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起業家100人のキャリア徹底解剖-起業家になるには、どんな経験が必要か-

Feb, 13, 2017

スローガン株式会社

伊藤 豊 氏

とりわけ新規上場や大型資金調達などを行う新興成長企業の経営者である起業家たちは、どのような経験をしてきて、どのようなキャリアを歩んできた人が多いのだろうか? 大企業出身の人が多いと言われることも多いが、本当にそうだろうか。今回、そのような疑問に答えるために、注目の新興成長企業100社(※)を厳選し、各社の起業家の経歴を調査した。起業家人材の実態を分析し、傾向を正しく把握することで、将来、起業家人材を目指す人のキャリア選択のヒントになれば幸いである。

※以下の100社の起業家を調査した。100社を選択した基準は以下の3つ
(1)2013年以降の新規上場企業の中で起業家が設立した比較的新しい会社
(2)10億円以上の資金調達を実施した未上場(2015年11月時点)企業14社
(3)数億円以上の資金調達ニュースのあった企業や上場見込み、もしくは上場企業規模まで成長している新興成長企業50社

大企業出身者は全体の3割のみ 7割は大企業経験なし

はじめに、「起業家には大企業出身者が多い」は本当か? について検証してみたい。ここで言う大企業とは従業員数1000人以上の会社を指す。また、現在は大企業であっても、調査対象の起業家が就業していた時期の規模を勘案すると、当時は大企業ではなかったという細かい判定も行った。その結果、大企業での就業経験があるのは100名中32名と約3割のみで、残りの約7割は大企業での就業経験はないという結果となった。世代別に見てみても面白い。1999年以前に学校を出ている世代(Before Internet:BI世代)と2000年以降に学校を出ている世代(After Internet:AI世代)を分けると、BI世代は24名、AI世代が76名となっている。BI世代の24名のうち大企業出身は16名と66%を占める。世間で起業家は大企業出身が多いという印象を持たれるのは、この世代の印象が強いのかもしれない。しかし、BI世代はもう20年近く前に就職活動をした世代(年齢で言えば40代以降)なので、今の大学生が参考にするには、時代背景や経済環境・企業のラインナップも違いすぎて参考にならないだろう。ではAI世代の76名の中で大企業出身者は何名いるか調べてみると、わずか16名で約2割しかいない。つまり、2000年以降に社会に出ている起業家の約8割は大企業出身ではないことになる。さらに、世代を問わず大企業出身者の詳細を見てみても、その約半数はベンチャーへの転職を経て創業している。大企業を経てすぐに創業している15名のうち、4名は学生起業を経験していることを考えると、純粋に大企業での就業経験しかない人は、全体の約1割しかいない。

世代別 起業家100名のキャリアパス分布

・大企業での就業経験があるのは100名中32名と約3割
・BI世代24名中、大企業出身者は16名と66%
・AI世代76名中、大企業出身者は16名と20%
・2000年以降大学卒業生で、
純粋な大企業経験のみの起業家は全体の9%
※2015年11月調べ

コンサルティングファーム経験者は全体の1割、日系金融出身者は100名中1名のみ

コンサルティングファームは経営に近い仕事ができ、経営を学べるから将来経営者になる人が多いのでは? と考える学生も多いかもしれない。本当にそうだろうか。100名の起業家の経歴を見ると、コンサルティングファームに在籍した経験があるのは10名で全体の1割しかいない。また、コンサル経験者10名のうち全員が4年以内に辞めており、かつ5名は2年未満で辞めている点も見逃せない。さらに面白いのは、10名中8名が2004年以前の入社組で、2008年以降の入社組は2名だけ、しかもその2名はどちらも2年未満で辞めている。筆者がコンサルティングファーム界隈の知人にヒアリングした結果でも、コンサルティングファームから起業する人は昔に比べて減ってきていると聞く。予想以上に出現しなかった企業群としては、メガバンクをはじめとする日系金融業界である。日系金融出身者は100名中1名のみ(野村證券)であった。

サイバーエージェントの 藤田社長もベンチャー出身

昔ベンチャーだった会社も時代とともに大企業になる。その事実も、世の中の起業家に大企業出身者が多いと感じる一因だろう。代表的な例として、サイバーエージェント、グリー、DeNAの3社の創業者の経歴をもとに説明したい。サイバーエージェントの藤田氏は大学卒業後、インテリジェンスに入社し、サイバーエージェントを創業している。グリーの田中氏は大学卒業後、ソネットで1年弱働いた後、楽天に入社し、その後グリーを創業している。DeNAの南場氏は大学卒業後、マッキンゼーに入社し、その後DeNAを創業している。3者に共通するのは有名大企業出身者であるという点ではなく、むしろ、無名の従業員数100人以下の企業出身であること。藤田氏が入社した1997年当時のインテリジェンスは、上場3年前の未上場会社で社員数も50~100人以下の規模だったはずだ。田中氏が入社した当時のソネットは200人以下で新卒1期生だったし、その後第二新卒的に入社した楽天は創業3年の50人規模の会社だった。南場氏が入った1986年当時のマッキンゼー日本支社は50人以下の規模だったと聞いている(公式資料がなく、筆者のヒアリング調査による)。この傾向は、100名の起業家の経歴を見ても同様だ。起業家のキャリアとして予想以上に多かったのは、1社目の就職先で1000人未満の中小規模の会社を選んでいる層で41名と最多数であった。うち半数以上が従業員数100人以下のベンチャーであり、100人以上の企業についても現在は大企業となっているが当時は数百名規模の成長フェーズにあった企業であるのが特徴だ。

2000年以降に社会に出た 若い世代をロールモデルに

2000年は時代の転換点とも言える。大企業が倒産し、終身雇用神話が崩れたのは1990年代後半だった。インターネットが普及したのも1990年代末である。日本に新興企業のための株式市場(東証マザーズ)ができたのも1999年末だ。1999年以前に社会に出た人が、まず大企業に就職しているのは時代背景的に当たり前の話だったが、2000年以降徐々に様変わりしている。今の40〜50代以降の経営者の出身企業を見ても参考にはならない。今に近い時代に社会に出て活躍している起業家の経歴を調べることが重要だろう。具体的なロールモデルとして2名の起業家を取り上げた。2名はいずれもベンチャーでファーストキャリアを積み、起業家となった。彼らの語る「ファーストキャリアが与えた起業への影響」と「起業までのキャリア」は、将来、起業家を目指す人のキャリア選択において貴重なヒントであることは間違いない。

ファーストキャリアが与えた起業への影響、起業までのキャリア

株式会社フォトシンス 代表取締役社長
河瀬 航大 氏
【ファーストキャリアが与えた起業への影響】
入社1年目から新規事業を任され、事業がグロースする肌感を掴むことができました。起業時は出資などの支援や、ガイアックスマフィアと呼ばれるOBのつながりもあり、最高のファーストキャリアだったと思います。

シェルフィー株式会社 代表取締役
呂 俊輝 氏
【ファーストキャリアが与えた起業への影響】
学生時代は漠然と起業したい学生でしたが、事業の作り方やビジネスモデルなどの基礎はベンチャーのインターンで学びました。1社目の創業メンバーもそこで出会ったので、まさに起業の原点はインターンだったと思います。

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スローガン株式会社

Interviewee

伊藤 豊 氏

いとう・ゆたか

スローガン株式会社

代表取締役社長

1977年生まれ。東京大学文学部(行動文化学科心理学)卒業。外資系企業を経て、2005年末にスローガンを設立。「人の可能性を引き出し、才能を最適に配置することで、新産業を創出し続ける」をミッションに、新興成長企業へのヒューマンキャピタル面からの成長支援、および起業支援を中心とした投資活動も行う。協力した著書に、『大手を蹴った若者が集まる知る人ぞ知る会社』(朝日新聞出版)がある。