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時代が求める“私だけの感動”とスタートアップが切り拓く未来

スターバックスの “Starbucks Experience”とは、コーヒーの香りと味、店舗の雰囲気とそれに恥じない店員の振る舞い。すべてを含んだ“ここで、一杯飲む”という経験としての価値を指す。この“経験”に着目して起業した上ノ山氏に、経験の価値と可能性を尋ねた―。

Feb, 07, 2017

スタークス株式会社

上ノ山 慎哉 氏

―ビジネスを成功させる上で、需要の見極めは肝要です。上ノ山さんは、これからの社会において人々が何を求めると考えていますか

高度経済成長期のような、物を作れば売れた時代は終わり、人々は単なる物の「所有」や「機能」によっては満足しなくなりました。むしろ物を媒介して得られる ”経験”を求めるようになったのです。ここでいう”経験”とは、過去の体験、経験ではなく、「いまここで感じる身体的、精神的あるいは美的な快楽、感動」を指します 。ディズニーランドはこの最たる例ですね。

―何に感動するかは、人によって違うと思うのですが

そうですね。経験の価値は人により異なる上に”自分のために作ってもらえた”という価値の固有性・占有感も重要な要素となります。全ての人にまったく同じ対応をしていても、人は物足りないですから。ただ、この点現在ではデジタル化が進み、個人の好みをカスタマイズして提供することが可能となりました。あらゆる領域において、既製品の量販からオーダーメイドへ、パーソナライズされた価値提供が可能となりつつあるのです。

―技術的に可能だから、実現もできているのでしょうか

いえ、可能になりつつあるものの、実現できていない領域の方が広いのではないでしょうか。特にECの世界では”経験”を含むあらゆる付加価値が未発達で、「安さ」「早さ」だけが天秤に掛けられている。これって、例えるとしたら「ファーストフード」「ファストファッション」だけが売れているような世界だと思っていて。ECは、小規模でも良質なものを生産している事業主に新たな可能性を提供しうる販売手段にもかかわらず、価値あるものが評価されない流れとなっていることは、非常に残念です。

―なぜECにおいて付加価値が提供できていないのでしょうか

付加価値を提供することの投資対効果が証明されていないことは、一つの理由として挙げられます。

価格ではなく、価値で勝負し合う世の中に

消費者が注文をした後の工程での満足度を上げることで再購入へつながることが示されていないため、事業者は顧客満足度を上げることに投資するのではなく、効果の明確な広告(新規顧客を獲得するための施策)へ投資してしまうのです。しかし私は、一度買った後に、いかにお客さまが満足するか、というところに目を向けたビジネスを展開したいと思っています。

―注文後の工程に注力するために、具体的に何をすべきなのでしょうか

まず顧客が商品を注文してから、商品が届くまでの工程を効率化する必要があると思っています。ここに手一杯で、IT化もまだまだ進んでいない状況。だから私は現在、商品を届けるまでの工程を効率化できるASPサービス(インターネットなどを通じて遠隔からソフトウェアを利用させるサービス)を提供しているのです。商品が届くまでの工程が充分に効率化できたら、その後は商品を手に取ったお客さまに、どのような感動を与えるか、どのようにすればお客さまにとって忘れられない”経験”をプレゼントできるかというところに注力したいし、そういった購入後の顧客満足が、再購入とリンクするということをきちんと示していきたいと思っています。

20兆の巨大市場に、 新しい当たり前をつくる

この相関を示すことができれば、20兆円とも言われる巨大な市場を擁するEC領域において、「何によって人が喜ぶか」を思案し企画することに、各事業者が注力するような潮流を生み出すことができる。ビジネスにおいて新しい当たり前をつくることにつなげることができる。

―なぜ、上ノ山さんは ”経験”や”価値”にこだわるのでしょうか

私は、かつて価格でばかり選ばれる商品の営業をしていました。「貴方でなくてもいい」と言われながら売り歩く営業は、すごくつらかった。こんな現実をどうにか変えて、”価値で勝負し合う”のをビジネスの常識にしたい。辛苦の最中で、そんな情熱が芽生えたんです。

未来を切り拓く、小さな挑戦者たち

それに、まだ顕在化していないだけで”経験”という領域はビジネスとして無限の可能性を秘めていると思うんです。

―最後に、今後会社として目指していることや、スタークスで働くことの意味について教えてください

アドテクノロジーの領域でGoogleが世界一になったように、「何が人の心に響くか」という問いをサイエンスで解き明かすことで世界一になりたいです。そのために、”経験”という消費者体験において世界で最も先進的な日本で、採取可能なデータを蓄積する。そんな壮大な目標とロードマップを20名足らずのこんな小さなチームが掲げている。これって、ビジネスにおいて”経験”が着目され始めた今しか挑戦できないことだと思いますし、私たちにしかできないことだと思うんです。

近い将来、”経験”をECの差別化にした、つまり「未来の当たり前をつくった」と語ることができるのは、私と私の仲間だけが持つ”経験”なのです。

スタークスの説明選考会

スタークス株式会社

Interviewee

上ノ山 慎哉 氏

うえのやま・しんや

スタークス株式会社

代表取締役

1983年生まれ。大学卒業後、ダイレクトマーケティング支援事業のファインドスターに入社。新規事業立ち上げ、営業マネージャー、グループ会社役員を経験。2012年7月にスタークスを設立。代表取締役に就任。