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「知見と、挑戦をつなぐ」独自のデータベースから広がるビジネスの新たな可能性

シェアリングビジネスが人々の生活に浸透し、社会が大きな変革を遂げる中、 ビジネス領域においてその存在感を強めているビザスク。唯一無二とも言える、深く幅広い独自の知見データベースはどのような広がりを見せていくのか。 自身の体験を元にビザスクを創業した端羽氏に、同社の成り立ちと未来について話を伺った。

Dec, 02, 2019

株式会社ビザスク

端羽 英子 氏

自らの起業体験から生まれたビジネスプラン

 ビザスクを創業したのは2012年です。起業するにあたり自分の人生を振り返ってみた時に、23歳で出産を経験し、一度会社を辞めたからこそ「働き続けるためには何が必要なのか」ということを自然と考えるようになっていました。その頃から、領域として”個人の稼ぐ力“に興味を持ち始めていたのだと思います。

 時を同じくして、”SHARE“という本に出会いました。AirbnbやUberなど米国におけるシェアリングビジネスの興隆を知り、個人がSNS上で社会的な信頼を築き、売り手となって稼ぐことができる時代が訪れると感じたんです。

 その本をきっかけに米国のシェアリングビジネスの先行事例を調べていると、キュレーションECが目に留まったので、具体的にビジネスプランを考えました。その後、事業についてアドバイスを貰うため、人づてにECの立ち上げに詳しい方を紹介してもらったんです。対面でお会いして、ビジネスプランについて1時間アドバイスを頂いたのですが、失敗確率2000%と言われました(笑)。

 ただ、実際にECの立ち上げ経験がある方からの指摘はあまりにも的確で、「この1時間にお金を支払いたい」と思えるほど、私にとっては有益な時間でした。そこで、その体験を元にゼロからビジネスプランを練り直し、形となったのが今のビザスクです。

一流のサービス創りに、まっすぐ向き合う

 当時、米国では既に金融業界の一部で類似のサービスがありました。日本では全く広まっていませんでしたが、マクロな観点で見た時に「日本にこのビジネスがないのはおかしい」という気持ちがありました。日本では国内の働き手が減る一方なので、これまでの働き方を見直していく必要がありますし、マーケットが縮小する中で企業は新たな取り組みを推進していかなくてはいけないので、必然的にビザスクのようなサービスが求められるようになると思ったんです。

 当初、お客様からは「新商品を開発するために、顧客になりそうな人にアイデアを壁打ちしたい」とか、「技術はあるけど、どういう使い道があるのか可能性を探りたい」とか、様々な要望をいただきました。技術は使い道を決めてから開発するものだと思っていたのですが、必ずしもそうではないということを知り、そうしたニーズを聞けば聞くほど、世の中にあるべきサービスだという確信が増していきましたね。

 同時に、事業拡大を急ぐよりも「世の中になくてはならないサービスを創ることに、まっすぐ向き合いたい」という想いも大きくなりました。「ビジネスの知見」というと地味な印象だったようで、SNSでシェアされることはほとんどありませんでした。それでも、事業を早く成長させるために著名人に声をかけてユーザーを集めたりするのではなく、独自の知見を持つ個人に「これは自分が登録するべきサービスだ」と思ってもらうことを優先させてきました。知見は本来ニーズが高いものなので、「一流であることにこだわる」ということが何よりも大切だと考えていたんです。これは現在私たちが掲げる6つのバリューの一つでもあります。

深く幅広い知見データベースから生まれる可能性

 最初はサービスの対象をヘルスケアや小売業など、特定の領域に特化した方がいいという意見もありました。ただ、人の興味関心の範囲は一つの分野や領域だけに限られるものではないので、幅広い方が良いと考えたんです。テクノロジーを用いて大量のデータベースの中から最適なマッチングを生み出すためには高度な技術力が求められます。そして、その分深みがあって範囲の広い、唯一無二の知見データベースが構築されていきます。ですから、結果としては特定の領域に特化しない選択は正しかったと思います。

 初めは人と人がマッチングし出会うところに面白みを感じていたのですが、データが蓄積されていくにつれて、データベース自体の独自性と可能性に気づき始めました。次第に「この知見データベースをより活用できないか」ということを考えるようになり、そこから新たに複数のサービスが生まれています。

 また知見データベースの活用は、企業が個人の知見を得て新規事業を興せる、事業を推進できるというメリットの他に、知見を提供する個人にとっても副次的なメリットがあります。以前ユーザー調査を実施したところ、ビザスクに登録してアドバイザーとして知見を提供することで「本業での働く意欲が高まる」と答えた方が半数を超えるという結果が得られました。本業以外でも、仕事で得た知見で、自分が世の中に必要とされていることを肌で感じることができる機会を提供することは、ビザスクが存在する一つの価値だと感じています。

 一方で、組織に属してフルコミットするからこそ達成できることや、そこから得られる経験も沢山あるので、一つの働き方を推奨するのではなく、”働く選択肢を広げる“ためのサービスでありたいと考えています。例えば人生のあるタイミングにおいて、子育てや介護など様々な理由でフルタイムの仕事を離れなくてはいけないような時に、スキルを有する個人のスキマ時間を上手く活用することで、一人ひとりの人生をより豊かにし、活躍の機会を増やすことを目指しています。

テクノロジーを駆使して、知見と、挑戦をつなぐ

 今後、積極的に取り組んでいきたいと考えていることは大きく3つあります。

 一つ目は、事業会社で新規事業開発に携わる方々に、ビザスクをもっと知ってもらえるような取り組みです。二つ目は、個人の知見活用の幅をより広げるための、知見データベースを活用したサービスやプロダクトの開発です。データの蓄積や、ユーザーの信用評価、決済に至るまで高い技術力が求められますが、様々なテクノロジーを駆使しながら、誰もが気軽に知見を得られるプロダクトを作っていきます。最後は、グローバル展開です。ビザスクはこれまで約40カ国の方々に利用されていますが、よりグローバルにビジネスを展開し仕組化していくことに力を注いでいきます。

 現在は国内に目立った競合サービスはいないと考えていますが、私たちが掲げる「知見と、挑戦をつなぐ」というミッションの実現にはまだ及びません。今のうちにどれだけ早く、遠くまで辿り着けるかにチャレンジし、圧倒的に成長するサービス創りを目指しています。

ビザスクらしいカルチャーを育み、社会に新たな価値提供を

 ビザスクには約140名のメンバーがいますが、事業に合わせて組織を柔軟に変えていきたいと考えています。できるだけ階層を設けずに、私と一人ひとりとの距離が近い状態が理想的ですね。どれくらいの規模までそういう状態を保っていけるか、チャレンジしていきたいです。

 また、スペシャリストとリーダーが同じように大事にされる組織でありたいと思います。リーダーがマネジメントをするのは一つの役割なので、上下の関係性ではありませんし、コアスキルを持つスペシャリストなくして事業は成り立ちません。少ない人数で組織を強くし、チームプレーで戦っていくためには、それぞれの役割を尊重し自分のポジションを守りながらも、一人ひとりが全体感をもって働くことが重要だと考えています。

 2019年には新卒1期生3名、2020年に2期生6名、そして2021年には3期生7名を迎える予定です。特に若手メンバーには、今ビザスクに集まっている優秀な社員たちが作ってきたものを体現しながら、新たなカルチャーを築いてくれることを期待しています。ビザスク独自のカルチャーが育まれていき、社外の人から「ビザスクっぽいよね」と言われるような人材が多く育って欲しいと願っています。10年後くらいに、ビザスク出身の起業家が生まれていたら嬉しいですね。

 最後に皆さんに企業選びについてアドバイスをするなら、「将来のことを必要以上に心配しなくていいよ」と伝えたいです。思い通りにならないことも多いですが、世の中はどんどん良くなっていますし、人生は意外と長いので何度でもチャレンジできます。市場価値という視点だけに捉われるのではなく、ぜひ今一番面白いと感じていることに飛び込んでみて欲しいですね。

ビザスクについて詳しく知りたい方はこちら

株式会社ビザスク

Interviewee

端羽 英子 氏

はしば・えいこ

株式会社ビザスク

代表取締役CEO

東京大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックスにて投資銀行業務、日本ロレアルにて予算立案・管理を経験し、MITにてMBAを取得。ユニゾン・キャピタルにてPE投資に5年間携わった後、ビザスクを立ち上げる。