全米No.1の起業家養成校Babson College訪問③日本人教授へのインタビュー(Slogan Summer Job 2016)

全米No.1のビジネススクール訪問をはじめ、近年スタートアップ熱が加速しているニューヨークにて起業家インタビューやスタートアップ訪問を実施するスローガン(Goodfind運営企業)の海外渡航インターン、「Slogan Summer Job 2016」。300名もの中から選ばれた大学生3名とスタッフが、現地の様子などをレポートします。
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全米No.1の起業家養成校Babson College訪問②(Slogan Summer Job 2016)


Slogan Summer Job 2016 Day1の最後の記事は、Babson College初の日本人教授として、8年間教鞭を取っている山川恭弘教授を囲んで行われた座談会について、中村がレポートします。


Babson College唯一の日本人教授

日本で生まれながらも、今までアメリカ含め8か国で生活し、旅行含めれば50か国以上の海外経験があるというバックグラウンドを持つ山川教授。その「日本人離れ」した雰囲気は自他ともに認めているほどで、日本語と英語を織り交ぜてエネルギッシュにお話される姿が印象的でした。

山川教授はアカデミックの世界に入る前、インターネット、通信といった業界で、大企業の中での新規事業開発や、スタートアップの設立等に従事してきたそうですが、いつしか「プラクティス(実践)とアカデミックのブリッジ、アカデミックの中のアントレプレナーになりたい」と思うようになり、今の職に就いているとのことです。
そんな山川教授が現在主に担当しているのは、ファウンデーション・オブ・マネージメント・アンド・アントレプレナーシップ(FME)と呼ばれる授業です。FMEでは、入学したての大学1年生が4人1組のチームを組み、ビジネスプランを発表。その後、生徒自身による投票等を通して選ばれた2、3の優れたプランについて、実際に会社を設立し、ビジネスを実行するところまでやる、というかなりハードなものです。

山川教授が教えるアントレプレナーシップ

では、FMEで教えられているアントレプレナーシップとはどういうものなのでしょうか。山川教授は次のように述べています。

「FMEでは最初から、世界を変えること、自分が感じた社会の問題に対して行動するということを教え込まれます。お金はあくまで手段であり、お金儲けがゴールではありません。そして、社会問題の解決は自分一人ではできません。だから、自分以外の周りを巻き込むことが必要ですが、そこで大切なのは自分がリーダー、アントレプレナーシップと呼ばれるかということではなくて、いかにその社会問題解決のための潮流を作れるかということです。リーダー自身ではなくて、それに巻き込まれる人がその巻き込みを連鎖的に起こしていくことが大切です。」

リーダーシップというとリーダー自身の能力として捉えられがちですが、本質的には元々感じていた問題を解決することが大事なのであり、そのためには周りを巻き込み「潮流」を作るべきである、というのは、自分が世界を変える、という責任感に満ちている人ほど見落としがちな考え方かもしれません。最近では、リーダーではなく、そこに巻き込まれていく人の方を注目した「フォロワーシップ」という考え方もあるとのことで、実際リーダーより、リーダーについていく人の方が勇気、能力が必要かもしれないと山川教授は仰っていました。
では、そんな「潮流」を作れるリーダーになるために、FMEではどのように教えられているのでしょうか。

「アントレプレナーシップの一番の基礎は、自分をどれだけ理解しているか、ということです。そのためには、日々自分の行動を徹底的にreflection(振返り))し、自分はどういう人間なのか、何をしたいのかと自問することが必要で、授業でもreflectionの時間をかなり取ります。また、自分を理解するためには、自分を批判してくれる人も必要なので、お互いに建設的な批判をする文化を、教室に作ります。日本やアジアではこの文化はあまりありませんが、建設的な批判は敬意を表することで、それは相手を愛しているからこそ生まれるものなのです。」
日々振り返ること、自分に対する他者の批判を大事にすること。頭で理解はしていても実際に毎日続けるとなると難しいことだと思いますが、それを通してBabson Collegeではアントレプレナーシップが形成されていくのでしょう。

日本の起業文化に必要な3つのこと

多様なバックグラウンドを持つ山川教授ですが、「日本の企業活動に還元したい」という理念があるそうです。そんな山川教授は、日本の起業文化について、次のように仰っていました。

「日本には次の3つがもっと増えることが必要です。一つは、エリート層が起業すること。トップの大学に通うエリートたちが起業することで、起業がメインストリームになっていきます。次に、女性が起業すること。日本でも女性の起業家は増えつつありますが、数が増えるだけでなく、2つ、3つでも良いのでDeNAのようなメガベンチャーを作っていってほしいです。女性は元々それだけのパワーがあるので、出来ると思います。最後に、大企業からスピンオフして起業する人が増えること。日本ではまだどうしても、優秀な人が大企業に集まる傾向にありますが、大企業は今その瞬間は成功しているように見えても、成長スピードは遅く、Opportunityも少ない。アメリカでは大企業に就職したとしても、それはあくまで自分で起業するためのステップという人が多い。」

3つのどれもそう簡単なことではないと思いますが、私たち一人一人に出来ることは限られています。だからこそ、山川教授が先に仰っていたように、社会を変えようという「潮流」に加わり、周りを巻き込んでいくことが大切なのではないでしょうか。


いかがでしたでしょうか。次回は、ハーバードビジネススクール訪問のレポートをお届けします!

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[2016'09'20 更新]

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