NHK(日本放送協会)の特徴・企業研究レポート

目次

  • NHKの特徴
  • サービス事例
  • これまで事業の歩み
  • 今後の経営戦略
  • NHKの関連書籍

NHKの特徴

日本放送協会(以降「NHK」)は、日本の公共放送を取り扱う特殊法人で、放送法と公共放送の原則に基づいた運営を行っています。通常、公共放送を行う放送局における財源は視聴者から徴収する受信料や政府負担によって補われます。しかし1982年頃に赤字体質にあったNHKは幾度とない受信料の値上げの実行を行うも赤字体質からの解消ができず、放送法の改正を行いました。これ以降、NHKの営利事業への出資が許されており、制作子会社としてNHKエンタープライズをはじめとする子会社13社、関連会社4社、関連公益法人など9団体の誕生に至りました。

現在のNHKにおける職員数は1万242人、国内に54の放送局局と海外に30以上の取材拠点を保有しています。主な業務は、国内放送と国際放送の計画・運営から、放送と受信の進歩発展に必要な調査研究です。これらは放送法に定められた業務となっていることは、あまり知られていません。企業からのスポンサーを受け付けていないために、コマーシャルがないことが特徴です。

子会社などの関連事業における従業員数は6365名。NHKエンタープライズを中心としてNHKプロモーション、NHK出版、NHKビジネスクリエイト、NHK交響楽団など放送番組における企画・政策、販売からグループの業務支援、公益サービスなどをおこなっています。売上高は2967億円となっており、受信料収入6625億円(2015年度)と合わせるとNHK全体では一兆円ほどの収入となります。

サービス事例

ニュース/報道は勿論、エンターテインメントコンテンツや教育など、幅広いジャンルの番組制作を行っています。NHKによって放送された番組に関連する商品やサービスも積極的に販売しています。

ニュース等を中心に、NHKを卒業後他業界で活躍する人も存在します。以下はその一例です。

池田 信夫
経済学者
池上 彰
記者、フリージャーナリスト
柳田 邦男
評論家、作家
草野 仁
アナウンサー
小宮山 洋子
元アナウンサー・元政治家

これまで事業の歩み

1924年に社団法人東京放送局設立、そして翌年よりラジオ放送を開始。放送が可能なエリアを日本全国に広げつつ、アメリカ向けの放送を開始します。終戦時には天皇によって「終戦の詔書」が放送、その年末よりNHK紅白歌合戦の原型である「紅白音楽試合」が放映されました。1950年に放送法ができ、特殊法人としての「日本放送協会」として再スタートします。カラーテレビの実験を進め、1958年度にはテレビ受信契約数100万を突破するなど、メディアとしての力を瞬く間に強めていきます。1968年に行われた東京オリンピックに向けて設備の強化を行い、料金体系の見直しも行われました。衛星放送の研究を進め、BS1での24時間放送による独自の番組編成も開始しました。

時代は平成に入り、湾岸戦争の様子を集中放送したり、阪神・淡路大震災における被害状況を記録に残すなど、報道においてNHKの重要性が高まりました。

21世紀に入り、NHKに数々の不祥事が明らかになり受信料を納めない世帯が急上昇したことを受け、NHK民営化に関して争議が起こることとなります。NHKの強みは企業からの影響をうけにくい中立的な番組作りでしたが、国営化することによって特殊法人としは廃止する可能性を示唆されました。受信料における問題は現在も解決しておらず、今後の行方に注目が集まります。

今後の経営戦略

現会長・籾井勝人による「受信料支払いの義務化」に関する発言があったとおり、受信料の徴収率を高める活動に積極的です。インターネット上の放送なども視野に入れ、受信料の確保に努めています。2015年ではNHK関連事業の収入は100億円ほど下がったものの、受信料収入は130億円ほど増収しています。

中期経営計画にあたる「NHKビジョン」では、2015年~2020年度(東京オリンピック)までの計画がまとめられています。国政発信、インターネット活用、防災・減災コンテンツ、受信料徴収のための営業強化などが大きな柱です。

NHKの関連書籍

NHK出身者による書籍のうち、ごく一部をご紹介します。