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単なる専門家ではなく変革のプロへ。 NRIの採用チームが語る、これから求められるコンサルタントの要諦

「NRIが変革をもたらすファームである以上、私たちコンサルタントも常に変化していかなくてはいけない」。そう語るのは野村総合研究所(以下、NRI)の新卒採用チームの出口氏、水谷氏、早川氏。新たにNRIの新卒採用を担う3名のこれまでのコンサルタントとしての経験を交えながら、これから求められるコンサルタントの要諦や新卒採用において重視するポイントなどについて話を伺った。

May, 31, 2022

株式会社野村総合研究所 (NRI)

出口 満 氏 ・ 水谷 直輝 氏  ほか

社員それぞれで異なる「専門領域・プロジェクト数の掛け合わせ」

—まず初めに、これまで皆さんが携わってきた領域やプロジェクトについて教えてください。

水谷 1年目は複数の領域を経験することが多いのですが、私はたまたまマーケティング戦略や中期経営計画などオーソドックスな戦略プロジェクトに多く携わりました。一方で、2年目は1年間を通して、東日本大震災の復興支援を目的とした公共事業の実行支援プロジェクトに携わりました。東北地方の復興に向けて大規模公共事業を推進しながら、次年度以降の中長期計画を並行して取りまとめるというプロジェクトです。そこで戦略・実行の両面が欠かせないと体感し、現在の入社6年目まで、新規事業の立ち上げや、経営構造改革とデジタルを掛け合わせたテーマを多く扱ってきました。

早川 私は身近でイメージしやすいという理由から製造業のコンサルティングを希望していたのですが、最初の配属は金融部門でした。ファイナンスが苦手で金融の知識もなく戸惑いましたが、プロジェクトに取り組んでいるうちに面白みを感じるようになりました。

1年目の後半からは製造業部門に配属となり、自動車グループに所属したのですが、自動車という枠組みの中には、OEMや部品メーカーに対するオーソドックスな事業戦略系プロジェクトもあれば、自動運転やスマートシティなど業界変革によって生まれた新しいテーマのプロジェクトも沢山あり、知的好奇心が刺激される2年間でした。その後は自動車業界以外の、素材や化学など製造業の上流分野にも携わってきました。

出口 私も水谷・早川同様に1年目は複数の部署を経験し、2年目以降は公共系の部署に本配属され、「環境・エネルギー」、「都市・建築」、「海外・アジア」の大きく3つの領域を担ってきました。

大学院の理系研究室でグリーンビル・シティの研究をしていたので、同級生のほとんどは電力会社やガス会社、建築設計事務所に就職しましたが、私自身は建築・都市に関わりながら政策立案に携わりたいと考えていたのでNRIを選びました。入社直後から自身が思い描いていたプロジェクトに参画できたことに加え、入社4年目の時には、15名ほどの環境建築関係の有識者で構成される経済産業省の審議会を立ち上げ、日本初のゼロエネルギー建築のルールメイキングに係るプロジェクトを主導する機会もいただきました。

その後7年目にはNRIの海外拠点の一つであるNRI台湾に駐在し、台湾電力の電力自由化に係る組織変革や、科学技術イノベーションに係る台湾政府の大型プロジェクトを受注するなどしました。帰国後も台湾をはじめ、タイやシンガポール、インドなどNRIの海外拠点とタッグを組んでプロジェクトに取り組む機会に恵まれ、徐々に海外・アジアという軸が出来あがりました。

非連続な成長をもたらす「NRIの環境」と「NRI社員のマインドセット」

—水谷さん、早川さんは1、2年目から幅広い領域を経験されてきたのですね。

水谷 「1年目の間に半年ずつ異なる部署を経験し、その上での本人の希望も考慮して2年 目以降に本配属」というNRIの仕組みのおかげで、戦略と実行支援の両方に携わることが出来ました。その経験から、若手のうちは戦略と実行のどちらも突き詰めて経営目線を体得することが大事だと考え、3、4年目は自ら希望して、経営構造改革や新規事業立ち上げに取り組みました。最近はそこにデジタルを掛け合わせて「デジタルを使って企業をどうアップデートするか」というテーマに取り組んでいます。様々な経験をする中で、それらが有機的に繋がり、自分なりの強みになってきているような実感があります。

早川 事業戦略系プロジェクトは通常3か月程度と短期間なのですが、新規事業の戦略立案から実行支援まで、1年半くらいかけて支援したことがあります。「この技術をどんな領域でどういうお客様に売っていくか」という戦略から、それを実際に企業に営業していくフェーズまで一貫して支援したことは、非常に良い経験になりました。

—出口さんは入社以来、エネルギーや建築領域を専門にされてきたのですか。

出口 これまで携わってきたプロジェクトのメインはエネルギーや建築ですが、それ以外にも様々なプロジェクトに携わってきました。例えば昨年は経済産業省が主動する人材流動活性化や新規事業創造の実証事業に関わりました。

尖った技術があるものの人手が足りていないスタートアップと、優秀な人材がいるものの活用しきれていない大企業を組み合わせて、双方のギャップを埋めながら、組織を活性化していくための方法を考え、形にしていくプロジェクトでした。

—コンサルタントとして長く経験を積むと、自分の専門領域のプロジェクトが中心になるイメージですが、新たな領域や自分の興味のある領域にも積極的に関わっていくことができるのでしょうか?

出口 私の場合はプロジェクトや海外駐在を経て「環境・エネルギー」「都市・建築 」「海外・アジア」という軸が出来あがりましたし、新卒採用の担当者に就任したことをきっかけに、4つ目の軸が出来るのではという期待感もあります。

ただし、専門性は大事なのですが、専門性が確立できたなという状態に満足し歩みを止めてしまうと、お客様への提供価値が下がってしまったり、キャリアにおける課題になることもあります。私の場合は、自分の専門領域のプロジェクトはインストラクターとして育成した若手に徐々に引き継いでもらい、空いた時間で他の領域に取り組むようにしています。

NRIの流儀:「変革パートナー」「お客様のDNAに寄り添う」「破壊的イノベーション」

—NRIのコンサルタントの価値やコンサルティングの特徴について教えてください。

早川 最近は物事が複雑化して、これまで全く関係なかった領域にまで影響が及ぶことも少なくないので、一つの企業だけでは手に負えない課題も増えてきています。NRIには幅広い領域の知見を持つ人材が集まっているので、どんな相談にも対応できるというのは一つの価値だと思います。

また、NRIのコンサルタントの存在自体もお客様にとって価値につながっていると感じます。コンサルタントが企業の課題を解決するのは当然ですが、支援するお客様のお手本であり続けることも大切なことです。お客様のパートナーとして、MTGのアジェンダの設定や他者とのすり合わせの仕方を示したり、時には壁打ち相手になったりしながら、お手本となってプロジェクトの進め方を伝えていくこともコンサルタントの重要な役割です。

水谷 お客様の会社が大事にしている価値観や風土を同じように大事にするのも、NRIのコンサルティングの一つの特徴だと思います。

「この会社であればこう進めた方がいい」、「この会社だからこう変わっていける」など、会社のビジョンや風土、これまでの勝ちパターンなどにまで遡り、お客様の会社のDNAのようなものを大事にしながらコンサルティングをしていきます。

「うちの会社のことを一番よく理解してくれている」という言葉をいただくことも多いので、そうしたコンサルティングの理念もお客様から支持していただける一つの要因だと思います。

出口 先ほどご紹介したゼロエネルギー建築のプロジェクトは、経済産業省主導のものでしたが、これを契機に環境省・国土交通省も含む三省連携でゼロエネルギー建築を推進すべきという機運が強く醸成され翌年からそれが実現されました。政策に係る仕事は自身が中央省庁に勤めていたとしてもできたと思いますが、国の縦割り組織を越える破壊的イノベーションを実現できたのは、コンサルティング会社に勤める立場だからこそだと思います。当社がそうした働きかけを主導していくことは理想的ですし、そこにチャレンジできるポジションにいるというのも大きいと思います。

NRIのコンサルタントは、コンサルティングを通じて既成概念を変えることができる存在であり、常にそこを目指していくべきだと考えています。そうして国や行政、大企業やリーディングカンパニーの変革を支援していくことが、社会全体にも変化をもたらします。

「社会課題解決型コンサル(=コンサル5.0)」が求められる時代へ。

—実際にNRIで働いてみて、入社前のイメージと異なる部分はありますか。

早川 就活を始めた頃はシンクタンクというイメージがありましたが、実際には調査研究はコンサルティングに内包されているので、コンサルファームとシンクタンクの境界線はほとんどありません。シンクタンクという土台があり、それを活かしてコンサルティングを展開しているというのがNRIの正しい姿なのだと思います。シンクタンクとしてのプレゼンスは発揮しつつも、実際の割合としては民間系のプロジェクトの中でも戦略立案・企業変革に関するものが多い経営コンサルティングファームだと実感しました。

水谷 数十年前は一つのテーマの調査研究レポートを同じ内容で複数社に渡すというのが主流でした。しかし会社ごとに採るべき戦略は異なるので、戦略や実行まで支援してほしいというニーズが徐々に高まり、現在のようにリサーチから戦略策定、実行支援までを個別のプロジェクトとして担うようになりました。

出口 1960年代に、NRIが精度の高い大阪万博の需要予測をおこなったことで知名度が上がりシンクタンクのイメージが定着したという話はよく聞きます。そこから国や公共系のプロジェクトを多く手がけるようになり、現在は民間企業のプロジェクトまでテーマが縦横に広がっています。

早川 一昔前まで日本が世界のトップだった領域で、海外企業が躍進している現状がある中で、NRIの中でも製造業×ソリューションのプロジェクトや海外を交えたプロジェクトなど、クロスのコワークプロジェクトが増えてきています。

出口 他にも、最近は「自治体と連携したスマートシティ推進・デジタルガバメント構築」「国際的なカーボンニュートラルビジネスで勝てる企業を牽引するGX(グリーントランスフォーメーション)リーグの設立支援」など、社会課題解決に直結するプロジェクトも増えています。シンクタンクだけでなく、戦略コンサル、業務・実行支援コンサル、そしてITソリューションを長年自社で手掛けているNRIだからこそ、社会・産業の“あるべき姿”を描き、その姿に向けて国や企業を巻き込みながら変革に導く「社会課題解決型コンサル(=コンサル5.0)」を実現できるのではないでしょうか。

何のための専門性か?我々は「変革のプロ」であり続けたい

—これからどのようなコンサルタントを多く輩出していきたいと考えているか教えてください。

水谷 よくコンサルタントはUp or Outの世界だと言われますが、NRIは新卒からコンサルタントを育成していく文化なので、社内にいる私たちが常に新しい課題に対応し続けていかなくてはいけません。そのため専門性だけではなく変化対応力を持ち合わせていないと、より複雑で難易度が増す世の中の要望には応えられません。NRIが変革をもたらすファームである以上、私たちコンサルタントも常に変化していかなくてはいけません。

先ほどお話ししたように、私は1年目に戦略系プロジェクト、2年目に実行支援系プロジェクトに携わり、その後も経営構造改革やデジタルなど様々な経験をしてきました。専門家ではなくクライアントや社会を変革する人材を育成、輩出するために、特に1年目は複数の領域をローテーションしながらコンサルタントとしての変化対応力を磨いてもらいたいと考えています。

出口 業界やテーマという専門性はあくまでも一つの武器なので、1年目に半年ごとに異なる領域を経験する中で、お客様を変革に導くためのコンサルティングスキルやノウハウを掴んでもらいたいです。

物事の変化のスピードは確実に速くなっているので、変革のプロというのを最終的なゴールに据えて自らの価値を高めていかないと、いずれお客様にコンサルタントとしての価値を認めてもらえなくなるでしょう。

—新卒採用においては、どのような点を重視していますか。

出口 何事も自分ごとにしていくという意味の「ラストマンシップ」。年次や知識レベルが異なるチームにおいて、どのように貢献意識を持てるかという「One Team」。そして、荒削りでも動きながら変化していける「自走マインド」。新卒採用においてはこの3つをテーマに掲げています。

また、グループディスカッションやインターンなど選考においては、「自分はこう思う」という意見を持ちながらも、相手の意見を踏まえて自分の考えや所作などを変化させることも必要です。自分自身の殻を破り、変われるかどうかは重視したいポイントです。

水谷 基本的にコンサルタントは自ら主体的に動くことが求められます。与えられた仕事に取り組むだけではなく、自分の専門性を活かして企業に提案してもいいですし、解決したい社会課題があれば、社内で知見のある人を巻き込んで解決するためのアプローチを見つければいいわけです。

ただ一人でできることには限界があるので、自分の考えだけではなく周囲の意見も上手く取り入れながら、結果に対してどれだけ真摯に向き合えるかが重要です。

早川 確かにコンサルタントは自己主張が強いイメージがありますが、知識や知見だけではなくチームワークも大切です。お客様を大切にする商売ですし、初対面の人や社内外のメンバーとチームを組むことも多いので、短期間で結果が求められる中で、お互いにどれだけ気持ちよく仕事ができるかも鍵になります。

テレワークの時間が増え、常に相手が見える状況ではないからこそ、全てを自分ごとに捉えて、自ら変化していく意識を持ち、いかに気遣いやチームワークを大事にできるかも求められています。

「自立」ではなく、ともに「自走」するコンサルタントを目指せる方とお仕事をしたい

—コンサルタントとして、一緒に仕事をしたいのはどのような人ですか?

水谷 効率的に仕事を進められる人ではなく、お客様への付加価値を最大化できる人ですね。お客様のことを考え抜いて、自分の言葉で意見できる人と一緒に仕事をしたいです。

出口 NRIのコンサルタントには、そのプロジェクトのリーダー的存在でなくとも、全員がリーダーの視点・全体俯瞰の視点を持ってプロジェクトに携わってもらいたいと考えています。プロジェクトメンバーの役割を明確に区切って完全分業制で仕事を進めれば無駄は生じないかもしれませんが、自分で動いて色々なことを見聞きして考えた結果、「自分はこう思います」と意見してもらえるのは嬉しいことです。その時は多少非効率でも、数年後にその人が完全自走している状態がつくれれば良いと考えています。

—最後に、学生のみなさんにメッセージをお願いします。

早川 自分自身の就活を振り返って良かったと思うのは、最終的に第一印象や直感を信じたことです。一方で、コンサルファームしか見ていなかったので、もっと幅広い視点で就活に取り組んでみてもよかったと思います。ただ、就職した後の時間のほうが圧倒的に長いので、学生時代の4年間は自分の遊びや学びに集中してほしいというのが本音です(笑)。

水谷 コンサルタントを目指すのであれば、ベースにある個人の想いや主体性が大事なので、就活対策を重ねて無理に自分を飾ることは必要ないかと思っています。学生時代に様々な経験を積んでレベルを上げることは否定しませんが、「今後社会で何が求められてくるのか」、「自分は何を成し遂げたいか」、「自分の特性は活きるのか」を考えながら企業を選ぶべきだと思います。他者と比較しての幸福は長続きしないので、就活を機に自分を相対評価することをやめてみるのも良いと思います。

出口 私の場合はたまたま建築やエネルギーの領域でしたが、根底に「自分がこれをやっていると楽しい」とか、「この課題を解決して変革したい」という想いを持ってさえいればどんな領域でもいいと思います。そうして「これをやるべきだ」という仕事を突き詰めて、コンサルタントが掲げるミッションを達成する。NRIがそれを実現するための機会を提供し、最大限サポートできれば嬉しく思います。

株式会社野村総合研究所 (NRI)

Interviewee

出口 満 氏

でぐち・みつる

株式会社野村総合研究所 (NRI)

経営戦略コンサルティング部門 採用担当

大学・大学院時代に熱中したグリーン建築について、官-民の橋渡し的存在としてのコンサルタント職の立場から社会に根付かせるべく、2012年にNRI入社。入社後は建築・都市のカーボンニュートラル、行政・産業のデジタル変革・社会実装推進に領域を拡げつつ、NRI台湾への赴任経験も経て、プリンシパル職として活躍。2022年より経営戦略コンサルティング部門の採用担当に就任。

Interviewee

水谷 直輝 氏

みずたに・なおき

株式会社野村総合研究所 (NRI)

経営戦略コンサルティング部門 採用担当

“未来創発“の理念と、シンクタンク・ITといったユニークな強み、それによる成長ポテンシャルに惹かれ2017年にNRIに入社。経営コンサルタントとして精進すべく、「経営から現場まで」「戦略から実行まで」をモットーに、経営改革や業務改革、新規事業立ち上げに従事。近年では、経営改革のナレッジにデジタルを掛け合わせ、企業のDXに取り組む。2022年より経営戦略コンサルティング部門の採用担当に就任。

Interviewee

早川 さとみ 氏

はやかわ・さとみ

株式会社野村総合研究所 (NRI)

経営戦略コンサルティング部門 採用担当

専門領域を絞りきれずコンサル業界を中心に就活をする中、NRIの風土や人に惹かれ2018年にNRIに入社。入社後はグローバル製造業コンサルティング部に所属し、自動車から精密機械、化学・素材といった幅広い業界に対し、自動運転や水素、スマートシティ、中国といった、製造業の先端的なトピックに触れながら、事業戦略や新規事業立ち上げを支援。2022年より経営戦略コンサルティング部門の採用担当に就任。