ITには代替され得ない、 “人”の介在価値を最大化する

近年、ITがビジネスのあらゆる場面に浸透するにつれて、一定の順序にさえ従えば完了できる定型的な仕事は機械化され、コミュニケーションも仕組み化されてきました。そのことにより、かつて“人”が担っていた役割が徐々にコンピュータによって代替されつつあります。BtoB(対法人)ビジネスに目を向けてみても、潜在顧客の発掘からサービス・プロダクトを介した価値提供まで、一連のフローのあらゆる段階で効率化が加速しています。しかし、IT導入による生産性向上を図るべき領域がある一方で、ITによる代替が不可能であり、 “人”の介在こそが重要となる領域も存在することを認識すべきだと私は考えています。例えば、数百万円から数億円にものぼる高額な契約においては特に、Web上に存在する電子的な情報だけで判断をおこなうのではなく、直接対面することによって、商品特性をより正確に理解したり、契約後のサポート履行などを含めた信頼感を確かめたいという心理がはたらくことは普遍的です。言うまでもなく、顧客に本質的な価値を与えるのは、この“人”です。だからこそ、ITに代替し得る領域は徹底的に自動化を推し進め、介在価値の最大化を図るために、“人”のリソースを“人”でしか価値を発揮できない領域に集中させることは、あらゆる企業が不可避な課題だと言えるでしょう。

旧態依然なBtoBマーケティングを変革する挑戦

前職時代に感じていた課題感が、イノベーション創業に直結しています。ベンチャーから大手企業まで幅広く関わる中で気づいたことは、たとえ優れた技術力を持ち、良きプロダクトを輩出する企業であっても、適切なマーケティングや営業が欠ければ成長機会を逸するという事実です。かつてのBtoBビジネス、特にIT業界では、高度成長する市場のニーズに従い、顧客に与えられたオーダーに応じて設計・開発をする受託開発を中心に据えさえすれば十分という認識がありました。1つの案件が数億円と非常に高単価なため、多くの取引先を必要とせず、技術力が備わっていれば十分だったのです。従って、マーケティングや営業活動の質が競争優位となることは稀で、多くの企業がここに力を入れてきませんでした。しかし、クラウドの登場によって市場は大きく変化しました。多種多様なパッケージが出現し、低単価高利益率なプロダクトを多くの企業へ拡販していく必要があり、その分マーケティングや営業活動の質が大きな競争力として認められ出したのです。
イノベーションがいち早く着手したマーケティングオートメーションは、見込顧客リスト構築から興味関心の醸成、営業プロセスへの接続までを自動化する、次世代型のBtoBマーケティング手法です。近年では、米国を中心に年率50%以上という高成長性を誇り、IBM、オラクル、セールスフォース・ドットコムといった世界的企業も続々と参入する一大市場が立ち上がり始めています。イノベーションはこれまで、Webマーケティング、デジタル広告、ダイレクトマーケティングなど、目的に応じた最適なマーケティングチャネルを一気通貫でクライアントに提供することで、BtoBマーケティングプロセスを変革してきました。今後もBtoBマーケティングという領域に特化し、クライアントポートフォリオを広げることで、多面的なフィードバックを蓄積・共有し、一層有効性の高いソリューション提供を実現してきたいと考えています。

理念を中心とした一体感のある組織を目指す

イノベーションの事業成長を支える経営理念を“inno-ism(イノイズム)”と呼んでいます。創業当時に『ビジョナリーカンパニー』を読み、先輩経営者に教えを請う中で”理念経営”の重要性に気づき、ここまで創り上げてきました。これは、イノベーションが掲げる使命と価値観、行動指針を包括したもので、イノベーションが存在する限り大切にし続けたいと考えるものです。今では社内だけでなく、あらゆるステークホルダーにも共有し理解していただけておりますが、ここまで順調に進んできたわけではありません。実際、創業後3年間は給料が十分に支払えないような状況の中で、“理念より利益”という言行不一致な状況に陥っていたこともありました。しかし、組織が大きくなるにつれて改めて理念の重要さを認識し、より一層理念を中心とした経営をするため、inno-ismに共感する者のみを採用していくという方針を決めました。また、今ではinno-ismについて全社員で議論する合宿を毎年実施しており、さらには社内通貨「いの」をインフラとして、アソビゴコロを取り入れた様々な施策を実施することで理念のより深い浸透を図っています。今後も理念経営により一層の磨きをかけ、一体感を持って「BtoBマーケティングを変革する」という使命を達成していきたいと考えています。