※本インタビューは2007年当時に取材し作成したものです

東京大学ではどのような学生生活でしたか?

まあひと言で言うなら、ひどい学生でしたよ。 二年生までは駒場キャンパスに通っていましたが毎晩渋谷で飲んで、そのまま駒場寮(注:98年に閉鎖)に転がり込んで寝ていました。それから、本郷に移ってから自主留年したので三年間いました。その間に出席した授業は2コマくらいだったかな(笑)。あとはゼミを2つくらいとった程度で学校には授業にほとんど出ていないですよ。 そんなどうしようもない大学生活だったけど、いい友人はたくさん出来ましたね。授業には出ませんでしたが、友達に会うために大学に行っていました。今でも年に一回、駒場の時のクラスの同窓会をしますが毎回30人以上出席しますよ。 大学時代は、どちらかというと社会勉強ばかりしていましたよ。

才能や努力ではコントロール出来ないリスクを一番避けたいと思った

大学卒業後、外資系証券会社のソロモン・ブラザーズ・アジア証券に入社されておりますが、当時の東京大学の法学部だと官庁や法曹にいく学生が多かった中、なぜ外資企業を選ばれたのですか?

よく、「当時外資系企業を選ぶなんてリスクをとられましたね」と言われたりしますが、私としては「リスクを回避する」ために選んだのが外資系企業でした。銀行、商社、官庁などに行ったりすると上司に恵まれなかったり、コネクションがなかったら出世できなかったりするのではないかと思ったのです。自分の才能や努力ではコントロールできないリスクを一番避けたいと思いました。それに対して、外資系は実力主義でしたから、自分自身の実力で憂き目にあうなら、それは仕方がないと思えるのではと考えたのです。

そういったリスク感覚や実力主義への志向性はどこで身についたのでしょうか?

まず父親がそういった考えを強く持っていましたね。父から、批判精神を強く持ち、常に自分で考えて行動するように教育されました。

松本 大 マネックス証券株式会社 メッセージ また、21歳のときに初めて海外に行きました。そのとき、一緒に行った友人のお母さんが私にただで航空券をくれました。友人の家は会社経営をしていて相当な資産家でした。今考えると航空券はたいした金額ではないのですが、それが大きな衝撃だったのです。 そもそも、それまでは、自分にはコネも資産もないから、あまり大それたことは考えずに「社会の中のある程度上質な歯車になれれば十分」と考えていました。父親よりも少しだけ優秀なサラリーマンになれれば良いと思っていました。それぐらいしか自分にはできないと勝手に思っていたのです。

でも、そのとき「コネやお金は自分が持つ必要はなく、自分が持っている得意分野の能力を伸ばして価値を提供することで、お金、コネは他の人が提供してくれるのだ」ということに気づいたのです。 これは私の人生において、とても重大な発想の転換でしたね。だから、官庁や大企業に魅力を感じなかったのです。コネや上司との相性といった実力とは関係ないところで勝負が決まる環境よりも、もっと自分の実力で勝負できる世界に行きたいと思ったのです。

今、学生に戻ったとしたら
外資金融なんて絶対に行かない

今では、外資金融というと、特に高学歴の学生に人気になっています。仮に今もう一度、学生に戻ったとしたら、どんな就職先を選びますか?

まず、外資金融なんて絶対行かないでしょう。今時、率直にダサいですよ。私が就職をしたのは20年も前の話ですから。外資金融は一番の伸び時はもう終わっています。外資金融は、私が働いていたちょうど20年前~10年前に伸び盛りでいろいろ勉強できた業界だったのです。その後の10年間は慣性で伸びているだけです。成功して盛り上がった後に相乗りしようなんて考えは、時代遅れだし、ダサいですよね。

ちなみに、私が東大にいるときに非常に残念に思ったのは、みんな小市民的発想だったことです。東大法学部なんていったら、「自分が日本をこう変えるのだ」とか本気で言えるような鼻持ちならない人間が多いのかと思っていたのですが、実際には、「どこに就職するべきか?」なんてつまらない話ばかりしていて、がっかりしました。

単純に今まで良かったからこれからも良いのではないかという程度の発想でキャリアを選ぶことは、自分の人生にとって非常に無責任なことだと思います。もっとしっかり自分の頭で考えた方が良いですよ。

それでは、マネックス証券を設立するにあたってお持ちだった理想について教えてください。

マネックスはマネーのYをひとつ先のXに変えているのですが、これは未来のマネーを考えているということを意味しているのです。未来における金融やお金との新しい付き合い方をデザインして個人の皆様に提供すること。それが私たちの目標です。
この「未来」というのは私の未来でも、創業時の未来でもなく、常にそのときそのときから見た未来を考えるような企業にしたいのです。これから入社する若い人が未来の金融を考えて実現していくような会社にしていきたいですね。

マネックス証券の求める人材を教えてください。

未来の金融を考えて実現しようと言うからには今は見えない未来を自分で考えてそれを実現しようと思える人が良いですね。今までの時代では、ココが良かったとか言う人は向かないですね。これからを作る人です。現在ある大企業を超えていく夢を描き、それを実現しようと考えるような人が良いですね。

そういったリスク感覚や実力主義への志向性はどこで身についたのでしょうか?

まず父親がそういった考えを強く持っていましたね。父から、批判精神を強く持ち、常に自分で考えて行動するように教育されました。

東大なんて世界から見たらたいした大学じゃない。
せっかく東大に入ったのだからという考え方は、大変くだらないですよ

東大生の就職活動では、東大なのだから業界1位の会社を選んで入るべきといった風潮がありますが、これについてはどう思いますか?

東大だからとか、日本で1位だからとかにこだわっているのは大変くだらないことですよ。 東大なんて世界から見たらたいした大学じゃなく、ブランドにはなりません。それに、日本の業界1位なんてものも、世界的に見たら全く相手にされませんよ。そんなレベルで満足していてはいけません。 東大生は確かに基礎的能力があるのです。センター試験とかで基礎的能力に関しては選別を受けているわけです。そもそも、日本人は優秀な国民だし、きちんとした問題意識を持てば、世界で通用する人間になれると思います。もっと世界的な視点で見てほしいですね。

結局、自分の頭で考えずに無責任に世間で良いと言われている大企業に就職した人たちを待っているのは、20年後か25年後かに自分のためにも社会のためにももっといろんなことが出来たはずなのに、自分は何をやってきたのかという疑問なのです。大体が50歳近くになって、窓際ポストに行かされたときにやっと気づくのです。Use your brain, before you die.という言葉がありますけど、before you dieでは遅いですね。While you're young ですよ。

東大生でも新しいものを作ろうとベンチャーを立ち上げていることについてどう思いますか?

良いと思いますよ。でもベンチャーなのだから、大企業がやっていることをただ小規模でやるだけでは仕方ないです。新しい価値を創りだすことを目指してほしいです。やる以上は成功して、社会に何かしら影響を与えられるように大きくなることを目指してほしいですね。しかし、ベンチャーで成功する確率は0.01パーセントほどしかないけれども、その0.01パーセントを目指して本気でやって欲しいですね。

最後にこの記事を読む東大生にメッセージをください。

一言で言ってしまうと、自分で考えなさいよってことですね。先輩の意見、親の意見を聞くのはもちろん良いことです。でも、誰も自分の人生の責任を取ってくれるわけではないのです。自分でよく考える必要がありますよ。

せっかく皆さんは優秀なのですから、ちゃんと自分の生まれ持った能力を最大限使い切って、 自分にも社会にも何かしらのリターンをもたらすような生き方をして欲しいと思います。

マネックスグループ株式会社

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