日本発、消費財ビジネスはこれから変わる。

グローバル商社×消費財メーカーのコラボで文化を発信

Mar, 11, 2016

株式会社フィッツコーポレーション

新野 裕信 氏 ・ 太田 萌 氏

グローバルなファブレスメーカー隠れた消費財市場を開拓する

— 国内消費財市場にもまだ切り込む余地があるそうですが、具体的にはどこに事業機会を見出しているのでしょうか。

●新野 日本は世界でも屈指の消費財大国と言われますよね。外資・国内大手企業も複数社参入していて、消費者ニーズも満たされた成熟市場だと思われがちです。しかし、これは誤解です。約2兆円ある国内化粧品分野でも、実は〝香り〟に関わる分野が占めるのはまだ2%程度。欧米では数兆円規模にまで拡大しており、日本でもその莫大なポテンシャルを見逃すわけにはいきません。もちろん民族性や文化には違いがあることを認めた上で、ライトフレグランスのような新しいジャンル自体を創りだし、マーケットを能動的に大きくする挑戦をしています。

●太田 私が香水を使い始めたのは高校生の頃、入社の4年ほど前ですが、もうボディミストやハンドジェルといった香水以外の商品も流通し始めており、音楽のように生活に彩りを添えてくれる存在になっていました。新しいライフスタイルとして少しずつ根付いてきていると感じています。〝香り〟文化を創るには、とにかくトレンドの芽を捉えるスピード感が必要です。そのためフィッツは、Apple社のように自社工場を持たないファブレスメーカーとして、闇雲に組織を大きくせず身軽でいることにこだわります。表参道というトレンドの中心地に本社を構え、アイディアを集積して新しい文化を発信するにあたって、商品コンセプト開発やマーケティングに集中できる体制のメリットは大きいですね。

海外ブランド、オリジナルブランドの2本柱で日本市場を攻略

— 外資系企業、国内大手メーカーと本質的に異なるポイントはどこでしょうか。

●新野 グローバルな商社機能と消費財メーカーとしての機能を兼ね備えており、相乗効果を得られている点がユニークな長所です。現在は大手メーカーを超える国内最大級の販路を築いていますが、その原動力となったのは、まさに海外ブランドの輸入を含めた商社的な側面と、日本のものづくり的な側面とのシナジーにほかなりません。現在では北米や欧州など世界各国から輸入した商品を国内展開する上での強力なプラットフォームであり、メーカーとしてオリジナルブランドを展開する際の武器にもなっています。

●太田 逆に、オリジナルブランドの成功は海外メーカーとの交渉時に好材料となります。私はブランドマネージャーとしてシンガポールやカンヌで開催される展示会に赴き、商品の独占販売権を獲得するために各国メーカーと交渉することも多くあります。その際には、メーカーとして市場に受け入れられた商品を開発した実績から、日本人の民族的・文化的な特徴や、香水にしては低価格な商品が売れやすい日本市場の特異性などを説得的に伝えることができます。実際、人気ブランドの販売権コンペであっても、負けることはほとんどありません。

機能横断的なキャリア。新卒4年目でブランドマネージャーに

— 少数精鋭の身軽な組織とのことでしたが、マネジメント面で特徴はあるのでしょうか。

●新野 新卒入社4、5年目で部下を持ち、マネジメントポジションに昇格するのが平均的です。太田のようなブランドマネージャーのミッションは、商品のブランディング戦略やコスト設計などを考えながら、社内のPRチームやデザインチーム、外部の提携企業も巻き込みプロジェクトを成功へと導くこと。マーケティングやファイナンス、生産管理といった機能毎に配属が決まることも多い大手メーカーとは異なり、フィッツではプロジェクト毎に幅広い機能を担い、チーム自体もダイナミックに編成します。入社後数年で、ビジネス全体を統括する立場となることで、ビジネスパーソンとしての成長が加速していきます。

●太田 海外メーカーとの契約交渉やリレーション構築の場では、自分一人で全てを判断する必要があるため、胆力や精神力が相当鍛えられます。交渉が成功し、日本市場でブランドを確立するゴールを海外企業と一緒に目指しているときには特にやりがいを感じますね。また、海外出張時には展示会だけでなく、必ず足を使って実店舗に並ぶ商品をチェックして回ります。国ごとに異なるマーケットの生の感覚や商品の観察眼を養い、日本市場への展開の可能性を想像するとわくわくします。

●新野 一過性のトレンドに終わらず、市場で長く愛される商品を生み出すためには、常に新しい市場を切り拓くパイオニアである必要があります。例えばライトフレグランスという新しいジャンルでは、強い香りを好まない日本人が香りを楽しむための新たな方法を提案しました。今後はグローバルメーカーとして、台湾を足がかりにアジア展開も進めていきます。世界に遅れをとる日本の香り市場と世界とをつなぐ架け橋となり、また日本における香り文化の発信地として、フィッツにしか成し得ない挑戦をしていきたいと考えています。

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株式会社フィッツコーポレーション

Interviewee

新野 裕信 氏

にいの・ひろのぶ

株式会社フィッツコーポレーション

マーケティング部ディレクター

2004年入社。営業部にて大手ディスカウントチェーン、ファンシーショップ、通信販売など、幅広い流通担当を経験。その後、マーケティング部へ異動し、営業部で培った流通知識を活かし、商品戦略を取りまとめる。現在は香水事業を統括している。 企業理念は「豊かさが香るものづくり」。

Interviewee

太田 萌 氏

おおた・もえ

株式会社フィッツコーポレーション

マーケティング部ブランドマネージャーチーフ

米大学を卒業後、2012年入社。持ち前の語学力を活かし、フィッツコーポレーションの“顔”として海外有名ブランドとの折衝を担当する。流通商品戦略に携わりながら、新規ブランド獲得にも奔走し、時には海外の展示会にも参加している。