博報堂の事業内容/経営戦略

目次

  • 博報堂の特徴
  • サービス事例
  • これまで事業の歩み
  • 今後の経営戦略
  • 博報堂や、出身者による著書

博報堂の特徴

博報堂DYホールディングスは、日本では2位、世界で10位の規模を持ち、子会社は273社、グループ従業員数は14,000名にも及ぶグローバル広告会社グループです(2016年3月現在)。

博報堂のグループ売上は1兆1300億円で、電通の2兆4192億円と比べるとおよそ50%程度の規模感であることが分かります(2015年度)。

カンヌ国際広告祭の50周年記念式典では、世界で7社しかないグランプリ2度受賞企業としてアジアで唯一博報堂が表彰されるなど、営業に強い電通に対して「クリエイティブの博報堂」と言われていた時代もありました。ただ、近年はあまり振るわず、受賞数は電通の半分程度と言われています。

幅広い分野のクライアントに対応していますが、「自動車・関連品」「飲料・嗜好品」「情報・通信」の売上高構成比が高くなっています。近年では「金融・保険」「交通・レジャー」などが増加傾向にあります。

サービス事例

カンヌ国際広告祭グランプリ受賞作品

  • 1982 年フィルム部門グランプリ、松下電器産業<ナショナルのあかり>「光りのメニュー」篇
  • 1993 年フィルム部門グランプリ、日清食品<カップヌードル>「hungry? モア」篇・「hungry? シンテトケラス」篇

近年の広告/プロジェクト

  • 大塚製薬・カロリーメイト「とどけ、熱量。」「見せてやれ、底力。」
  • 三菱東京UFJ銀行の資産運用「Do Smart」
  • TBS/テレビ朝日系列の「世界野球プレミア12」
  • Y!mobile「ふてニャン」
  • 眼鏡市場キャンペーン
  • キリン一番搾り「地元づくり」
  • 日産ムーヴ
  • ライオン クリニカ、キレイキレイなど
  • KAGOME 野菜生活
  • グッドイヤー 企業広告
  • 明治安田生命
  • 丸亀製麺
  • docomo
  • SQUAR
  • SQUARE ENIX Final Fantasy XIV
  • ダイハツ コペン
  • Google WomenWill #HappyBackToWorkプロジェクト
  • サンリオ ちゃんりおメーカー

これまで事業の歩み

博報堂の始まりは、1895年に瀬木博尚によって設立された教育雑誌の広告取次店「博報堂」にさかのぼります。雑誌や新聞広告全般、また出版業にも進出しながら成長し、国内での拠点を拡大しつつ、1960年にはついに国際局を新設。ニューヨーク駐在員事務所設立以降、マレーシア、タイ、シンガポール、香港などのアジア諸国からアメリカ・ドイツ・フランスなど欧米にも拠点を増やし、事業の拡大を推進していきます。

ニューヨーク拠点設立と同じ年である1960年、米国の広告会社マッキャンエリクソン・ワールドワイドと博報堂は、日本初の合弁広告会社「マッキャンエリクソン博報堂」を設立しています(現在はマッキャンエリクソンとして独立)。

21世紀に入り博報堂は大きな転機を迎えることとなります。2001年、大広、読売広告社とメディア関連ビジネスで業務提携を実施。そして2002年には大広、読売広告社と共同持ち株会社設置による経営統合に向けて合意し、2003年博報堂DYホールディングス株式会社が誕生しました。同年、博報堂・大広・読売広告社に続く博報堂DYホールディングス4つ目の柱として、メディアエージェンシー専業である、博報堂DYメディアパートナーズが設立されています。

2006年、世界最大の広告会社グループであるオムニコムグループであった「TBWA\Worldwide」の日本支社「TBWA\TOKYO」とのジョイントベンチャーとして、「TBWA\HAKUHODO」を設立。外資系のカルチャーと、大企業の組織力のコラボレーションを目指す同社は、1990年代の伝説のディスコ「ジュリアナ東京」を射抜いてオフィスにしたということでも大きな話題を呼びました。

その後も、朝日広告社との資本提携や、国内外の広告会社のM&Aなどで規模を拡大し電通を追いかける動きは続いていきます。2008年にアサツーディ・ケー(ADK)と博報堂とで合弁会社を設立したものの、その3年後にはADKは全株式を売却し、新たに電通とADKで新規合弁会社を設立する、といった動きも。広告代理店のシェア争いは近年ますます激しくなっています。

2016年2月、世界的に高名なデザインファームであるIDEOを傘下に収めたことで話題を集めました。

博報堂出身の著名人には、以下の様な人物がいます。

佐藤可士和
アートディレクター
大貫卓也
アートディレクター
小霜和也
コピーライター
前田知巳
コピーライター
眞木準
コピーライター
野祐吉
広告批評創刊編集長
箭内道彦
風とロック
中谷彰宏
作家
酒井順子
エッセイスト

今後の経営戦略

特に重視しているのは海外戦略です。売上総利益に占める海外比率を、2016年の11%から20%にする目標を掲げています。

売上高は、2008年にピークを迎えたのち減少を続けていましたが、2016年度にようやく2008年の水準にまで回復。これは、積極的なM&Aを中心とした事業展開が大きく寄与しています。

2019年3月期までの中期経営計画で示されている戦略は、以下の3つです。

  • “生活者データ・ドリブン”マーケティング対応力の強化
  • アジアを中心とした新興国での体制強化
  • “専門性”と“先進性”の継続的な取り込み

消費者データの収集・分析に基づいたマーケティング、M&Aを通じてのアジア市場の拡大が戦略の主軸です。特にデータドリブンマーケティングの多くは、web行動データや購買データといったものの活用が多くを占めており、デジタル広告ソリューションへの注力を強めています。

3点目の戦略を実現するにあたり、多くの高度な専門マーケティング企業(デジタル~クリエイティブまで)のM&Aや、デザインコンサルティング・ファームIDEOの実質買収などを行っています。

博報堂や、出身者による著書