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新卒LIVE 2012 より「未来を担う若者よ 志を高く持て」 ソフトバンク株式会社 代表取締役社長 孫 正義氏

300 年企業へ。これからのソフトバンクが見すえる未来とは

私たちが何のために事業をしているのか、何を成したいのかを短い言葉で表せば、「情報革命で人々を幸せに」につきます。
創業者である私の最も重要な役割は、300 年以上続くソフトバンクグループのDNA の設計です。創業からの30 年は300 年の中での第1 チャプターで、次の30年は第2チャプターにすぎません。


300 年先を見るために、300 年前の人々がどうだったのかを考えてみましょう。
300 年くらい前からちょうど産業革命、工業革命が始まりました。蒸気機関がつくられ、製鉄法、紡績機ができ、蒸気船、鉄道が開通し、まさに文明開化の時代でした。圧倒的な動力により人間は自らの筋肉の能力を延長させ、機械により人々のライフスタイルは圧倒的に変わりました。19 世紀初頭には、機械が人間の職を奪う邪魔なもの、怖いものだという、大きな反動もありましたが、現在の私たちの生活を見ると、機械と人間が共存し、機械の優れた能力を使いこなしています。人間は過酷な重労働や危険な作業から解放され、機械によって水道が掘られ、衛生が良くなり、人々が亡くなる原因も減ってきました。平均寿命が今日、延びてきたのも産業革命のたまものでしょう。過去300 年は機械によって人類の生き方が大きく変わるパラダイムシフトがありました。


では、これからの300 年間はどうでしょうか。本当の意味での情報のビッグバンが起きる、今はまだその入口ではないかと考えます。コンピュータの計算能力が過去100 年間で3500 兆倍のコストパフォーマンスになっています。コンピュータの基本的な原理は二進法です。実は人間の脳細胞もまったく同じメカニズムで、脳細胞にあるシナプスが「くっつく・離れる」という二進法で計算したり考えたりしています。人間の大脳には約300 億個の脳細胞がありますが、ムーアの法則に基づいて計算をすると2018 年にワンチップに入るトランジスタの数が300億個を越えます。100 年後にはコンピュータが人間の脳細胞の機能をはるかに越えることは間違いない。これからの300 年、人類は人間の脳を超えるものが初めて地球上に生まれるという人類史上最大のパラダイムシフトを体験するでしょう。


コンピュータの進化により、脳型コンピュータが生まれ、当たり前になると想像します。プログラマがプログラムして初めて計算できる従来のコンピュータと違い、脳型コンピュータは、人間の脳のように自分でデータ(知識)を集積し、自ら学習しながらプログラムしアルゴリズム(知恵)を獲得していく全く新しいコンピュータです。さらに「優しさ」「愛情」といった高い次元の感情を持った超知性の実現が、脳型コンピュータの正しい進化の姿だと思います。人間が人間を幸せにするように、機械が人間を幸せにするように、超知性のコンピュータが人間を幸せにするために共存していく社会を実現したいと思っています。


では、300 年後の世界では超知性を使い、どんな幸せを実現できるようになるか。人間とコンピュータが共に医療技術の高度化に取り組んだ結果、DNA 治療や人工臓器が一般化され、人間の平均寿命が200 歳になる時代が来る。また、人間の脳から手足につながる微弱な電流を使って通信する機能を使い、時計やピアスに組み込まれたチップを付けた人間が、体をいわば通信媒体にして脳とコンピュータで相互通信を行う時代も必ず来るでしょう。中国語、フランス語、英語など異なった言葉も自動翻訳して、まるでテレパシーのようなコミュニケーションもできるようになるでしょう。300 年後のソフトバンクは、携帯電話会社ではなく、テレパシー通信カンパニーになっているかもしれません。また、脳型コンピュータが筋肉(モーター)と合体するとロボットになります。脳型コンピュータを搭載したロボットは一般化し、例えば災害救助や医療現場や家事でも大きく役立つでしょう。脳型コンピュータが新しい発明、新技術を生み出し、未知のウイルスや天災など、人智・叡智を超えた難題も解決できる時代が来るかもしれません。そんな優しさを持った知的ロボットと共存する社会を実現したいと思います。


30 年ビジョン「情報革命で人々を幸せに」

そうした300 年ビジョンをふまえて、次の30 年について語ります。コンピュータのチップの数は脳細胞の10 万倍になります。さらにそのチップは、今日現在の100 万倍のメモリ容量で、300 万倍の通信速度で通信できるようになる。30年後のiPhoneには楽曲が5000億曲、新聞データなら3 億年分、動画にしても3 万年分入ります。実質的に無限大の情報・知識・知恵を格納できるストレージができます。さらに音楽なら1 秒間に300 万曲分のデータをクラウド(インターネット上の大型コンピュータ)からダウンロードすることができるようになる。ライフスタイルが劇的に変わります。情報はデジタルが当たり前になる。電化製品だけでなく靴やメガネなど、あらゆるものにチップが入り、無限大のクラウドと超高速のネットワークでつながり、「見る」「学ぶ」「出会う」「遊ぶ」などさまざまな感動の体験が進化します。教育はもちろん、医療、ワークスタイルも徹底的に変わります。そういう中で私たちは、人類のそして人工知能のあらゆる知識と知恵を徹底的にクラウドに蓄積して人類最大の資産とし、世界中に生まれる最先端のテクノロジー、最も優れたビジネスモデルを持つ同志と一緒になって、ライフスタイルを革新していきたいと考えます。私たちは30 年後に世界の人々に最も必要とされるテクノロジーやサービスを提供する会社でありたいと思います。


ソフトバンクの事業領域は「情報産業」です。しかし、特定のテクノロジーやビジネスモデルにはこだわりません。特定のものを300 年間変わらず持続することは難しいため、その時代、時代で、世界で最も優れた企業とパートナーシップを組むことで、300 年のスパンで成長できる企業集団を目指します。
会社が進化し続ける構造、それは戦略的シナジーグループです。20 世紀の会社組織はピラミッド型の中央集権で大量生産、大量販売を目指すのが普通でした。私たちのグループはWeb 型組織、つまり中央集権ではなく、戦略的シナジーグループがどんどん分散・分権して、お互いに自律して協調しあうような自己進化、自己増殖が可能なグループです。30 年以内にグループ企業を5000社規模に拡大します。


そして、60 代で次の世代に事業を継承します。次の時代を担う後継者の発掘・育成のため、ソフトバンクアカデミアを開校しました。グループ内外から生徒を募り、私自身が初代校長として責任を持って運営します。後継者を10 数年かけて、直接私が指導する育成プログラムです。金を残すよりも、名誉を残すよりも、人を残したい。人に志を残したい。これが私の想いであります。


志高く「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」

皆さんにこれだけは伝えたい。
志高く。坂本竜馬いわく、「世に生を得るは事を成すにあり。」人生一回きりしかないのだから、この時期に自分が登りたい山を決めてほしい。自分の人生を何に懸けたいのか自問してほしい。「登りたい山を決める。これで人生の半分が決まる」目指すべき山を決めずに歩くのは、さまように等しい。自分は何をもって事を成したいのか?その1 点だけは決めてほしい。


会社とは何か?会社とはカンパニーです。パンを一緒に分け合う仲間という語源ですが、もっと大事なのは、志を共有する仲間だということです。一人で登る山も素晴らしいが、一緒に登る山はさらに大きくて楽しい。


病床にいたときに、笑顔が見たいと思った。家族の笑顔が見たい。社員の笑顔も見たい。お客様の笑顔も見たい。見ず知らずの遠い異国のどこかの少女が「ありがとう」と感謝してくれたらいいなと思った。究極の自己満足は、エゴのための満足じゃなく、見ず知らずの遠くの人から、「ありがとう」と小さくつぶやいてもらうこと。余命5 年と言われ病床で泣きながら思った結論だった。
すべてはこの一つのために凝縮できます。「情報革命で人々を幸せに」


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