• トップページ
  • 企業の成長と成功に大きなインパクトを与える「プロの経営参謀」のあるべき姿とキャリアとは?

企業の成長と成功に大きなインパクトを与える「プロの経営参謀」のあるべき姿とキャリアとは?

「プロの経営参謀」としてクライアントの正しい経営の意志決定を支えたい。それができる人財をひとりでも多く輩出したい。会計士として監査法人でさまざまな仕事を経験したのち、IT企業の創業も経験。その後グローウィン・パートナーズ株式会社を立ち上げた代表の佐野哲哉氏。佐野氏が語るプロの参謀論とは?

Jan, 19, 2018

グローウィン・パートナーズ株式会社

佐野 哲哉 氏

「プロの経営参謀」という言葉に込めた想い

皆さんは「参謀」という言葉を聞いた時、どんな人物像を思い浮かべるでしょうか。その人物の具体的な仕事までイメージできる人は、案外少ないかもしれません。まずは私が「プロの経営参謀」という言葉を使う時にどんな想いを込めているのかをお話ししたいと思います。

経営者には大きく分けて二つのタイプがあります。一つは事業欲が先にあって手段として会社を興すタイプ。「このサービスは必ず人の役に立つ」「この商品はきっと多くの人を喜ばせる」というアイデアや技術があって、それを世に出したいという強い気持ちを持っている人たちです。分かりやすい例をあげると、スティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏などいわゆるCEOタイプの人たちです。

もう一つは、彼らの夢を裏側で、あるいは隣でしっかりとかたちづくり、支えることで会社を育てることに寄与するタイプ。人財採用、設備投資、資金調達、マーケティングなどの仕事を統括し、ヒト・モノ・ カネ・情報といった経営資源を集めて適切に配分し、組織的に事業を構築していくことに長けている人。いわゆるCOO/CFOタイプの人です。

CEOタイプの経営者は強烈な魅力で周囲を惹きつけ、巻き込んでいく力を有しています。でも、緻密なことは得意ではないことが多い。仮に得意だとしても、ビジョンを示して事業を大きくしていく役割を担うCEOが細かい作業をするべきではありません。このタイプの経営者一人だけでは会社を大きく成長させることは難しく、時間がかかってしまうかもしれません。

ところが、そこにCOO/CFOタイプの経営者が加わることで、役割分担が明確になり、CEOは常に前に向かっていくことができるため、集団が組織へと昇華されて、企業として成長を加速することができます。この後者の在り方こそが「プロの経営参謀」です。

海外ではFacebookのザッカーバーグ氏やAmazon.comのベゾス氏のように、創業時からビジョナリーとしてCEOが残り、会社のステージに応じて、プロの経営者としてCOO/CFOを招聘し、合理的な経営チームを組織することは当たり前のように行われていますが、日本ではこうした「プロの経営参謀」として活躍できる経営人財のキャリアパスはまだ確立されていません。だからこそ、私たちのように「プロの経営参謀」を生業とし、そうした経営人財をひとりでも多く輩出することを明確な使命とする会社があってもいいと考えています。

拡大画像はこちら

会社員時代に培われた経験と強い信念

実は、大手監査法人に入社し、社会に出て会計士としてのキャリアを歩み始めるまで、私は友人同士で集まるグループの中でも、一番前に出ていくのは苦手なタイプでした。そんな私でも、入社して3年目ごろから、後輩数名とチームを組んで企業の会計監査業務を担当し、現場を任されるようになりました。

クライアントは大企業で、担当者のほとんどが自分より年長者。こちらがまだ20代の若輩者でも関係なく、ベテランの財務部長からさまざまな相談を受けたり、地方の工場に出かけた時には、工場で働く方々と深夜までお酒を飲み交わしながら、腹を割った話でその場を盛り上げたりしました。若くしてそのような人たちとの関わり方を学びながら企業の内部、経営の裏側を垣間見ることができたのは、今でも非常にいい経験だったと思っています。

一方で、会計監査という仕事に限界を感じる大きなきっかけがありました。それは、クライアントの自社ビル建設にまつわることでした。周年記念の目玉事業として華やかに計画されていましたが、当時は経済情勢が悪く、周辺の地価相場や賃貸相場を調べてみたところ、私はこの投資は会社の財務体質に打撃を与えかねないと考えました。上司には「それは監査の仕事じゃない」と言われましたが、なんとか頼み込み進言させてもらったものの、クライアントの社長や役員陣に聞き入れてもらうことはできませんでした。

残念なことに、その建設計画は途中で頓挫して大きな負債を抱えることとなり、企業売却という結果になりました。この一件をきっかけに、企業の過去の財務情報を検証することがメインである会計監査の仕事ではなく、次第に「もっと未来を向いた仕事がしたい」と考えるようになっていました。

そんな時、監査法人の中にM&A専門の部署が新設されたので志願して異動させてもらいました。ちょうど大手銀行が合併しメガバンクが登場し始めた頃の話で、当時は上場企業同士のM&Aはまだ物珍しい時代でした。M&Aを支援する仕事なら企業の経営戦略にもっとダイナミックに関われる! そう思ったのです。

そこでは刺激的な日々の連続でした。新しい部署ということもあり、パンフレットの制作や社内研修も自分たちで行うような環境の中で、多くの学びを得た有意義な時間でした。しかし、監査法人という立場上、「ダイレクトに経営の意思決定に関わりながら、クライアントを喜ばせるのは難しい」というもどかしさを感じようになってきました。そんな時に出会ったのが、前職のIT企業の創業メンバーでした。

参謀として仕事をする面白みと事業の原点

創業前の彼らが必要としていたのは、設立直後の数億円規模の資金調達。仕事を終えた後に、たびたび集まって深夜まで事業計画について語り合いました。「こういう人たちがこれからの日本を創っていくんだな」と素直に興奮したことを覚えています。

当初は自分が会社設立後の経営に関わるという考えはなく、あくまでもボランティアでお手伝いできる範囲で創業を見届けようと考えていました。しかし、会社設立の目処が立ち「一緒にやろうよ」と誘われた時に、「もっと直接的に経営を支援できる仕事がしたい」という思いが強くなり、その会社に参画することを決めました。

創業ベンチャー企業にCFOとして参画してからの日々は、まさに「一人称」で仕事をすることの楽しさと喜びを知った貴重な経験でした。壮大で魅力的なビジョンを語る経営者がいて、それを事業として具現化すべく組織化していくCOO、事業内容を翻訳して投資家に説明をする参謀役の私がいる。この強力かつ面白いチームのおかげで名だたる大企業からの資金調達を受け、スタッフも増え、IPOに向けて事業規模をどんどん拡大していきました。ポジションはCFOでしたが、経営管理部門の仕事のみならず、時には事業企画や事業提携など、経営全般にわたる仕事も担当していました。

5年の在籍中、いつも経営幹部で ディスカッションしていましたが、どんな状況においても、彼らの信念はブレることはなく、「本物のアントレプレナーだ」と感じていました。同時に参謀であり続ける自分にも限界を感じ始め、心の中に「自らも経営者というポジションにならなければ、一生かかっても彼らを理解することはできないし、同じ土俵に立つことはできないだろう」という考えが浮かびました。

では、どんな事業を興すのか?答えは、それまでの日々の中にありました。やはり「参謀」という役割が、私自身はとても面白かった。何より自分が参謀として関わったことで、会社に対して大きなインパクトを与えられたという確信があったからです。才能溢れる魅力的な経営者を「プロの経営参謀」としてサポートすることで、企業が急成長できるのです。

だったら、自分ひとりがコンサルタントのような立場で参謀をするのではなく、組織として「プロの経営参謀」を展開していこう。そうすれば、世の中により大きなインパクトを与え続けることがきっとできるはずだ。そう決意しました。当社の社名にはそんな想いが込められています。「Growth(成長)」と「Win(成功)」を支援する「Partner」でありたい。グローウィン・パートナーズという「参謀を生業にする会社」はこうして誕生しました。

いまからでも身につけることができるプロの経営参謀としての礎と経営感覚

これまでお話しした私の経験談からもわかるように、プロの経営参謀としての礎は、先天的なリーダーシップではなく、後天的に勉強や経験から学べる部分が多くあります。プロの経営参謀になるために必要なのは、「プロの経営参謀になって誰かを(企業を)サポートしたい」という強い想いです。その気持ちがあれば、どんな人でもプロの経営参謀になれる可能性があります。そして自分の置かれている環境をどのように捉えて、いかにその中で役割を果たしていくかを考え抜くことが大切です。

たとえば新人の頃に上司に連れられて行くクライアントとの打ち合せの場では、意見を求められることはほとんどありません。そんなときでも、ただ黙って座っているだけの人と、上司がどんな言葉を使ってどんな話を構築していくかをじっくり観察してその狙いを考えたり、あるいは相手側の立場に立って「こんな風に言われたら自分だったらどう受け止めるだろう」と考えたりする人とでは、たった一時間でも大きな差が開くでしょう。

仕事というのは毎日同じことの繰り返しで単調に思われることが多いのですが、決してそんなことはありません。少しずつ起こっている変化に気づくか気づかないか。自分自身の仕事との向き合い方で、得られる学びの量とスピードは大きく変わっていきます。

12年で培った事業基盤を活かし、原点回帰で未来の経営人材を創る

現在グローウィン・パートナーズはクライアントに対して一貫したコンサルティングサービスを提供できるように三つの事業を展開しています。同時に私がいくつかの企業で担ってきたような、プロの経営参謀として必要な役割が全て揃っているのも組織として面白いところです。

一つ目はフィナンシャル・アドバイザリー(FA)事業。企業のM&A戦略などをサポートする、企業が「攻める」際の参謀業務で、経験豊富なスタッフの知識・情報・経験のすべてを集結させて挑みます。

二つ目はAccounting Tech® Solution※(AcT)事業。財務経理業務プロセスのコンサルティングという「守り」の参謀業務です。RPA(Robotic Process Automation)や画像認識の技術などを使って、企業の財務経理業務を劇的に改革する仕事で、会計とIT両方に関する深い知識が必要になり、さまざまな専門性を持ったスタッフが一つのコンサルティングチームとしてクライアントのサポートを行います。

最後はベンチャーキャピタル(VC)事業です。FAが「攻め」、AcTが「守り」なら、VCは「経営の総合アシスト」という位置付けです。投資という選択肢を持つことで、当社スタッフが投資先の企業の経営参謀として、企業とともに成長していくことができます。

グローウィン・パートナーズ内のエコシステムの中で、すばらしいプロの経営者をたくさん輩出し、いつか世界を驚かせるような大成功を収める会社を世に生み出したいと考えています。

一緒に働きたいと思う人物像は、会計や財務のプロフェッショナルになりたい、という人はもちろん、専門家という枠に収まらず、CFOやCOOなど企業の参謀役として、将来経営に携わりたいという気持ちがある人です。いずれにしても、会社経営に興味がある人がいいですね。クライアントの悩みを単なる〝他人事〞ではなく、〝我が事〞として本気で考え抜き、実行できる能力が必要です。さらに付け加えるならば、与えられた目標ではなく、自ら高い目標を掲げ、それに向かって努力することを楽しめる人なら最高ですね。

※ Accounting Tech® Solution
会計ナレッジ・経理プロセスノウハウ・経営分析力×ITソリューションを組み合わせた、財務経理業務の生産性に劇的な改革を起こすコンサルティングサービス。
Accounting Tech® はグローウィン・パートナーズ株式会社の登録商標です。

グローウィン・パートナーズについてもっと知りたい方はこちら

グローウィン・パートナーズ株式会社

Interviewee

佐野 哲哉 氏

さの・てつや

グローウィン・パートナーズ株式会社

代表取締役

有限責任監査法人トーマツを経て、IT企業の設立に参画した後、2005年グローウィン・パートナーズを設立。ファンド上場企業によるM&Aの支援や上場企業・上場準備企業の管理会計制度構築コンサルティング、財務会計コンサルティング等に関与。上場企業の社外役員、TOB/MBO案件の第三者独立委員などの他、セミナーや執筆も手がける。