人生は、決して計算通りにはいかない

商社、MBA、コンサル、外資金融、起業というキャリアを歩みましたが、実は、もとから意図していたわけではありません。自分のキャリアも会社の経営も、自分の計算した通りになるほど甘くはありません。私も成功だけでなく数々の失敗を経て、現在に至ります。実際には、成功する人とそうでない人とを分けるのは、本人の実力だけでなく、「運」にも左右されます。ただし、運は全くの「偶然の産物」ではなく、個人の意識次第で変わります。つまり、いかに成功確率の高いところにいることができるか?チャンスが巡ってきた時の準備ができているか?が重要だと思います。自分の将来を計算することは大事ですが、もっと大事なことは、自分の予想通り行かなかった時はどうするのか?どうすれば失敗の可能性が減るのか?計算通りにいかない場合までを、考えて、考えて、考え抜くことです。

海外のトップエリートたちは、三井物産を知らなかった

在学中に友人とコンピュータ会社を起業して、順調に20人規模の会社にまで成長しましたが、大学6年目のときに売却して、総合商社に就職しました。当時は学生起業家で会社を上場させた例もなく、このまま経営しても中小企業の域を脱せないと感じたからです。外国を飛び回るかっこいい商社マンをイメージして入社したものの、実際の配属は経理部。総合商社に限らず、大手企業では、自分の希望通りに配属されるわけではありません。さらに、経理を頑張って重宝されてしまうと、営業にも行けなくなりそうでした。そこで、営業に行く方法を考えた結果、MBAを目指し猛勉強しました。なんとかUCLAに入りまず驚いたのが、当時、海外では日本の大手商社など誰も知らなかったこと。トップエリートである彼らは、自費で入学していて、卒業後の就職先としてコンサルティングファームや投資銀行を熱っぽく語っていました。カルチャーショックを受け、私も退路を断とうと渡米後1ヵ月で三井物産を退職して勉強に励み、その傍ら就職活動を行ってボストンコンサルティンググループに入社しました。

コンサルティングと投資銀行で感じた魅力と限界

コンサルティングファームでの経験は、非常に知的要求水準の高い仕事で、かつ多くのスキルを学べました。一方で、考えてみれば当たり前ですが、MBAとは言え実際の経営者を超える経営能力・経験が身に付いているわけではなく、実際にはクライアントが既に内心では決定している経営戦略を、社内政治のために裏付ける役割を担うこともあります。また、時間単位でフィーが発生するビジネスモデルにも限界を感じました。人間、24時間365日を超えて働くことはできず、体力の限り働いても収入面でも限界があるからです。

その後、たまたま東京でゴールドマン・サックスがプライベートバンキングを立ち上げるという話があったので、プロジェクトに参画しました。富裕層の方々の資産運用をサポートする仕事ですが、実はこの時が初めての営業経験になりました。世界中の金融資産から様々な提案ができ、時にはオーダーメイドの金融商品を作れるという、非常にエキサイティングな仕事で、時間単価ではないので、成功すれば報酬もハネ上がります。ただし、実際には、入社してみると、ゴールドマン・サックスの研修は脱落者もでる軍隊式の激しいトレーニングでした。さらに、1年以内に一定の預かり資産が出来ないと自動的にクビという厳しいプレッッシャーもあります。その中で、研修で学んだ成功者のコツを真似して、1年目に幸運にも世界一の営業成績をあげることができました。一方で、「成功者は一握り」という厳しい環境の中で、月収数千万円という異常な状態が一体いつまで続けられるのか不安もありました。また、多くの上場企業の社長たちとお付き合いさせていただく機会に恵まれ、自分も事業家として挑戦してみたい気持ちが次第に強くなり、起業しました。

かっこいいことをやるのはダメ。地味で泥臭くあるべし

経営やビジネスをわかったつもりで、いきなり派手なことをやろうとしたため、実は最初に起業した会社では大失敗をしました。当時、海外で発展したREITビジネスを日本で始めようとファンドを作って何十億もの立派なビルを買いましたが、創業と同時にITバブルが崩壊して思ったような資金も集まらず、夜も眠れないほど、崖っぷちの状態も経験しました。

人はどうしても派手でかっこいい方をやりたがるものですが、実は、地味で安いものを扱う方が、取引量が多く、再現性のあるビジネスモデルが組めます。たとえば、ユニクロは安く服を作って、安い商品を数多く売って利益を出すことを何百万回と繰り返しています。これが再現性のあるビジネスモデルです。何十億ものビルを安く買って高く売るのは、実際にはそんなに何度も繰り返せません。ビジネスモデルとは、何万回やっても同じように成果を再現できるものでなければなりません。この考え方を不動産の分野で実践したのが今のスター・マイカです。憧れの新築高級マンションではなく、ボリュームゾーンである2000万円前後の中古マンションの売買に特化して、堅実かつ安定的なビジネスモデルを確立しました。金融危機以降、多くの企業が倒産・赤字を出しましたが、そんな環境でも安定して利益を確保できています。

一流のプロフェッショナルを目指す上での3つの規律

数多くのプロフェッショナルと接してきた経験から、プロフェッショナルの条件は三つあると考えています。

一つ目は、「他人事ではなく主体性をもつ」こと。お客様を会社ではなく自分個人のクライアントだと考えることで、常に主体的な思考になります。同様に、自分が経営者だったら、という仮定のもとに考え、意思決定することです。

二つ目は、「勉強の癖をつける」こと。実は読書は有効です。現場から学ぶことも大事です。ただ仕事をこなすのではなく、そこから何を学ぶかを常に意識することです。

最後に三つ目、「常に実践を考え、特にレバレッジする方法を考える」こと。これは単純で、成功者のマネをするのが成功への一番の近道です。変にプライドを持たず、素直に一流の小技を盗むことで仕事のパフォーマンスを効率的に高められます。そして、成功の可能性、失敗した時の選択肢までを、常に、考えて、考えて、考え抜くことです。

スター・マイカ株式会社

事業内容:「中古マンション事業」「インベストメント事業」「アドバイザリー事業」の3つの事業を展開する。特に「中古マンション事業」は、ファミリータイプの中古マンションに1室単位からというユニークな投資を行なっている。マンションのスピード査定や、少額多数物件での資金調達ノウハウが強みであり、常時売買価格を積極的に提示することで、中古マンション業界における「マーケットメイカー」としての地位を築いている。
所在地: 〒107-0052 東京都港区赤坂2-17-22 赤坂ツインタワー本館2F