ネスレ日本の事業内容/経営戦略

目次

  • ネスレ日本の特徴
  • 商品・ブランド事例
  • これまで事業の歩み
  • 今後の経営戦略
  • ネスレ日本や、出身者による著書

ネスレ日本の特徴

スイス生まれの食品メーカー「ネスレ」は世界189か国に事業を展開しており、従業員数は全世界において33万5000名を超える大企業です。日本においての事業はネスレ日本が携わっており、社員数はおおよそ2500人程度。食料品、飲料、そしてペットフードなどの販売を主に行っています。

グループ会社としてネスレネスプレッソ株式会社とガルデルマ株式会社を保有しており、ネスレネスプレッソとしてはコーヒーマシンやカプセルコーヒーを専門的に取り扱い、ガルデルマ株式会社では医療用医薬品、医療機器、化粧品の輸入・製造販売を行っています。

日本国内でも工場を保有しているため、ネスレ日本では営業・マーケティングなどの事務系職のみならず、製造・品質の管理などの技術系職も同時に募集しています。原材料の調達のための農村開発を実施しており、農業事業者の育成なども行っているのは珍しいかもしれません。

採用においては、年齢・学歴・国籍などを限定せず、また選考時期も選べる「ネスレパス」という独自の採用を行っています。学生の主体的な就職活動や組織活性化を目的としており、「イノベーションを起こせる人材」を求めるネスレの積極的な姿勢が表れています。

商品・ブランド事例

日本ではネスカフェのコーヒー関連商品(粉末状インスタントコーヒーやコーヒーマシン)や、キットカットなどの菓子類が浸透していますが、グループとしてはセタフィル®スキンケアをはじめとするスキンケア用品や、自社ブランドのPROPLAN(キャットフード ドッグフード)などの製造販売も盛んに行っています。

コーヒー関連商品、飲料
ネスカフェ、ネスレ クレマトップ、ネスプレッソ、ネスレ ブライト、ネスレ SPECIAL.T、ミロ
ギフトセット
チョコレート
キットカット、エアロ
調理食品
マギー
栄養補助食品
アイソカル アルジネード
ペットフード
ネコだいすき フリスキー、フィリックス  ほか

これまでの事業の歩み

1866年にアンリ・ネスレによる練乳会社がスイスで操業されて以降、乳製品の生産と輸出によって事業を海外へ拡大し、1913年にネスレ日本が誕生します。当時の製品は、ミルクメイド印の煉乳やネスレ・ミルクフード、ネスレ・ピータース・チョコレートなどでした。

日本国内では、インスタントコーヒーであるネスカフェの売り上げの好調の影響をうけて、国内での生産量増加が急務となります。そのため、20世紀中ごろから姫路工場(兵庫県)をはじめとして、島田工場(静岡県)、霞ケ浦工場(茨城県)などが建設されました。

20世紀後半には、カーネーション社(米国)やロントリ-マッキントッシュ社(英国)がネスレグループへ参入。日本でも、「キットカット」の販売やペットフード市場への参入が始まります。

21世紀に入り、ネスレグループは既存の事業に加え、ネスレ栄養科学会議やネスレリサーチ東京の設立をはじめとした、医療栄養学への研究を開始しました。大手医薬品会社ノバルティス(スイス)のヘルスケアニュートリション部門の取得を皮切りに、日本でも医療機関や介護施設、在宅介護向けに事業展開を進めていきます。

2013年にネスレ日本創業100周年を迎え、日本では「キットカットショコラトリー」オープン、「ネスカフェ」のコーヒーマシン売り場で感情認識パーソナルロボット「Pepper」が接客を行うなどの新たな取り組みがスタートしました。

今後の経営戦略

2014年度から2015年度決算で、ロレアルは自社の収益を14.5億スイスフランから9.1億スイスフランへと落とす結果となりました。この理由として、ネスレグループはロレアルとの共同プロジェクトにおいて、美容用サプリメントの開発と販売において期待していた結果が出せなかったこと、スイスフラン高の影響を受けたことが原因であると発表しています。

2014年に、スイスの医薬品製作会社のガルデンマの買収を完了するためにおおよそ5億スイスフラン(約620億円)を費やすなど、今後は栄養・健康面の質を高めた商品の開発を行うためにリサーチディベロップメントの部門に力を入れていくことを発表しており、特に幼児向けの食品開発、高齢社会であるアジアの国々ために需要のある健康的な商品開発を進めています。

日本においては、「ネスカフェ」と「キットカット」の販売において好調を維持しているようです。2016年10月現在、地域差はあるものの、先進国市場、新興国市場どちらにおいても成長を達成しています。

ネスレ日本や、出身者による著書