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市場との対話の数がコンサルタントの価値を決める 

「100年後の世界を良くする会社を増やす」というミッションを掲げ、ベンチャーやスタートアップ、中堅企業の成果に直結するコンサルティング支援を担うリブ・コンサルティング。今後のコンサルティング業界の変遷、そしてコンサルタントとしてのキャリアを考える上で、持っておくべき本質的な視点について代表取締役の関氏に伺った。

Feb, 28, 2020

株式会社リブ・コンサルティング

関 厳 氏

コンサルティングの裾野が広がり、
“ 当たり前化 ” する時代

リブ・コンサルティングはベンチャーやスタートアップ、中堅企業といった、これまでコンサルティングが入ることのなかった領域で、企業の成果に直結するコンサルティング支援を担い、成長を続けてきました。

現在、コンサルティング業界では大企業に対するデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)のプロジェクトが主流ですが、デジタル化需要が一巡した後は、当社が手がけている中堅・ベンチャー領域のコンサルティングがさらに伸びていくというのが私の考えです。働き方の自由度がより増していくので、それに伴い顧問や経営アドバイス的な仕事をする人も増え、コンサルティングの当たり前化が進んでいくでしょう。

その中でコンサルティングは大きく3つに分類されます。まず、不足する労働力を補うために外注する「アウトソーシング型」。次に、自らの経験や知識を切り売りしていく「経験・顧問型」。そして、私たちのように最新の知見を吸収しながら問題解決を担う「問題解決型」の3つです。

それぞれのセグメント毎に得られる報酬も異なります。「アウトソーシング型」は労働力の対価として報酬が支払われるので、個人の場合は副業で携わるくらいの金額です。「経験・顧問型」のコンサルティングは多くの社数を抱え、これまでの経験をシェアしていくスタイルで単価は10万円程度。「問題解決型」は最新の知見と問題解決力を組み合わせてコンサルティングをしていくので高めのフィーになります。

大企業に対するコンサルティングは、人手が不足する中で労働力の補完として「アウトソーシング型」が増える傾向にありますが、個人ではなく法人に発注するのは組織としての信頼感を重視するためです。一方の中堅・ベンチャーでは、労働力と合わせて知見や問題解決を求めていますから「経験・顧問型」や「問題解決型」が増える傾向にあります。

どのセグメントでコンサルティングをするのかによって、求められる能力は多少異なりますが、当然リーダーシップは共通して必要になる要素です。これまではデータやロジックに基づいてアウトプットをし、方向性を示すことがコンサルタントの主な役割でした。しかし、最近はデジタル化が進みアウトソースできることも増えているので、示した方向性に向かって組織にどう動いてもらうかまでを、コンサルタントが担う傾向が強まっています。このように課題抽出からデータ分析、戦略設計に加えて実行支援まで、コンサルタントの役割の幅が広がる中では、よりリーダーシップが重要度を増していきます。そうして事業を担う人財とコンサルタントの垣根は徐々になくなっていくでしょう。

ですから、学生の皆さんは「コンサルタントとしてどうなりたいのか」を明確にした上で、自ら方向性を示しリーダーシップを発揮することができるファームを選ぶべきだと思います。

中堅・ベンチャー企業に対する
“動的”なコンサルティングが市場を創る

業務内容という観点でお話しすると、大企業向けのコンサルティングは”静的”な仕事、中堅・ベンチャー向けのコンサルティングは”動的”な仕事だと表現できます。大きな組織の中では「どうすれば失敗しないか」「どうやったら合意を取れるか」を優先する力学が働きやすいので、ロジックがきちんと整理された状態になっていないと意思決定がなされません。大企業のマネージャーが社内をまとめるためには、誰が聞いても合理的だと思えるロジックと調整力が求められるわけです。

最近、経営にはデザインやアートのチカラが必要だと言われています。それが意味するのは何かと考えてみると、経営者やリーダー、アントレプレナーは不確実性の高い中で決断しなくてはいけないので、100%データが揃っていない状況でも、自分の経営観や経験、哲学、もしくは好き嫌いに基づいた意思決定をせざるを得ないということです。ですから、彼らのようにデザインとサイエンス両方の感覚を持ち合わせ、常に事業センスを磨いて、経営の意思決定をしている人たちの近くで仕事をする方が、経営に必要な感性を磨いていけるでしょう。

そもそもマーケットリーダーが市場を創る時代なので、たくさんのデータが取れる業界はもはやイノベーティブではないと考えています。中堅・ベンチャー領域で成長する企業の多くは、世の中にデータがないことに取り組もうとしているので、常にアートや哲学のような感性を持ち合わせて意思決定をしています。そういう"動的"な仕事をしている人たちと一緒に仕事をすれば、世の中がロジックだけで動いていないということはすぐにわかります。

皆さんが将来一流のコンサルタントへと成長し、コンサルティングを続けていくことが一番の理想ですが、常日頃から"動的"な仕事をしている権限と責任を背負った立場の人と、自らも権限と責任を背負いながら向かいあっていれば、ベンチャー企業のCXOなどコンサルタント以外の役割を担ったとしても大いに活躍することができるでしょう。

“現在価値”と”将来価値”の
両方を手がけるコンサルティングの面白み

2000年代は”ERP”、2010年代は”ビッグデータ”、そして現在は”デジタル化”と、その時々でバズワードだけが一人歩きしていますが、デジタルにより事業の効率化が進む企業数が増え、全体が底上げされなければ意味がありません。

大企業の中ではGAFAを意識したDXの動きが活発です。しかし2、3年でDXを成し遂げるためには、かなり高いハードルが存在します。なぜならGAFAのようなデジタル領域に軸足のある企業がDXに取り組むのと、これまでリアルで稼いできたアナログな企業がデジタルに移行するのとでは、その難易度は大きく異なるからです。実際には、新しいビジネスモデルを一から築きあげる程の難しさがあるでしょう。ですから「どの領域において、どういった支援をする必要があるのか」という本質を見誤らないようにすべきです。

私たちが手がける中堅・ベンチャー領域のコンサルティングの面白さは「現在価値」と「将来価値」の両方に携わることができるところにあります。「現在価値」のコンサルティングは1年以内に収益貢献するようなプロジェクトで、マーケティングやセールスの強化、生産性の向上、組織を強くするための人財育成やマネジメント層の強化などがそれにあたります。「将来価値」のコンサルティングは新規事業の立ち上げやデジタル化など、比較的新しい取り組みです。

いま大企業がコンサルティングを依頼する案件の多くは「将来価値」のプロジェクトです。事業の根幹となる「現在価値」のプロジェクトは自分たちで実行した方が良いので、リソースが不足している新規事業の立ち上げやデジタル化、つまり「将来価値」のニーズが高まっているわけです。

一方、ベンチャーやスタートアップのコンサルティングは、そのほとんどが「現在価値」の強化です。これは非常にパラドックスなのですが、ベンチャーやスタートアップ自体は3年後から5年後の未来を創る存在であるものの、実際に取り組まなくてはいけない喫緊の課題は、しっかりとした組織を構築したり、足元の売り上げを伸ばしたりすることです。

当社は2012年、リーマンショック後のまだ景気が悪い状況下で創業しました。当時はプロジェクトのほとんどが「現在価値」の領域だったので、とにかく売り上げや収益性の向上、組織の強化に必死に取り組んできたという背景があります。最近は創業期からのお取引クライアントが成長し、ベンチャーやスタートアップでの知見を求める大企業からの相談も増えているので、デジタル化など「将来価値」のプロジェクトも多く手掛けるようになりました。社内にはその両方の知見が蓄積されていますし、「現在価値」「将来価値」に関わらず、市場との対話の数が多いということはコンサルタントのキャリアにとって価値が高いことだと思います。

一見すると「将来価値」の領域は面白そうではありますが、デジタル需要が一巡した後の景気動向や企業業績次第では、「将来価値」のプロジェクトから大企業が一気に撤退する可能性も考えられるので、予測が立ちにくい側面があります。また、比較的自由度の高い「将来価値」のプロジェクトを多く手掛けているコンサルタントが、いきなり「現在価値」のプロジェクトに携わろうとしてもそのプロトコルが異なるので、中堅・ベンチャーのコンサルティング領域への参入障壁は高いと考えています。

若手が担うことのできる
コンサルティングと事業企画のキャリア

また、大企業を対象にコンサルティングをしているファームと、中堅・ベンチャーを対象にコンサルティングを手掛けている私たちとでは、事業構造上の違いがあることをしっかり理解しておくべきです。大企業を対象にコンサルティングをしているファームは、純利益で50億円を超えるような優良企業の案件が中心です。しかし、それだけ利益をあげている企業は世の中にそう多くは存在しません。つまり営業機会や提案の数が限られるので、経験の少ない若手社員に大きな裁量を与えることはリスクが大きいわけです。もちろん上司の意向や案件によっては若手にチャンスが回ってくることもありますが、組織全体としては慎重にならざるを得ません。事業構造から考えると、そうしたファームにおいて権限と責任が役職上位者に偏るのは、極めて合理的な判断だと言えるでしょう。

一方で私たちが手がける中堅・ベンチャーの領域は対象となる企業の数が多く、毎年数が増えているので、その分だけ若手の成長機会を多く生み出すことができます。新卒で入社した社員はまず2、3名のプロジェクトに携わり、早ければ2年目の終わり頃にプロジェクトリーダーとして権限と責任が与えれらます。そして3年目、4年目でマネージャーとして複数の部下を持ち、コンサルティングをしながら社内でもリーダーシップを発揮してもらいます。その先はマネージャーを統括するディレクターを経て、経営層へと上がっていくようなキャリアイメージです。当社では比較的早くプロジェクトリーダーを担う機会が訪れます。

またクライアント企業のコンサルティングに携わりながらも、新しいコンサルティング事業を作っていくことができるのも当社の特徴です。例えば、成果連動型報酬のサービスやCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)は、過去の歴史の中でコンサルティングファームが手掛けてこなかった領域ですが、若いマネージャーたちが中心となって起案し、実行までを手がけました。

大企業に対するコンサルティングサービスは提供形態が決まってしまったり、組織が硬直化してしまったりするのですが、リブ・コンサルティングの場合は事業領域やサービス領域の立ち上げなど、事業企画のキャリアも合わせて築いていくことができます。「ベストモチベーションカンパニーアワード2019」において、エンゲージメントスコア(従業員エンゲージメントの偏差値)が高い企業として第2位を受賞し、同時に開催された「モチベーションチームアワード2019」においても、当社のマーケティング&セールスグループが部署表彰を受けたことは、そのひとつの証左だと言えます。

新卒から一流のコンサルタントへ。
人財育成への想い

私自身が新卒でコンサルタントになり、創業2期目から新卒採用を行なってきたこともあり、会社としての新卒社員に対する想いや期待は大きいです。中堅・ベンチャーやスタートアップの領域で新しいものを創りあげていく際には、そもそも誰も経験したことがない事象が多いので、年齢や経験のアドバンテージはそれほどありません。むしろ伝統や格式を重んじる歴史ある企業に比べて、革新性を重視する企業文化を持ち合わせているクライアントが多いので、若いことが有利に働くこともあります。もちろんベースとなる資質の部分は大事ですが、若手でもスキルやマインドをきちんと培っていけば、一流のコンサルタントとして十分に活躍できます。

実際に私も名刺を渡す動作を教わるところから、経営について企業をどうやって成長させていくかというところまで、一通りの経験をしているので「正しい資質を持ったメンバーが正しい教育を受ければ、活躍できるようになる」と信じています。社会に出て本当に活躍している人財は中途マーケットにはあまり出てこないので、リブ・コンサルティングではダイヤの原石のような新卒人財が若いうちから市場との対話の数を重ね、活躍することができる組織を創ってきました。

ただ、社会全体に「楽をしようとし過ぎる」風潮があることには危機感を覚えています。海外に行くと物凄い勢いで新しいことを学んでいる優秀な若者と多く出会いますが、日本では今持っているスキルをどのように掛け合わせれば上手くいくかを考える傾向が強く、一人ひとりの能力をいかに高めていくかに真剣に向き合っている人が少ないような気がします。また時代の変化に対応するために、働き方の自由度を高め、フレックスやリモートワーク、副業などを推奨するのは良いことですが、それ以上に大切な"人が成長することへの関心やコミットメント"に重きを置いている企業が少ないのは事実です。

キャリア観を正しくアップデートし、
時代が求めるビジネスパーソンに

また、これまで日本のビジネスパーソンの中には「大企業の中で役職に就いて偉くなれば、キャリアの安定が得られ自由度も増していく」という共通のイメージがあったのだと思います。そのため大企業に対するコンサルティングを手がけるファームに入れば、皆が憧れるようなキャリアに繋がりやすいと考える人が多かったのでしょう。過去には大企業のコンサルティングを手掛けていたコンサルタントが、実際に大企業の役員に就いたケースもあり、目指すキャリアを手に入れるための修行の場として、コンサルティングファームには高い価値があったわけです。

しかし、インターネットやデジタル化が進む社会では、そもそも世の中の課題自体が変わってきています。また安定や自由に対する考え方も変わっているはずなのに、ただコンサルタントという言葉に憧れ、そこを目指すというのは無理があるのではないでしょうか。「なぜコンサルタントは憧れの職業だったのか」「コンサルティングで身に付くスキルは本当に有用なのか」ということを、もう一度考えてみると良いと思います。

リブ・コンサルティングは「人財育成=社会の総和を増やすこと」だと考えているので、中堅・ベンチャーへのコンサルティングにおいても、社内の組織づくりにおいても人財育成に重きを置いている会社です。スポーツの世界において選手が自由に練習に取り組んで優勝を果たす一流チームが存在しないように、ビジネスパーソンもきちんとトレーニングを積み、鍛えていかなければいけません。新卒社員に期待するということは、一人ひとりを一人前に育てていく責任が伴うと考えているので、今後も人財育成に力を注ぎながら、中堅・ベンチャー企業の課題解決においてリーダーシップを発揮できる人財をより多く輩出していきたいですね。

株式会社リブ・コンサルティング

Interviewee

関 厳 氏

株式会社リブ・コンサルティング

代表取締役社長

東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。住宅・不動産、自動車、電機メーカー、卸売など幅広い業界にて、担当企業の増収増益を実現。同社にて、史上最年少で取締役、その後専務取締役に就任し、コンサルティング部門を統括したのち、2012年、「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念に、リブ・コンサルティングを設立。コンサルティング活動以外にも講演活動を行っており、年間約5,000名を動員。著書「経営戦略としての紹介営業」(あさ出版)は、国内だけでなく韓国・タイで翻訳、発売中。