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創業わずか15年で売上507億企業の事業グループ経営者に学ぶ、不確実な未来において成功する新規事業の創り方

「新規事業」に憧れる学生は多い。しかし実際に事業を立ち上げる機会に恵まれる人は一握りだ。では、新規事業を任されるには、どのような知識や能力が必要なのだろうか。 創業以来増収を成し遂げている事業グループ、 レバレジーズの創業経営者、岩槻知秀氏に話を聞いた。

Jun, 24, 2020

レバレジーズ株式会社

岩槻 知秀 氏

新規事業のポイント① 「未来」を見通す

 新規事業を創る上で欠かせないのが、未来を見通す力です。そのためにはまず、世界で今何が起こっているのかを知る必要があります。

 今、まず何よりも把握しておかなければならないトピックは、「テクノロジー、主にロボットや人工知能(AI)などテクノロジーによる労働力の代替」です。有名な話では、この10~20年の間に国内の約49%の仕事がロボットやAIによって淘汰されるとオックスフォード大学が発表しています。政治や経済的な理由により、ここまで急速に変化する可能性は低いですが、考慮すべき発表です。今後、人間の仕事として残りやすいのは、主に「創造的知性が必要とされる仕事」と「人の感情を動かす仕事」でしょう。新しい市場の創造やイノベーション、過去の統計によらないクリエイティブの作成など、創造的な思考力を駆使しながら付加価値を生み出す仕事は、ロボットやAIが進化しても容易に代替されにくい仕事です。営業の仕事に象徴されるような、人の感情やモチベーションを動かすような仕事も同様です。ロボットやAIはインプットからアウトプットを導く分析のような仕事は得意ですが、表現する場において人間の機微に合わせるところにおいて、現状強みはありません。

 他には、「労働力の流動化」も見逃せないでしょう。先日、実質的に移民につながる法律が可決されました。欧米では移民が国民の仕事を奪っているとして大きな議論を呼んでいますが、少子高齢化が進む日本にしても人ごとではありません。日本が無条件に移民を受け入れた場合、日本語力や日本文化への理解といった日本人ならではの能力を必要としない仕事において、日本人と移民の労働者としての価値は同じになります。その結果、賃金格差が広がったり、失業率が高まる可能性も出てくるでしょう。こういった政策によって労働力が余るリスクがある反面、現状では労働力は圧倒的に不足しており、ここに大きなビジネスチャンスも広がっています。

 このようなマクロ動向を把握せずに参入する事業領域を決めれば、必ず見当違いなことになります。最終的には、知識と分析だけで参入領域を100%決め切ることは不可能(後述)なのですが、それが成功確率を上げ、未来を見通すのに必要であることは間違いありません。

新規事業のポイント② 「成長可能性」を見極める

 さて、世界の動きを把握した上で、次はどのようにして新規事業を仕掛ける領域を絞り込んでいけばよいのでしょうか。成長が見込める領域をどうすれば見つけることができるのでしょう。分析しやすいものとしては、「需要と供給にギャップがある領域」に着目すべきでしょう。ギャップはすなわち各領域に対する社会的ニーズが満たされていないことを意味しており、社会的意義と成長可能性が大きい領域だと言えます。例としてレバレジーズが国内で事業展開している、医療・介護福祉領域、エンジニア領域はまさに需給ギャップのある領域です。

 医療・介護福祉領域に関して言えば、日本は世界でも類を見ない超高齢社会に突入し、その費用は増加しています。高齢者の患者や介護サービス利用者が急増する中で、今後は医療・介護に従事する人材の不足が社会的課題になることは必至です。介護ロボットなどの開発も進んでいますが、需要のある全国の介護現場に行き渡るには時間がかかりますし、看護師など有資格者でないと対応できない血の通ったサービスも残るでしょう。

 また、テクノロジーの著しい発展の裏で、エンジニア不足も顕著です。新たな技術が急速に普及していくためには、その技術を現実世界に適用していくエンジニアの存在が不可欠です。人工知能やAIが圧倒的な注目を集めている現在、機械学習やディープラーニングの知見を持つエンジニアを多くの企業が求めています。ここに事業成長の可能性がありました。

 レバレジーズは機を逃さずに医療・介護福祉領域やエンジニア領域に進出したことで、創業から増収を続け、急成長を遂げている企業として注目を集めるようになりました。

レバレジーズも注目する成長領域とは?

 では、これからはどのような領域が注目に値するのか。成長可能性が高い領域はいくつかありますが、レバレジーズで事業構想を描いているのは、「日本の高齢化社会に向けた課題をテクノロジーと国内および海外の人材活用によって解決するビジネス」や「途上国インフラ」といった領域です。

 日本の高齢化社会に向けた課題をテクノロジーと国内および海外の人材活用によって解決するビジネスでは、国内の人材不足が叫ばれている医療介護や製造業といったドメインにて海外の人材を日本につなぐプラットフォームとなる事業や、AIやRPAといったテクノロジーを駆使した労働生産性を上げるサービスを展開する予定です。

 途上国のインフラ構築は、10年の構想で進めています。こちらも需給ギャップが明らかな領域です。特に、インターネットサービスのインフラは早期に構築できそうだという見立てがあります。既に海外では、シンガポール、メキシコ、インドでの営業を開始しており、今後は、タイやインドネシア等の東南アジア、欧米等への進出も予定・検討しています。

 芽が出そうな領域があれば、レバレジーズ本体でインキュベーションをして、軌道に乗れば分社化していくという方針で今後も新たな事業を打ち出していく予定です。

新規事業のポイント③「誰がやるか」が成否を決める

 事業そのものの話ばかりしましたが、「誰がやるか」も重要な鍵になります。実はこれが最も模倣されにくい差別化要因でもあります。レバレジーズの強みもまさに「人」。

 一人ひとりが成長するように適材適所の人材配置を決めるのは私の役割ですが、これまでも多くの新卒や内定者を事業責任者や重要なポジションに抜擢してきました。経験から言えば、特に事業家に向いているのは、「判断センス」と「実行力」があり、かつ「前向き」で「執着心」がある人です。常に自分なりの仮説を持ち、それを現場で検証していくことで「判断の精度」は上がっていきますが、そもそもの着眼点が悪ければ永遠に解にはたどり着きません。それが「センス」の部分です。また、ロジックやデータで事前に事業の成否が100%分かるはずもありません。曖昧な状況下で可能な限り精度の高い判断をし、やり抜く必要があるからこそ、「執着心」が必要ですし、できない理由を完璧に説明できてしまう「頭でっかちで悲観的な分析家」よりは「行動力と思考力のある前向きな人」の方が事業家向きだと言えるでしょう。

 レバレジーズではこの素養があれば、内定者でも事業を任せてきた実績があります。実際過去に内定者(現在は社員)に新規事業を任せたことがありますが、そのサービスは順調に成長しており、数年後には数億円の利益を出す見込みです。今後グループを拡大していく上で、ポジションや投資予算は当然増えますので、それに伴いますます抜擢の機会は増えます。新規事業を自らの手で創り上げたいという人は、ぜひレバレジーズの門を叩いてほしいですね。

レバレジーズ株式会社

Interviewee

岩槻 知秀 氏

いわつき・ともひで

レバレジーズ株式会社

代表取締役

1980年生まれ、大阪府和泉市出身。早稲田大学社会科学部入学後、大学1年時からIT企業にて経験を積む。2005年大学卒業と同時にレバレジーズを創業し、現在に至る。「関係者全員の幸福の追求」という理念のもと、創業15年で売上451億円企業を実現。「働きがいのある会社ランキング2019」大企業部門ベストカンパニー、女性部門のW受賞、「ワンキャリア就活クチコミアワード2019」人気企業ランキング インターン部門GOLD、「東大京大21卒就職ランキング」TOP100。