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グーグルジャパン前社長に聞いた、未来を創り上げる志と、日本企業に対する使命感 グーグル株式会社 前 代表取締役社長 辻野 晃一郎

脱藩のすすめ

私がなぜソニーを辞めてグーグルに入ったのかという話をよく聞かれますが、昔、自分のブログにて「脱藩のすすめ」というテーマで思うことを書いたことがあります。明治維新という歴史的なパラダイム転換の時期においては、将来に危機感を持った若い世代による命がけの体制離反がおこり、新しい日本を作りました。当時を上回るくらいインパクトのある変化が今起こりつつあります。大きな時代の転換点にある今において、昔ながらの大企業に長い間奉職する生き方だけが人生ではなくなったと思っています。できあがった大企業の仕組みに組み込まれるのは、江戸時代末期に、幕藩体制に仕えるようなものです。脱藩して自分の力で第二第三のソニーやホンダを創るダイナミズムをもった若い人たちがもっと増えてきてもいいのではないかと思います。

創業期から成長期にあった昔のソニーは、テクノロジーを持っていて、世の中の枠を嫌い、何かやるのであれば人がやっていないことをやる会社でした。私がグーグルに入ったのも、今の時代において同様のダイナミズムをもつ環境に飛び込もうと考えたからです

将来価値を見据えよ

過去から現在までの価値で物ごとを判断してしまうことは危険です。過去から現在までの価値は、将来にわたっての価値を保証するものではありません。例えば、就職人気ランキングの上位の会社を見ると、過去から現在にかけて時代のニーズに最適化されて価値を高めた会社ばかりです。それらの会社が将来においても最適化され続けるとは限りません。むしろ、ピークを通り過ぎて今後は下り坂に向かう可能性も高いわけです。もし、大学生たちに先見の明があれば、就職人気ランキングには、将来にわたって価値を高める途上にある無名の会社ばかりが並ぶはずです。過去から現在にかけての価値よりもむしろ、将来にわたっての価値で判断する姿勢を持たなくてはなりません。

グーグルに入りたいという人たちも、その動機が過去に誰かが築いた価値にぶら下がることなのであれば、志が低いと言わざるを得ません。そういう人が増えるようでは、会社はだめになります。自分が入ることによって今の会社の将来価値を上げてやる、という気概のある人が増えれば会社は良くなるでしょうし、グーグルでもそのような志を持った人は大歓迎です。

これまでの10年より今後の10年ですさまじい変化が起こる

世界的な有名企業となったグーグルは今もなお、安住することなく、一点の曇りもない信念をもって、グーグルの考える世界観を実現すべく、将来を創り上げる活動をしています。現に、クラウドコンピューティングという概念について、誰よりも早くから取り組み、投資をしてきました。Chrome OSやAndroidなども、クラウドをより利用しやすくするための新しいプラットフォームとして開発されたのです。いまグーグルがやっていることは一見バラバラに見えますが、一貫して全てクラウドコンピューティングの進化やインターネットの将来のためのものなのです。歴史的な長期スパンで見れば、インターネット分野はまだまだ黎明期にあります。今後10年では、これまでの10年よりももっとすさまじい変化が起きると思います。インターネットの将来に対してグーグルは惜しみなく投資を続けています。

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