“再定義されるインターネットビジネス”イノベーション創出の種となる、既存産業のIT化・Web化

マクロ的に見ると、国内の情報通信産業の市場規模は全産業の中で最大級になり、携帯電話を中心とした通信機器の普及も飽和状態になっています。しかし、だからといって、インターネットビジネスはもはや成熟期を迎えてしまった、と考えるのは早計だと思います。サービス創りの視点から見ても、確かに、既存のやり方に則ったWebサービス創りの難易度は高くなってきている側面もありますが、私たちが今注目すべきは、これからまだまだ起こる大きな変化だと思います。例えば、これまでネット接続されてこなかった膨大な数のモノや端末が、改めてネットワーク化されるIoT(Internet of Things)、IoE(Internet of Everything)の時代がすぐそこまでやってきているという事実があります。世界最大のコンピュータネットワーク機器開発企業・シスコによれば、世界でおよそ500億個存在するモノの中でネット接続されてきたのはわずか1%未満。今後は、生きている間に接する全てのモノ、あらゆるデータがその対象となり、Webサービスの概念自体が再定義されることとなるでしょう。さらに具体的な例を挙げると、店舗内の特定箇所に設置されたセンサーがネットワークでつながり、読み取った性別や購買嗜好をもとに、そのシーンに最適化された商品レコメンドをスマートフォンに送るサービスの実証実験がすでにおこなわれています。従来は活用されてこなかった端末がいよいよWebに組み込まれ、以前と比較して遥かに粒度の細かい行動データの取得や分析、利用が現実のものとなってきたと言えるでしょう。その結果、需要と供給の細分化がますます加速すると思います。「既存産業×IT」という掛け合わせは、スマートデバイスの普及と発展により、再び、古くて新しいテーマになってきています。

Speeeという企業体に、事業創出のエコシステムを組み込む

イノベーションは、ごく限られた天才の閃きによってもたらされるだけでなく、周到な実験と分析を繰り返す組織からも、意図的に創出できるものだと信じています。とりわけ近年のインターネットビジネスの領域は、インフラコストの低下やエンジニアリングツールの普及などによって今まで以上にサービスの多産多死状態を迎えています。その結果、以前よりも、事業開発の研究を体系的に進めるための事例(材料)が増えています。そして、イノベーティブな事業やサービスは、「イノベーション創出に耐えうる組織」とセットで創り上げることが非常に重要だと考えています。
2007年のSpeee創業以来、拡大し続けてきたWebマーケティング事業は安定した高収益源となり、そこを核に様々なチャレンジをしてきました。今までも外部の資本に一切依存することなくチャレンジを繰り返し、現在は200名程度の規模になってきましたが、これくらい小規模なうちに事業開発の文化を作っておくことが大切だと考えています。事業開発を加速させるために、社長室、新規事業戦略室、そしてデータ解析を専門とするR&Dユニットを設置し、新規事業のアイデア創出と実行のためのメンバー育成が柔軟にできる組織体制が少しずつ構築されてきました。いわば、インキュベーション型のファンドがいくつかの企業に投資して事業・産業創出に臨むエコシステムを、Speeeという一つの企業内に取り込んでいるイメージです。この仕組みは、まだ少しずつですが、機能しはじめています。例えば、不動産やエンターテイメント領域の事業が創出され新規参入を果たした他、今後は医療分野への展開も構想しています。事業開発にまつわる時代の潮流を読み解きながら、会社のステージに合わせて事業開発を実現する組織創りを今後も続けていきたいと考えています。

事業創造のエッセンスを体得した経営人材を輩出する環境

組織視点から、イノベーション創出に向けた基盤を整備すると同時に、個人視点でも事業創造可能性を高めるための仕組みづくりを進めています。特に、社会・マーケット動向の理解に始まり、すでに生まれた顕在課題と将来生じる潜在課題の把握、その課題の因数分解、そして、組み合わせの力による課題解決に至る4つのエッセンスを、実際の事業創造プロセスを通して養う機会を設けています。具体的には、メンバー立案型の事業創造プログラム「Entre」、役員×メンバーコラボ型の事業創造プログラム「Summit」と呼ぶ二つのスタートアッププログラムを通して事業機会を見つけ、優秀なプランはさらに役員直轄型の事業創造プロジェクト「Board+」に引き上げる、というシステムを浸透させています。実際、これまでにも、Webマーケティング事業部で大手企業向けプロジェクトのリーダーを務めた新卒2年目の社員が「Entre」で優勝し、「Board+」にアサインされた例もあります。さらに、BtoBを始めとして、BtoBtoC、BtoCにいたる全領域に事業展開しているからこそ、法人から消費者までの全てと向き合う連続的なキャリア形成も可能となっており、すでにロールモデルも出始めています。私たちは今後もSpeeeという企業自体を秀逸なプロダクトとして捉え、中長期的に新しい価値を生み出し続ける存在として洗練させていきます。

hoge