国際協力機構(JICA)の特徴・企業研究レポート

目次

  • 国際協力機構(JICA)の特徴
  • 支援事業・プロジェクト例
  • これまでの歩み
  • 今後の方針
  • 国際協力機構(JICA)や、出身者による著書

国際協力機構(JICA)の特徴

国際協力機構(JICA)は、開発途上地域の経済・社会の発展に寄与し、国際協力を促進することを目的としています。日本政府唯一のODA実施機関であり、公的アプローチ側に立っていることが特徴的です。公務員や国際機関が完全に公的機関であり、NGOや企業(CSR活動など)が完全に民間アプローチであるのに比べ、JICAはやや政府よりの中間地点に位置する珍しいポジションといえます。実際に、開発途上国政府との深い議論を行いつつも、柔軟に民間と連携する姿勢は、JICAならではです。

現在は、本部1ヶ所、国内15ヶ所、海外90ヶ所に展開。100%海外赴任があり、20代で1回、30代で1回といったペースで派遣されます。有名な青年海外協力隊は、JICAが運営するボランティア派遣プロジェクトのひとつです。

支援方法は、二国間協力と多国間協力(国際機関への資金拠出)となっており、新卒採用後に主に従事するのは二国間協力についての業務でしょう。二国間協力は

  • 技術協力(ノウハウの伝授)
  • 有償資金協力(経済・社会インフラ)
  • 無償資金協力(学校・病院・井戸・道路等の基礎インフラ)
  • 国際緊急援助
  • 市民参加協力(NGO、自治体、大学などの国際協力支援)

といったものがあります。2014年は有償資金協力が8,279億円とトップ、次いで無償資金協力が1,112億円、技術協力が1,764億円となっています。

支援事業・プロジェクト例

教育、保健医療、水資源、ガバナンス、平和構築、社会保障、運輸交通、情報通信技術、資源・エネルギー、経済政策、民間セクター開発、農業開発/農村開発、自然環境保全、水産、ジェンダーと開発、都市開発・地域開発、貧困削減、環境管理、南南協力、気候変動、防災、栄養改善などの分野が中心です。

特に重点課題として、「防災の主流化」「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」「持続可能な都市開発」を掲げており、多彩な角度で世界が直面する課題解決に挑んでいます。

インフラ

  • 第2バンコク国際空港建設事業(タイ)
  • ザファラーナ風力発電事業(エジプト)

教育

  • みんなの学校プロジェクト(ニジェール)

環境

  • マレ護岸建県設事業(モルディブ共和国)
  • 母子保健理プロダクティブヘルス向上プロジェクト(パレスチナ)

衛生

  • リマ首都圏周辺居住域衛生改善事業(ペルー)

開発・成長

  • グラミン銀行プロジェクト(バングラディシュ)
  • カブール首都圏開発計画推進プロジェクト(アフガニスタン)
  • 障害を持つ除隊兵士の社会復帰のための技能訓練プロジェクト(ルワンダ)
  • 法制度整備プロジェクトフェーズ3(カンボジア)

これまでの歩み

1954年、コロンボプランに加盟し、技術協力事業を開始したのが、ODAの実施機関としてのJICAの始まりです。1965年には青年海外協力隊発足、1987年国際緊急援助隊発足、2003年に独立行政法人化します。一方、1961年に設立されたJBIC(旧OECF)は、円借款などを中心に海外援助活動を続け、2007年にはその支援対象が100カ国に到達。

これらの2つが統合され、2008年に新生JICAとなり、今に至ります。

今後の方針

50年間のJICAの歴史と経験を踏まえ、「質の高い成長」と格差是正を大きなミッションとしています。具体的には格差是正、雇用創出、相手国の自律的発展、防災の主流化、インフラの質などがキーワードです。

日本の経験や技術を活かすべく、インフラ輸出や中小企業の海外展開支援、官民連携・民間連携事業などを推進する姿勢をとっており、より周囲を巻き込んだプロジェクト実施を目指しています。

国際協力機構(JICA)や、出身者による著書