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個人の1秒の価値を最大化することで、今までできなかったことをできることに変える

Aug, 18, 2015

株式会社リアルワールド

菊池 誠晃 氏

時間や場所に関係なく誰でも働ける世界を創りだす

昨今、モノやサービスの交換や共有を通じて経済が成り立つ「シェアリングエコノミー」という概念が、私たちの生活に浸透しつつあります。それは、インターネットやソーシャルメディアの発達により、モノを所有するのではなく、時間貸しやシェアで賄うことに着目したAirbnbやUberといったサービスが、社会に受け入れられ急成長していることからも見て取れます。インターネットを通じて一つの仕事を複数人でシェアするクラウドソーシングサービスも、シェアリングエコノミーの潮流の一端であるといえます。
現在、注目を浴びているクラウドソーシングサービスの多くは、プロジェクト型やコンペティション型と言われる、専門的なスキルを持った個人と業務をアウトソースしたい企業を結びつける手段です。一方、私たちが考えるクラウドソーシングは、専門的なスキルや高いITリテラシーを持たない人、地方在住であるがゆえに働く場所が限られている人、子供がまだ小さいといった理由で労働時間に制約ある人、そういった働くことに制約がある人々でもインターネットさえあれば誰でも働くことができる、「マイクロタスク型クラウドソーシング」を展開しています。

マイクロタスク型クラウドソーシングが実現する隙間時間の価値の最大化

リアルワールドのクラウドソーシングサービスでは、リアルワールドがクライアントから受注した大規模な業務を細かなタスクに分割・単純化(=マイクロタスク化)することにより、専門的知識や特別なスキルがない人でも、隙間時間で働くことができます。またタスク単位で働くことができるため、子供が昼寝をしている1時間、お湯を沸かす数分でも働くことを可能にしています。
本来ならば、まとまった数時間を確保できなければ働けないところを、当社のマイクロタスク型クラウドソーシングという手段を使えば個人のたった1分に対して価値をつけることができるのです。

870万人の仮想会社が持つ可能性

私たちのサービスの中に、手書きデータの文字起こしという作業があります。これは、1作業、数秒で完結できる作業です。
私たちのサービスには現在870万人(※注)の会員にご登録いただいておりますが、例えば、870万人の会員が1人1文字を同時に入力するだけで、一瞬で870万文字の入力が完了してしまうのです。いわば、870万人の仮想会社であるとも、考えています。
このように1人の数秒、数分の隙間時間はとても大きな可能性を秘めており、その価値を最大化するための仕組みを整えるのが、リアルワールドの役目です。

※2014年6月末現在

マイクロタスク化によるクライアントメリットと今後の展望

また、マイクロタスク化により、多くのメリットをクライアントに提供できています。例えば、書類のデータ入力作業において、その書類画像を最小単位まで分割し個人情報や機密情報がわからないように処理することによって、元の書類の機密性が担保されます。また、入力精度においても、複数名一致という仕組みを導入し、同一作業に対し複数名で入力と照会を同時でおこなうため精度の高い作業を実現しています。さらに、870万人にのぼる会員がインターネットを通じて活動しているので、予め人員や作業場を確保する必要もなく余計なコストもかからない上、大規模な仕事が発生した場合でも、すぐに作業に取り掛かれるためスピードも担保できます。
このクラウドソーシングの仕組みは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)業界の勢力図を塗り替えるほどのインパクトがあります。今まで、企業の業務負担を減らし安価に処理するために地方に拠点を持つ受託会社が請け負っていた仕事を、マイクロタスク化することで専門知識を持たない一般の人が処理できるようになれば、BPO業界のメインプレイヤーが入れ替わる可能性は十分にあるのです。

「組織図のない組織」が人を成長させ、会社を強くする

今回の上場は3度目の挑戦の結果ですが、これからも企業成長をし続けるには、「組織」とそれを形作る「人材」が何よりも大事だと感じています。優れた戦略があっても実行する人がいなければビジネスは成功しません。しかし、優秀な人材が集まれば、最初の戦略が間違っていたとしても自然と正しい方向へ軌道修正されていくものです。
組織の向かうべき方向性を明確にしたうえでということが前提ですが、優秀な人材を育て組織を強くするために、私が目指すのは「組織図のない組織」です。例えば、「リーダー」というのは、任命されたからリーダーとして振る舞うのではなく、自然に皆を牽引できる人がリーダーになるべきだと考えています。また組織図を固め、役割を定義すれば、自分の範囲外のことに対応できなくなりますが、組織図がなければ誰しもがリーダーになりえます。ウィルスにさらされない人間の身体から耐性が無くなるように、「守る」ことだけで人を「強く」することはできません。条件が必要ですが、あえて組織図を撤廃し役割を固定しないことで、どのような状況でも柔軟に対応できる、ハイパフォーマンスな人材が育つのではないでしょうか。
ビジネスの現場で荒波に晒されながら、ビジネスパーソンとして強くなりたいという意志を持ち、私たちの掲げる世界観を共に実現していきたいと思える方と、今後のリアルワールドを創っていけることを楽しみにしています。

株式会社リアルワールド

Interviewee

菊池 誠晃 氏

きくち・まさあき

株式会社リアルワールド

代表取締役社長

大学在学中に、Web企画・制作の会社を起業。当時から地方社会における格差問題(就業格差、賃金格差など)を意識していたため、インターネットを利用した格差問題の解消を目指し(現状のクラウドソーシングの原型)、上京後にサイバーエージェントを経て、2005年7月にリアルワールドを設立。