【30年間就活生をみてきた採用のプロが語る】意外と知らない就活の5つの事実・前編

“自己分析は必要ない” “やりたいこと=おもしろい仕事ではない”……人事部長、採用担当の経験を通じて多くの学生を見てきたJ-CADアドバイザー 米田 靖之氏が「正しい会社のえらび方」について語ります。

米田 靖之 氏

1982年日本専売公社(現 JT)入社。人事部長、製品開発部長、たばこ中央研究所長を経て、執行役員R&D責任者となる。2015年末退任し、現在は複数社のアドバイザーを務める。


目次

自分に合った会社えらびをするには

私は、初めて人事の採用担当をやった1987年以来、今まで約30年間にわたって就活生と会ってきました。その中で、採用の第一線から最終面接まで、採用活動の全ての局面に関わってきました。その経験を通じて、「学生が正しい会社えらび、すなわち自分に合った会社えらびができていない」という問題意識を持っています。

学生の皆さんにとって、就活は初めての経験であることや、世の中に非常にたくさんの会社があることから、どうやって最適な会社を選べばいいのかよくわからないというのが、正直なところだと思います。そこで、本当に自分に合う会社えらびをするために必要なことを、これからお話ししたいと思います。まずお伝えしたいのは「自己分析はいらない」ということです。

事実(1)頭で考えて自己分析をするよりも「自分に合うと感じた会社をえらぶ」ことが大切

自己分析の目的とは何でしょうか。自己分析をしなければ、自分の軸がわからず、志望動機をエントリーシートに書けない…そう考えている人が多いかもしれません。しかし、就活の目的は「いいエントリーシートを書くこと」ではなく、「自分にとっていい会社に入ること」のはずです。この考え方にもとづくと、自己分析の必要はありません。

就職先えらびで一番大事なのは、「どんな仕事をするか」ではなく、「どんな環境で仕事をするか」ということなのです。自分には、どんな環境が向いているか。また、その環境はその会社にあるのか、という視点で会社えらびをするべきだと思います。仕事への適性や仕事のおもしろさというものは、実際に働きだして初めて分かるものです。しかもそれは、今やりたいと思っていることと必ずしもイコールとは限りません。仕事のおもしろさというのは、仕事の種類で決まるというロジックが一般的ですが、実はそうでもないと思います。

仕事をおもしろいと思うための条件には三つあります。「自分で考えたことを」「自分でやって」「いい結果が出る」。この三つの条件を満たせば、仕事はおもしろくなります。仮にその仕事が最初は「やりたいこと」でなかったとしても、です。「やりたいこと」だけが必ずしも「おもしろい」わけではなく、これらの条件を満たしていれば、種類に関わらず仕事はおもしろくなる、と気づくことこそが、重要なポイントです。

事実(2)「おもしろい仕事」をするために必要なものは知識よりもチカラ

多くの学生が、自分のやりたいことができるかどうか、という観点で会社えらびをしがちです。しかし、日本企業の多くはジョブローテーションをおこなっており、入社後、必ずしも望む職種や業務内容に携われるかどうかは分かりません。つまり、やりたい職種や業務内容にこだわった会社えらびをしていては、自分の将来の可能性を狭めてしまうことになるのです。

また、専門知識を持っていると仕事ができる、と考えている人もいるかもしれません。しかし、学生時代に得た知識は、ビジネスシーンでは専門知識とはいえないケースがほとんどです。仮に知識があれば仕事ができるかというと、そうではありません。仕事で結果を出すために必要なのは、知識よりもむしろチカラです。もちろん、最低限の知識は必要ですが、大きな仕事を任されるにつれ、8:2の割合でチカラのほうが重要になってきます。このチカラとは、「自分で戦略を立てる力(何をするか考える)」「自分で戦術を立てる力(どうやってするかを考える)」「自分で実行する力」の三つのチカラです。

このチカラは、どの職種でも共通で活かすことができます。仮に職種が変わってもその職種に必要な最低限の知識さえ身につければ、仕事ができるようになります。その最低限の知識は、仕事をしていく中で3カ月もすればキャッチアップできます。しかしチカラは、いくら勉強しても身につくものではありません。実践で鍛えるのみです。

おもしろい仕事をするには、仕事の種類は関係ありません。自分で考えるチカラと、自分で実行するチカラが重要なのです。チカラがあれば、仕事はおもしろくなります。では、どうやってそのチカラをつければよいのでしょうか。

事実(3)チカラをつけるには「一生懸命やり続ける」しかない

やりたいことができる会社や、スペックの高い会社に入るとチカラがつくのでしょうか。それは正解ではありません。チカラをつけるには「一生懸命やり続ける」しかないのです。「一生懸命やる」とは、与えられた仕事を100%完璧にこなすことではありません。自分が成長し続けるため、最初の5年程度、120%のマインドで取り組むということです。常に120%で走り続けていれば、仕事の内容や大小に関わらずチカラは蓄積されていきます。

では、最初の5年間を120%のマインドで取り組むために必要な条件とは何でしょうか。確かに、興味のあることや高い給与のためであれば、一時的には頑張れるでしょう。しかし、5年間120%を継続することはなかなか難しいものです。継続するためには、一生懸命になれる環境にいるかどうかが大切です。

「一生懸命になれる環境」を探す基準とは?後編へ続く。
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