特別講演として、経営共創基盤代表取締役 CEO、元産業再生機構 COOであり、
コンサルティングビジネスを通じて、創業時・成長段階・再生など、企業の様々な段階における経営支援をされている
冨山和彦氏に、東京大学出身の経営者に向けたメッセージを語っていただきました。
「これからの時代に求められる、経営者の条件」
経営者とは、自身の判断や行動によって事業の存続や盛衰、さらには他人の人生に影響を与える仕事です。経営者は、企業を発展させ、イノベーションを繰り返すために、常に戦略的な意思決定をし続けなければいけません。その中で、時としてある種の矛盾をはらんだ意思決定を求められることも数多くあります。というのも、戦略やイノベーションは非常に綺麗な言葉ではありますが、実際に戦略的な意思決定を行う際には、とりうる多くの選択肢から優先順位をつけ、重要ではあるがより優先順位の低いものは切り捨てなければいけない場面があるからです。その意思決定により、ある事業を切り捨てることもあれば、その事業に携わっている社員やその家族の人生に影響を与えることもあるのです。
それでは、常に意思決定が求められる経営者に求められる条件とは何でしょうか?
重要なことは、外部環境に応じて、自社の本質的な問題を見極め、かつその問題を合理的かつ現実的に乗り切ることです。 景気の変化など外部環境を原因にして、会社がつぶれたり淘汰されたりするのであれば、経営者は必要ありません。 環境の変化に対応し、問題の原因を見極める努力を怠ってはならないのです。 また、見つけた問題にどう対処するか、という姿勢も問われます。私がかつて再生に携わった企業の経営陣は皆、口をそろえて 「自分は問題に気づいていたが、周囲の反対等、事情により解決できなかった」と言います。経営陣同士の足の引っ張り合いや、 問題解決のために変化を起こすことへの躊躇が発生しているのです。問題に対し、合理的かつ現実的な意思決定をし、 乗りきる行動を起こすことが必要なのです。もちろん、時には、経営者として社員のクビを切らなくてはならないときもあるのです。
これらを乗り切る上で重要になってくるのは、学歴やスーパーコンピュータのような頭の良さではなく、コミュニケーション領域の異なる人とも心の通った意思疎通の出来る、真に高いコミュニケーション能力です。スタッフや参謀には、頭が良くて論理的に物事を考えられるスキルが求められますが、少なくとも会社が倒れそうなときに、経営者の頭の良さで経営を立ち直せることはほとんどありません。企業の経営が厳しい局面では、周りの経営陣の権益を削り、30年・40年と共に勤めてきた社員のクビを切らなくてはならない、非常に苦渋な決断を強いられることもあります。つらい思いをする人の精神的な痛みを受け止め、かつ、残った人たちにも、その後自分を信用してついてきてもらわなければならないのです。組織のトップたる経営者として、さまざまな立場にある役員・社員に、経営合理による意思決定を下すわけですから、彼らを理解し、心を通わせることのできる人間でなければ務まらないわけです。
最後は、「人間として何が正しいのか」という信念の問題になります。自らの価値観に基づいて下した判断に対するブレがあってはいけません。経営者がブレたら現場はさらに大きくブレます。会社が倒れてしまう原因の多くは、判断を間違えたことより、経営者がブレたことにあるものです。今後良い社会を作っていくためにも、このことを自覚した人たちが次世代のリーダーシップをとっていかなくてはなりません。
冨山和彦氏による基調講演後、全参加者様による簡単な自己(自社)紹介が行われ、懇親会へと移りました。
普段なかなか会うことのできない経営者様が、同窓の繋がりという接点から交流を深める機会となりました。
交流会では食事もふるまわれ、和気藹々とした雰囲気。
お忙しい中ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
スローガン株式会社は、各経営者様の交流するプラットフォームとして、今後も様々なイベントを行ってまいります。
新産業を創造する成長ベンチャー企業を応援し、ひいては日本の産業全体の活性化に寄与できればと思います。