いま、アジア新興国の経済成長は著しく、日本企業は国内の市場が縮小する中、新たな成長市場を求めてアジアにこぞって進出しています。ただ、いくら市場が大きいとはいえ、今まで国内で日本人に向けたビジネスを続けてきた企業が、突然言葉も文化も全く異なる海外で、新しい事業を成功させることは容易ではありません。実際に、国内で名前が通った一流企業でさえ、海外での新規事業をうまく展開できず、撤退を余儀なくされるケースは枚挙に暇がありません。海外では、国内で築いたブランドが全く役に立たないことが多いのが現実です。
また、市場が縮小している日本においても、社会を活性化させる新しいビジネスが求められています。しかし、「ビジネスを創る」「新規事業創造」など、言うは易しですが、本当に収益を生む事業を立ち上げることは容易ではありません。

私は、11年前にCloud Paymentの前身となる企業を創業した当初から、国内外での新規事業の創造に携わってきました。現在、まだ社員数100名程度のベンチャー企業でありながら、国内でいくつもの事業を軌道に乗せ、上海、インドネシアに支社を設立するなど国内外の新しいビジネスに挑み続けています。
ここでは、その中での経験も踏まえ、事業を創造するための要諦とこれから活躍する人の条件についてお話ししようと思います。

今、社会に求められる人材の条件は何か?

人口が減少に転じ、国全体が停滞している日本では、これまでのやり方を踏襲するだけでは縮小均衡は免れ得ないでしょう。既存の概念を覆すような新しい事業を国内外で創造することが求められているにも関わらず、いま日本にはその能力を持つ人材が圧倒的に足りていません。
専門職として特化した技術を身につけることで、キャリアの安定を手に入れようとする人も多いと聞きます。もちろんそうしたキャリアが悪いわけではありませんが、これからの世の中で究極的な安定を手に入れるのは、自分自身でビジネスを創造する能力を持った人であると私は考えます。社会に出て求められるのは、結局どのようにビジネスとして成り立たせるか?さらには、いかにマネタイズできるのか?ということなのです。例えば、最近はサービスをゼロから作ることができるWebエンジニアがもてはやされ、起業する人も大勢います。当然、挑戦自体は素晴らしいことですが、ビジネスを理解していない人のみでスタートしたサービスの多くは、残念ながら失敗に終わっています。いくら技術があっても、ビジネスの仕組み、勘所を理解しなくては継続して事業を存続させることは到底できません。技術力とビジネス理解、相互のバランスこそが事業を成功に導くのです。

事業創造のために求められることは何か?

何よりも必要なことは、必ず発生する大小様々な困難や不測の事態に陥ってもなお、「やりきる」ことです。既にキャッシュフローが回っている事業であれば、適切な努力をすれば確実に結果が出るものも多いですが、新規事業ではまず努力の仕方も暗中模索で、そしてその努力が報われるのかどうかさえ分かりません。最初は誰でも「やりきる」意気込みを持ってスタートするものですが、本当に先の見えない壁にぶつかった時に「やりきる」ことができる人は、実際のところ多くはないでしょう。
困難を乗り越えて「やりきる」経験を積み重ねていくと、次第にその人独自の哲学が生まれてきます。よく書籍や講演などで成功者の哲学を学ぶことで、ビジネスを創る能力が身についたと錯覚しがちですが、そのような近道はありません。大事なのは良質な経験を通じて、いかにオリジナルの哲学をつくり上げるかです。
例えば、私の場合は、あらゆる事業を考える前提として、「世の中の人たちが苦手なこと」「難解とされていること」「隙間」などをキーワードに事業を構想するようにしています。しかし、この発想も、これまでの失敗や、こだわりぬいた結果としての成功があってはじめて生まれてきたもので、経験していない人がどんなに話を聞いても同じように考えることはできないでしょう。

事業を創造するスキルを身につけるために最適なキャリアは何か?

現在成功している経営者の経歴を紐解くと、大企業出身者が少なくありません。私自身も電通という大企業で7年間の経験を経て起業していますが、必ずしもこれからの時代を生きる皆さんにとって、同様に大企業への就職が良い選択であるとは思いません。

私が就職活動をしていた頃を振り返ると、今や生活において当たり前の存在になっているインターネットがまだ普及しておらず、東証マザーズやジャスダックなどの新興株式市場もありませんでした。当時のこうした背景を考えると、優秀な人は大企業を選び、そうでない人が中小企業を選ぶというのはある意味当然の流れでした。しかし、この数年での名だたる大企業の凋落ぶりは、みなさんもご存知でしょう。つまり、今と大きく違う環境において大企業を選んだ先輩達を安易に見習って、10年以上前と同じように大企業を選択するのは、危険な判断となるかもしれません。

また、ビジネスの現場でのリアルな経験が事業創造の素養を身につけるために必要だとすると、規模の大きな会社に入ることは得策ではないかもしれません。既に偉大な先輩達が大勢いるため、貴重な経験ができる機会が相対的に少ないのです。

一方、Cloud Paymentでは新卒1年目で事業部長として海外に向けての新規事業に取り組んでいる若手がいます。このような抜擢は、本人がどんなに優秀であれ、大企業ではほとんど不可能に近いでしょう。 Cloud Paymentには、成果を残したメンバーには1年目で営業部長、2、3年目には事業部長、4年目からは海外も視野に入れた新規事業の立ち上げを任せるというひとつのキャリアパスがあります。そうした成長のスピードが、ベンチャーを選択した際の大きな魅力であると思っています。

ビジネスを創造するスキルを身につけたい、企業に頼らずに自身の力でキャリアを築きたいと考える人で、なおかつ必ず「やりきる」と腹をくくれる人は、是非ともベンチャー企業の門を叩いてほしいと思います。若く才能あふれる皆さんと一緒に働けることを楽しみにしています。