起業文化を根付かせることで、 産業の新陳代謝を加速させる

世界でも類を見ない速度で少子高齢化と人口減少が進むにつれ、国内市場が縮小していることはご存知の通りでしょう。また、Eコマースやクラウドといったデジタル領域を中心とした米国発の新産業が世界的な潮流となる一方で、かつて日本を牽引してきた産業はその国際競争力を失いつつあります。産業の新陳代謝にこれほどの違いが生じる原因は起業文化の有無にある、というのは大事な論点として検討するべきでしょう。例えば、電子決済のスタンダードとして知られるPayPalの出身者は、YouTube、LinkedIn、電気自動車大手のテスラモーターズといった新興企業を創業し、次世代の標準となりうるサービスやプロダクトを続々と生み出しています。さらに、成功した起業家が次なる起業家候補に人材面・資金面から支援をおこなうペイフォワード的な仕組みも見逃せません。私は、日本の経済活性化を実現するにあたり、このような起業文化の定着が肝要だと考えています。現状では起業家という存在は縁遠く感じられることも事実ですから、まずは優れたロールモデルを多く創出することが最優先の課題。そのためファインドスターは「世界で一番、起業家とベンチャー企業を創出する」というビジョンを掲げています。成長産業として注目する「インターネット」「ダイレクトマーケティング」「Eコマース」にフォーカスする戦略をとり、これまですでに複数のグループ企業を立ち上げ、起業家人材の育成・創出の仕組み化をも進めつつあります。

戦略的なグループ経営こそ、成長の好循環を生む原動力

ファインドスターは、起業成功率を圧倒的に高めるための戦略的グループ経営をおこなっています。その中でも特に有効に機能しているのが、グループ内での顧客プラットフォームの共有です。私たちは、Eコマース分野で取引のある約1000社から日々上げられる200件程の顧客課題や、新規顧客データをサーバに一元的に集積し、全グループ企業からアクセスできるシステムを構築しています。こうすることで誰もが事業機会をタイムリーに掴むことができ、実際に新規事業・企業創出にもつながっています。また、創業間もないグループ企業であっても既存顧客へのクロスセルが可能となるため、顧客開拓に腐心することなくスムーズな事業拡大が実現できています。さらに、新規事業・企業が新たな顧客にリーチすることで顧客プラットフォームが相乗効果的に増大し、まさにグループ全体での成長、ひいては起業家創出のための好循環が生まれています。
顧客基盤を拡充し事業機会を安定的に見出す仕組み化を進める一方で、社内での事業家育成にも注力しています。事業家として成長するには、何よりも体系化された「知識」と実務の場での「経験」を両輪として鍛錬する必要があります。この知識面の育成を目的とした「起業塾」は、6人が1チームとなって新規事業のフォーマットにのっとったプレゼンテーションをおこない、私を始め経営陣とディスカッションするノウハウ共有の場で、すでに新事業の種となりうるプランも出てきています。また、事業家として大成するためには、0から1を生み出す事業創造のフェーズと、事業を1から10にスケールさせるフェーズを経験することが必要です。まだ企業体として未成熟なベンチャーにおいては、この二つのフェーズを経験する機会が必然的に訪れることを考えると、起業家を志望する人材にとってベンチャーは魅力的な環境だと言えるでしょう。

リスクヘッジ手段としての「起業家」という選択肢

起業家は好んでリスクを取る人種だと思われる風潮がありますが、実はそれは思い違いです。実際、成功している起業家や経営者にはリスクを最小限にした堅実な経営、つまり「潰さない経営」を心がけている場合も多いのです。極端なリスクテイカーだけが起業家になっているわけではありません。そして現代においては、リスクを取りたくない人、安定志向の人ほど「起業」のスキルを習得すべきだと私は考えています。
20年後には1億を割ると言われるほど減少する国内人口、それと共に縮小する市場規模、すでに崩壊した終身雇用制、そして急激な社会変化とテクノロジーの進展によって、雇用・仕事を取り巻く状況はかつてなく不確実性を増しています。であればこそ、自らの力の及ばない会社という外部要因に依存しきりになることこそリスクであると考えるべきです。むしろ、安定を志向する人こそ、自ら事業や仕事を生み出せる能力を身につける必要があります。この点で「起業家」というあり方は、不確実性の高い状況に対する処理能力・耐性を上げられる、つまりリスクヘッジに長けた人材へと成長できるものだと言えるでしょう。

社会課題を解決できる職業選択を

職業を選択するにあたっては、現状での向き不向きや「やりたいこと」といったもっともらしい価値観を一度は疑ってみた方がいいかもしれません。20年後には現在の5割ほどの仕事が技術革新によってコンピュータに取って代わられるという学術研究も存在するように、まだ想像すらされない新しい仕事が生まれてきます。そう考えると、現時点の情報だけで自分のキャリアパスを規定してしまうことはあまりにも危険でしょう。ビジネスの基本は社会課題の解決。ですから、仕事内容というよりは、仕事を通じて社会にどのような価値を提供できるか、という本質的な点に目を向けてほしいと思います。