが、こうして着実に成長を続けられているのは、伸びる業界を的確に見極めてきたことが大きいと思います。

 経営する上で重視しているのは、社会の変化を加速させるようなサービスを展開する、顧客ポートフォリオをいかに構築していくかということです。例えば今であれば、Eコマースやオンライン学習、キャッシュレス領域など、オンラインでよりリアルに近い体験ができるようなサービスが伸びる傾向にあります。当社ではそのような伸びしろの大きいサービスを予測し、いち早くその領域を担う企業との接点を増やして、シェア獲得に努めています。

専門領域で競合優位性を高め、リーディングカンパニーへ

 リンクエッジはこれから数年で、アフィリエイトやその周辺にあるネット広告の領域において、競合優位性の高い総合的なリーディングカンパニーになることを目指しています。

 今後の事業展開を考える上で参考にしているのは、他の事業領域で大きなシェアを獲得している企業です。例えばネットバンクの口座開設から、ビットコイン、保証会社まで、金融に関するありとあらゆるサービスを展開している企業があります。そのような企業は単一事業で高収益をあげるのではなく、特定領域の中でのシェアを高めながら、全体で収益をあげていくという戦略です。また小売ではコスメ領域が特徴的ですが、GAFAのような巨大カンパニーからすると費用対効果が低く参入しにくい、ちょっとした専門領域でリーディングカンパニーになるというのは、最近の日本企業独自の勝ち筋だと捉えています。

 ですから私たちも、強みとしているアフィリエイト領域とその周辺事業をどんどん立ち上げて、業界内で高いシェアを獲得し、総合的に収益を出せる会社にしていきたいです。

 また、新規事業ではすでに海外事業を展開し、黒字化させています。例えば中国では、KOL(Key Opinion Leaderの略。ここでは中国市場に影響力のあるインフルエンサーのこと)と呼ばれるインフルエンサーによる広告宣伝が盛んです。一方で、日本の記事型LPやブロガーによる広告、テレビショッピングなどのノウハウはあまり浸透していません。私たちはそうした日本独自のノウハウと、海外で人気の高い日本の製品やサービスを組み合わせて輸出することで、海外進出を支援しています。

会社を変容させ続け、時代の転換期に時流を掴む

 海外事業が立ち上がり、アフィリエイト以外の事業も順調に推移しているので、当社は創業10年を目前に、65億円の売上規模にまで成長しました。社員20名ほどの小さな組織ですが、一人ひとりがコア業務に集中できる仕組みを構築しているので、高い生産性を保つことができます。

 作業をただアウトソースするだけではなく、社内に知見が少ない新しい分野に取り組む際には、その道のプロフェッショナルと契約を結んでいます。外部にブレーンを抱えて協働することで、自社にはないスキルやノウハウを効率よく得ることができるからです。もちろん全てをアウトソースして事業がコントロールできなくならないように、開発などコアとなる部分は社内に留めておくことも重視しています。

 また私自身もわからないことがあれば、その領域で成果をあげている経営者や社員に直接話を聞いたり、実際に現場を見に行ったりして、全体を把握した上で投資判断を下しています。とてもシンプルですが、非常に本質的かつ効率的な方法です。

 新型コロナウイルスの影響もあり、直近では新卒社員の教育をオンラインで行う仕組みを構築しました。これによって副次的に、内定者がアルバイトやインターンとして業務に携わり、即戦力として活躍できるようにもなりました。今後、学生は全国各地どこでもオンライン上で就業機会が得られるようになるでしょう。会社としても入社時点でのミスマッチが少なくなるので、良い変化だと捉えています。

 今は時代の転換期なので、このように会社を変容させるのは大変なことですが、変化に適応できなければ衰退してしまいます。重要なのは組織の大小ではなく、経営者が会社を変えていく意気込みを持っているかどうかです。学生のみなさんが就職活動を通して、変化に適応できる会社かどうかを見極めるものさしにもなるでしょう。

仮説を立てて実務を経験し、未来を見据えたキャリア選択を

 私は学生時代に起業を志し、ビジネス書を読み漁りながら、どの領域で事業を創るのが良いのかを考えていました。そうやって勉強を重ねていくうちに、IT領域が良いのではないかという仮説を持つようになり、ネット系企業でアルバイトを始めたんです。そこではEコマースの先駆けのような事業を行っていたのですが、大学生の自分でもちょっと学べばすぐに利益を出すことができました。そうした経験から、「IT領域はまだプレイヤーが少なく、今後も伸びていくだろう」という肌感覚を得ることができたので、新卒でITベンチャーに就職する選択をしました。

 当時はまだインターンはあまり一般的ではありませんでした。しかし今は、先ほどお話ししたように、時代の変化に適応している会社であれば、世界中どこにいたとしてもオンラインで働くチャンスがある時代です。ですから学生の皆さんには、「未来がどうなっていくのか?」「その業界は成長を続けるのか?」ということに対して自分なりの仮説を立てて、その検証をしてみることをお勧めします。実際にどうなのかという肌感覚を掴むために、その領域を担う企業で働いてみることで、自分が選ぶべき場所を見つけるヒントになるでしょう。そのようにして、10年後、20年後がどのような時代になっているのかを見据えながら、自分のキャリアを選択していく。そして、それを人生の中で繰り返していくことが大切です。

 今後のリンクエッジの成長は、どれだけ事業を任せられる優秀な人材と出会えるかにかかっています。競合優位性の高い総合的なリーディングカンパニーになるためには、海外事業に限らず、今後も新たな事業を創っていく必要があります。これから入社するメンバーには、既存事業で成果をあげてもらった後、事業経営をまるごと担ってもらうことを期待しています。

リンクエッジについてもっと詳しく知りたい方はこちら

株式会社リンクエッジ

Interviewee

川合 幸治 氏

かわい・こうじ

株式会社リンクエッジ

代表取締役

同志社大学経済学部卒。株式会社サイバード、ngi group株式会社(現ユナイテッド株式会社)と、モバイルインターネット企業を渡り歩く。2011年、株式会社リンクエッジを創業し、代表取締役に就任。