20代の経営人財を 次々と創出する成長環境の条件

若手経営人財を育成し、メディア事業、グローバル事業、投資育成事業の3領域で成長を続けるイシン。マーケティングや採用活動、海外進出等の幅広い成長支援を手掛けてきたイシン。同社代表の片岡氏が、20代で力をつけるための環境と成長できる会社の見分け方を語る―。

Jan, 27, 2017

イシン株式会社

片岡 聡 氏

力がある会社ではなく、力のつく会社で仕事をする

―新卒採用が重視される日本において、ファーストキャリアの選択は〝重大な決断〟となっています。どのようなキャリアを目指すべきなのでしょう

前提として、バブル崩壊以来、低成長時代がずっと続いているというのが日本の現実です。人口が減少し、高齢化が進む中で、一人ひとりが生産性を上げ、付加価値の高い仕事ができるキャリアを選んでいかなければ国の経済力は維持すらできません。

―高度経済成長期は市場も拡大し、企業は必然的に成長しましたが、もはやそのような時代ではないということですね

今は大企業だからといって、これからも成長し続ける会社とは限らないですよね。現時点で会社として〝力がある会社〟ではなく、企業規模を問わず〝力のつく会社〟で仕事をしていかなければ、自分自身が生み出せる付加価値を向上させていくことはできません。

仕組み化されていない仕事の余白が、課題解決力を育む

―それでは、〝力のつく会社〟とは、どのような会社なのでしょうか

ベンチャーだから力がつくと思われがちですが、そうではありません。力のつく会社の条件は、「仕事に余白がある」、「守破離の尊重」、「組織が変化している」、この3点です。「仕事の余白」というのは、マニュアルに従えばできるような仕組み化された仕事ではなく、個人の課題解決力によってお客さまへの提供価値が変わる仕事があるかということです。イシンでは20代のうちに身に付けておくべきスキルとしてソリューション、セールス、ヒトマネジメント、ビジネスドライビング、ビジネスプランニング、アドミニストレーションがあると考えていますが、最も大切なソリューションは「仕事の余白」なくしては身に付きません。

―さまざまな課題に応えるために、新たな解決策(ソリューション)を生み出すことで力がつくのですね

はい。ただ、新しいことをやれば良いということではありません。基本が無い状態で応用は成功しない、そこで守破離が大切になります。守(基礎)を徹底的に鍛えることで、破(らしさの発揮)、離(価値創造)が可能になる。そして、そのチャンスを生むのが〝組織の変化〟です。お客さまのニーズが変化し、組織も変化することで、より難しい課題に挑戦する機会が生じる。これが力のつく会社の条件です。

―企業に触れる機会が多くない学生の場合、なかなかそういった企業の本質を見抜くのは難しいですよね。どうすれば見分けられるのでしょうか

目立つ部分でなく、細部に注目してください。イシンでは行動指針の一つに「細部」を掲げています。仕事は一事が万事であり、細部に価値が宿ります。守破離がある会社は、細かい基本的なことがしっかり徹底されています。例えば会社を訪問した際に「エントランスの傘立てに、古い傘がたくさん残っている」、そんな会社は明らかに「守」がおろそかにされていますよね。ほかにも説明会や採用サイト。つい社長さんにだけ注目しがちですが、経営陣やマネジャーなど、組織を牽引する人が異なる強みを活かして活躍しているかに注目してみましょう。力がつく環境であれば、互いに強みを補完し合える人財が必ず育っています。

年間400人以上の経営者に向き合い続ける成長環境

―イシンでは、どのように人財が育っていっているのでしょうか

イシンにも仕事の余白、守破離、組織の変化の3条件が揃っており、入社5年目の執行役員や3年目の事業責任者がいたり、入社2年目で新規事業立ち上げをしたりするなど、若いメンバーが力をつけて事業を拡大しています。なぜこのようなことが可能かと言うと、若手のうちにレベルの高い経営者にしっかり向き合っているからです。イシンでは、年間に出会う経営者の人数は社員1人あたり400人以上。経営者の高い期待に応えるソリューションを提供すべく試行錯誤し、個人も成長できるわけです。

―今後、成長のフィールドはどのように広がっていくのでしょうか

イシンの強みは、これまでに培った経営者との膨大なネットワークを活かし、旬な経営課題を常にキャッチアップすることができるところ。課題に応えるために、自治体向けの『自治体通信』や投資家向けの『IR通信』などの新規メディアや、スタートアップへの投資育成事業、経営者向けのWebサービスなどを次々とスタートさせています。

また、国内だけでなく、海外にもシンガポール、シリコンバレーに現地法人を設立し、これまでの経営者ネットワークを活かして企業の海外進出を支援し始めています。2016年には日本企業とシリコンバレーの厳選されたスタートアップをつなぎ、オープンイノベーションを促進するイベントを開催しました。今後もイシンでは、グローバルな視点で経営人財を育みながら、差別化されたビジネスを生み出し続けていきます。

イシン株式会社

Interviewee

片岡 聡 氏

かたおか・さとし

イシン株式会社

代表取締役社長

2004年リクルートに入社、HR領域にて、営業・営業企画・商品企画ゼネラルマネージャーを担当。2013年にイシンに参画し、取締役に就任。2015年より代表取締役社長として、中期戦略の構築、新領域への参入、経営人財育成などを牽引。