• トップページ
  • グローバル経営管理インフラを提供するディーバ森川代表が語る「これからの時代に必要な経営力とは?」

グローバル経営管理インフラを提供するディーバ森川代表が語る「これからの時代に必要な経営力とは?」

Oct, 17, 2015

株式会社ディーバ

森川 徹治 氏

経営とは事業資産の配分をおこなうこと

かつて、高度経済成長に支えられ経済が右肩上がりの成長を遂げていた日本においては、企業にとって経営力が問われない時代が続きました。現場が強ければ何とかなり、経営力の良し悪しと事業の成長の関係性が低かったのです。そのため、経営力という概念自体が認識されずにきたわけです。しかし、国内の少子高齢化と市場のグローバル化の流れの中で右肩上がりの成長が終わったいま、経営力がより重要な時代になったのだと言えます。では経営とは何か。単純には「売上最大、コスト最小」を目指すことですが、これに加えて「事業資産の配分」という意味合いがより重要となってきます。社会の成熟度が高くなればなるほど、入ってくる現金を重視するキャッシュ志向から売上とコストを重視するP/L志向(※1)、そして見えない資産も含めた事業資産をどう増やすかを重視するB/S志向(※2)をもった経営スタイルにシフトしていく傾向があります。今まさにB/S志向で経営を考えることが求められています。

つまり、事業資産を増やすために、投入された資源・人財・時間まで含めて最適に配分することが求められているのです。右肩上がりの経済で、パイが増えていった時代には配分を気にしなくてよかったわけですが、成長が必ずしも前提とならない以上、配分はとても重要な経営課題となります。横並び意識で同業他社と同じことを全てやっていれば良かった時代は終わり、一社一社がグローバルな視点で自分たちの存在意義と、どのように社会に貢献していくのかを定義し、考え直さなければいけない時期にきているのです。

経営力を高めるためには経営情報の開示と共有が必要

経営力とは経営者だけではなく組織全体で実現するものです。組織として、事業資産を増やすにはどうするか?といった経営視点による思考を当たり前にすること、つまり「経営情報の大衆化」を実現する必要があるのです。米国式のトップダウンの経営手法が賞賛されがちですが、色々な経営スタイルがあって良いのです。その証拠に、日本では、自由闊達に現場の人が活躍している会社が成長していることが多く、「トップマネジメントは環境を用意し、現場が結果を出す」というボトムアップ型の経営手法が得意でした。

組織全体として、経営のコミュニケーション、すなわち、財務諸表や経営者の考え、事業計画を通したコミュニケーションの充実による、経営情報の開示と共有によって、個々人が自分たちの意思でやることを決め、行動できる環境が整います。個々人が経営情報を活用し、事業資産を増やす方法を考えることができるのが組織的な経営力です。トップマネジメントの経営力と組織的な経営力とを高めることで、経営の品質を向上させることにつながります。

※1:P/L志向=売上・利益を重視し、短期的な損益を追求する経営志向
(P/L=プロフィット&ロス・損益計算書)
※2:B/S志向=長期的な視点で企業価値を高めるため、自己資本および負債のみならず、人財、組織を含めた事業資産をいかに充実させるかを重視する経営志向
(B/S=バランスシート・貸借対照表)

コンサルティングのナレッジを製品化し、世界に挑む

ディーバは、企業の経営品質の向上に貢献するために、グローバル連結経営という経営モデルを推進し定着化することを目指しています。グローバル連結会計システムは、単なる会計処理のためのものから、グローバル連結経営の情報基盤へと重要性を増し、あらゆるグローバル企業にとって必要不可欠かつ戦略的な意思決定を担うものとなっていくでしょう。

あえて労働集約型でコスト高になるコンサルティングという手法ではなく、ノウハウをパッケージとして集積しソフトウェアとして提供する手法をとることで、より安価により多くのお客様に貢献できるようになります。コンサルティングはフロー型のプロフェッショナルサービスですが、ソフトウェアはストック型のプロフェッショナルサービスです。経験・知識・ノウハウがソフトウェア製品の中に蓄積されていきます。より多くのお客様に使ってもらうためにも、人件費原価の高いコンサルティングではなく、供給量を増やせば増やすほど提供原価が逓減していくソフトウェア製品にする必要がありました。

また、これはグローバルニッチトップを狙うための戦略でもあります。なぜなら、グローバルに展開しようと考えた時に、拙い非母国語でコミュニケーションをとるより、動くシステムを製品として見せた方がわかりやすいためです。これまで創業から12年間で日本のリーディングカンパニー600社にご利用いただいております。これまでは国・地域によって会計基準に違いがあったため海外展開は難しかったわけですが、IFRSの普及にともなう会計基準の国際標準化によって、ディーバがグローバルに事業を展開する大きなチャンスが到来したと考えています。世界中の企業がディーバの製品を導入できるようになるのです。どんなニッチな分野であれ、世界市場でトップの地位を狙い、外貨を稼ぐことで日本経済の発展に貢献する企業になりたいと考えています。

事業を通して経営を学べ

将来経営に携わりたい学生の中には、就職先としてコンサルティング会社を目指す人がいるようですが、本当に経営に関わりたければまずは事業会社で実業に身を投じ、自分で稼げる人にならねばなりません。知識としての経営と、リアルな世界での経営との間には大きなギャップがあるのです。経営者は、戦略から事業資産、人財・組織など目に見えない資産も含めて責任を持つものです。社員に関しても単純にコストとしてとらえるのではなく、人生の時間を預かっていると考え、人的資産を徹底的に生かしていかないといけない。そこまで考えると、コンサルタントにお願いできるのは、情報を整理することだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。経営者が本気で、戦略の意思決定をコンサルタントに頼るようになったら、経営者失格です。

ディーバでは、企業の経営品質の向上とグローバル連結経営の推進をテーマとして掲げながら、自ら製品を開発し、お客様に貢献していく事業を創っていく実業としての機会もたくさんあります。個々人が自分の経営力を高められる環境を提供していくことが経営の役目だと感じていますので、これから参画される若い人たちには、事業を創る経験をしてほしいと思っています。

株式会社ディーバ

Interviewee

森川 徹治 氏

もりかわ・てつじ

株式会社ディーバ

代表取締役社長

1966 年生まれ。1990 年、中央大学商学部卒。同年プライスウォーターハウスコンサルタント(現:日本IBM)入社。連結会計システムの開発、導入を担当。97 年、ディーバを創業し代表取締役社長に就任。