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若き執行役員が語る、ディー・エヌ・エーの知られざる事業構造と挑戦環境

最先端領域での先駆者として、ヘルスケア・オートモーティブ・エンターテインメント・スポーツにおけるディー・エヌ・エー(DeNA)の知られざる事業構造と挑戦環境について、執行役員の崔(チェ)氏に語っていただきました。

Aug, 21, 2018

株式会社ディー・エヌ・エー

崔 大宇 氏

人工衛星設計に没頭した東大生時代と就職活動

東京大学時代は航空宇宙工学、具体的に言うと人工衛星を設計していたんです。木星の近くにイオという衛星があるんですけど、そこがバンバン出しているガスを集めるという不思議なことをしていました。軌道計算もとても難しいんですよね。そんな僕は就活をしながら、こんなことを漠然と考えていました。「世の中にインパクトを与える何かがしたい」、「才能あるメンバーのパワーを最大化させたい」、「変化によるストレスが心地よい」「難しいことが好きで、負けず嫌い」「文化祭前夜の熱狂感が好き」こういう会社を探していたんです。そこで出会えたDeNAはイノベーションとチャレンジに貪欲な会社でした。

二年目での社長室抜擢を経て、HR本部長になるまで駆け抜けた9年間

DeNAがどういう企業かというのは、資料からではなく、僕個人の話から感じ取っていただきたいんです。僕は入社から9年、本当に多くのチャレンジを経験してきました。まずは入社当時、DeNAに入るエンジニアは“ギーク”な感じの人が多い中、プログラミング未経験でエンジニア職を選択しました。当然ながらとても苦労したというのが最初のチャレンジになるわけです。

そして2年目、ゲームエンジニアから突然転向して社長室に抜擢され、いきなりMobage海外戦略の策定や実行を担うことに。そして同年、韓国にMobageを立ち上げました。3年目が初めてのマネージャー経験となるのですが、Mobage海外戦略を立ち上げて、上海に拠点を作ってゲームをローカライズするという任務を任され、まさしく言語レベルからのチャレンジをすることになりました。4年目、順次海外拠点の立ち上げやソーシャルゲームの協業開発。5年目はエンタメ領域へ進出し、マンガアプリ・小説サイトのグロース、アニメのコミュニティサイトの買収など。

6~7年目にキュレーション事業の事業推進部長をやっていた際に、世の中にご迷惑をおかけする事態を起こしてしまい、その対応を行っていました。8年目、AI×新領域の新規事業を推進、9年目でHR本部長。はい、チャレンジだらけですね(笑)。

たまたま運良くチャレンジ環境が近くにあったのでは?と思う方もいらっしゃるかもしれません。でも、「チャレンジは与えられるもの」ではなくて「チャレンジは自身が行うもの」なんです。自分がチャレンジしたいというwillがなければチャンスはない。例えば社長室や海外に行くチャンスって多分どの会社にもある。そこに自分が手を挙げて行こうとするかどうかが重要です。ということは、チャレンジを歓迎する企業をちゃんと探すべきなんです。そうすれば、自分自身も成長できます。

国レベルの課題と対峙し、多領域イノベーションに挑戦

世の中って課題だらけなんです。お年寄りの買い物、通院負担。検診・治療・介護記録がバラバラ。コマースの進展に伴い、ドライバー不足や長時間労働。工事など昼夜にまたがる途切れない仕事。環境・エネルギー問題…などなど。

政府の『未来投資戦略2017』で示されている国の課題は、「健康寿命の延伸」「移動革命の実現」「サプライチェーンの次世代化」「快適なインフラ・まちづくり」「Fintech」という5つ。これに対して国としても戦略を立てて解決しようとしているので、それを待つことはできます。でもそこでDeNAは自ら国レベルの課題解決に取り組んでいる、そしてその課題解決が実現可能というのが一つの魅力だと考えています。

ずばり、キーワードはAI。2009年頃インターネットが急激に普及しましたが、程なくしてIoTが普及し、カメラも車も冷蔵庫も洗濯機など、デバイスごとにネットがつながる時代がもう来ていますよね。今度は、接続デバイス数もぐんぐん伸び、情報量の爆発、通信速度のアップ、処理速度のアップが見込まれます。結果、今までできなかったことができるようになり、世の中が“AIありきのサービス創り”に変わってくるんです。

それを見越して、DeNAは具体的な事業でいうと、例えば「移動革命の実現」に向けて、日産と協業している無人運転車両を活用した新しい交通サービス「EaseRide」や、タクシー運転手側にAIがお客さんを拾えそうなルートを提供する需要予測システムの導入も予定している次世代配車アプリ「タクベル」といった事業に取り組んでいます。「健康寿命の延伸」だと、人の唾液から遺伝的傾向を解析してくれる「MYCODE」や、その他の試みとして、薬を開発する過程にAIを応用する「AI創薬」の研究なども行われています。そして少しAIから離れますが、全体的な暮らしの向上という観点で、横浜DeNAベイスターズを基軸としながら、政府や横浜市と連携してパートナー企業を巻き込みながら「まちづくり」も手掛けています。

学生からのQ&Aコーナー

Q:国レベルの課題解決ができる企業、できない企業の違いとは何でしょうか?

A:まずは、国レベルの課題に対して目を向けているかどうか。あとは資金力、政府とのコネクション、横浜の事例だとベイスターズやスタジアムとの一体経営など、様々な要因があるとは思います。あとは、最終的には課題解決したい、そしてそれを成し遂げる人材がいるかどうかに尽きると思います。


Q:事業ですが、少し手を広げ過ぎなんじゃないでしょうか?

A: インターネット業界では、他社が新しいことをどんどんやってくるので、新しいことをやらない=死、なんですね。そして、いまのこの状況が本当に「手を広げているか?」という点は、どうなんでしょうかね。DeNAの今の規模、従業員2400人で現状の事業をやっているのが果たして手を広げ過ぎなのか?あるいはこのぐらいやるならもっと人数が必要なのか?それは相対的なことなので分からないですね。ただ軸としては、AIとインターネットを中心に事業を広げていく、これは変わらないことですね。


Q:社長室に抜擢された時に同期は何人ぐらいいて、現在(2018年)と違いはありましたか?現在でも社長室に抜擢されることは可能でしょうか?

A:当時50人ぐらいなので、あまり変わっていないです。現在では社長室ポジションはなくなっているんですが、そういうチャレンジができる環境かという質問に関しては「絶対にイエス」。事業は拡大しているので、様々な機会があると思います。


Q:大学で人工衛星の設計をされていたとのことですが、今の仕事において、大学での体験が活きていることはありますか?

A:よく子供が「ねえパパ、このサインとかコサインって勉強しなきゃいけないの。将来何の役に活かせるの?」って聞くということがあると思うんですが、その考え方って違うと思っているんです。なぜなら、活きるのではなくて“活かすもの”だから。僕の経験をダイレクトに活かすなら、DeNAに航空宇宙産業を新設しない限りないと思うんです。でも、そこで培った研究への取り組み方、ロジカルな考え方、メンバーとの役割分担、あらゆることが今の僕を作り上げている。活きているからこそ今ここにいると考えています、精神論ですが。


Q:崔さんは社内で様々な挑戦をされてきましたが、退職して社外で挑戦をする方についてどう思われますか?

A:最近、本当に企業に所属しなければいけないという世界観はいつまで続くのか?ということを考えています。DeNAは副業もOKにしていますし、「クロスジョブ」と言って他部署の仕事を兼務してもいいという世界観。あとは、DeNAを辞めた人が戻ってきても良いという寛容さも含めた、輪になっていくようなイメージが未来の形なのかなと思っています。もちろん、出て行ってしまう人もいます。現状与えられている仕事よりも、もう少し大きなことを取り組みたい時に、起業してやった方が良いということにはなったりしますよね。ただ逆もしかりで、他社からも沢山人は来るんです。なので悲観すべきことではなく、そういう世界観を受け入れていきたいですね。


Q:これまでの挑戦や失敗を、どのように成長に結びつけてきたんでしょうか?

A:就活生から「成長」というワードをよく聞くので、最近「成長」について一回整理してみたんですよ。ちょっと今からお話させてください。

突然だけど、成長について語りたい

成長には2種類あると考えています。まずは何かができること、これは「スキルの成長」ですね。そしてあと1つは、何かができる自信が高まること、これは「精神の成長」。「スキルの成長」は目標に向かって順調に伸びていくんです。でも、大切なのは「精神の成長」で、この成長曲線は目標を達成したところから急激に伸びていきます。TOEIC900点とれたという結果を見たときに、「次もしかしたら950点いけるんじゃないか?」と考えたりする“俺/私できる”感。ここがチャンスなんです。僕のこれまでやってきたことを振り返ると、エンジニア、社長室勤務、中国でのマネジメントを経て、1個1個の「スキルの成長」は全くつながってない。それでも、さらに未経験のHRに対して“俺できる感”がするというのは、目標達成→「精神の成長」を繰り返しているからこそ。チャレンジは怖いんですけど、何かを成し遂げた瞬間を振り返ると、次に自分が何かできるんじゃないかと思える。そして、次にチャレンジできるチャンスが訪れた時に手を挙げることができるんですね。“俺できる感”を持っていないと、20代で執行役員になるのは無理だと思います。そういう意味で、DeNAは挑戦と成長が密接に結びついている環境だと言えるのではないでしょうか。

株式会社ディー・エヌ・エー

Interviewee

崔 大宇 氏

ちぇ・てう

株式会社ディー・エヌ・エー

執行役員 / ヒューマンリソース本部長

東京大学大学院 (工学系研究科航空宇宙工学) 卒、2010年DeNAに新卒入社。エンジニアとしてソーシャルゲームの開発に携わった後、中国など海外拠点での組織開発を担当。その後エンタメやメディア、AI領域での新規事業立ち上げを経て、2018年4月から現職。