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はたらくを楽しくするのがミッション|「人」と「組織」に特化して 社会の課題解決を〝アツく〞担う

「働き方改革」が叫ばれ、「ワークライフバランス」が当たり前の言葉となった昨今。社会が成熟してきたことも相まって、一人ひとりが〝はたらく〟ことを真剣に考えざるを得ない社会になってきた。「総合人材サービス」を手がけるパーソルグループのパーソルキャリアでリクルーティングディレクターを務める佐藤裕氏に、いまの時代にはたらく、ということ。また同社が果たす意義について伺った。

Jan, 15, 2019

パーソルキャリア株式会社

佐藤 裕 氏

いま日本に必要な 「はたらく」の再定義

いま、日本の労働人口は約6500万人といわれています。しかし米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント調査によると、そのうち「はたらくことを楽しめている」と感じてい る人はわずか〝6%〞しかいないことが分かっています。日本は139カ国中132位。世界最低水準で「楽しくない働き方」をしている人が多い。はたらくことに関して大きな社会的課題を抱えているのが、日本というわけです。では、なぜ多くの人が、はたらくことを楽しめていないのでしょう?

それは、時代の変化にそぐわない古い価値観に縛られていることが大きく影響していると感じています。大学3年生の後半になると、当然の流れのように就活の準備を始めますよね。そこで「やはり大手企業が安心だ」「商社か金融だ」という偏った表面的な情報のもと、エントリーシートやグループディスカッションのテクニックばかりを身につける。

しかし、それが有効だったのは10~20年前、日本が右肩上がりで成長し、終身雇用が常識だった頃の話。今や企業の倒産、買収、合併は決して珍しくなく、業界自体が縮小して消えて無くなることも増えた。個人をみても転職は当たり前で、雇用形態も自由度が増している。

つまりはたらくことそのもののスタイルは、かつてよりずっと多様になり、そこから得られる幸せのカタチも、決して一つではないのです。その変化を十分理解していないから、はたらくことに関して、「幸せ」を感じられない人が増えている。

変化の早い時代には、はたらくということに関して、あらためて個々人が意義を見つけ出す必要があります。「自分はこのためにはたらいている」「それが幸せなんだ」と気づき、自己認識できると、皆が幸せを感じながらはたらきだし、結果として日本が今よりずっと活気づく。パーソルキャリアにとってそれこそが「はたらく」ということです。だから私たちはパーソルグループへと再編したタイミングで『はたらいて、笑おう。』というスローガンを掲げている。はたらくを楽しくすることが、私たちのミッションなのです。

会社が率先して2枚目の名刺を持たせるワケ

私は社内で「リクルーティングディレクター」として人事の仕事をしていますが、他にも6枚の名刺を持っています。そのうち2枚は大学講師としての名刺です。もともと教育に強い関心を持っていたわけではないのですが、新卒採用担当として、自ら現場に入って繋がりを得ることで学生たちの本音を知りたいと動き始めたことがきっかけです。その中で8割の学生は「はたらく」ことと入社する動機とが結びついていないと実感しました。そこで大学2年生を対象としたゼミを開き、「はたらく」ことの意義や考え方を学ぶ機会を設けています。

もう1枚は「CAMP」と名付けた、若年層向けキャリア教育支援プログラムのキャプテンとしての名刺です。現場で感じた旧態依然とした就活の意識、実態を「内側から、学生側から変えていきたい!」そう感じ手弁当ではじめた活動です。CAMPでは全国を周りながら、学生のみなさんを集め、「はたらく楽しさとは?」を見つめ直し、探し出すための講演やワークショップを続けています。

おかげさまでそうした機会が増えたので、弊社の代表に提案し、バックアップしてもらうことになりました。社会的意義が高く、会社として「やるべき」と判断できれば、予算を割いてもらえる。この規模になっても代表や役員と近い距離を保てるのも弊社の特徴ですね。

先に述べた「はたらく楽しさ」を提供することは、少子高齢化やニート、フリーター、障害者雇用、外国人雇用などにもつながり、さらに大きな社会課題をも解決することにつながります。それは売上、利益云々の前に私たちが取り組むべきことだと、社長自ら旗振り役となって、走らせてくれるんです。

企業の課題解決だけではない「インフラ」としての役割

いま、人材関連の事業は「いかに効率的に仕組化し、人手をかけないか」ということに力が注がれている傾向があります。あらゆるところにAIが導入され、就職斡旋業の仕事は減ると言われていますが、私たちは早くAI化が浸透してほしいと願っています。

なぜなら、AIにはAIにしかできないことを任せ、人間の内側にある人間にしか気づくことのできない「思い」や「情熱」、本人だけではなく家族や周囲の客観的な意見までをも汲み取ったサービス提供に徹することができるからです。

はたらく楽しみは一人ひとり違う。それは膝を突き合わせて生き方や人生観から語り合うくらいの気概がなければ、見出せないと考えているので、求職者の方のカウンセリングには最も力を注いでいます。個人のはたらく楽しみを見出すためには、これまで培ってきた強みがもっとも活かせると思っています。

一方で、私たちはビジョンとして、「人と組織の成長創造インフラへ」を掲げており、社会の中で「インフラ」になることを意識しています。電気、水道、道路などと同じ当たり前にある社会基盤ですね。

例えば、ある企業の同じ部署でも、時期や状況によって「派遣社員がほしい」「中途でいい人いないか」と人材に関するニーズは多種多様です。従来の人材サービスだと「それなら派遣の部署が」「それはバイトの会社が」と縦割りで要望を受けていました。しかし当グループは全部署を横断して横串のチームが組織されているので、一つの窓口であらゆる要望に対応することができます。こういった事例が「インフラ」へとつながっていると考えています。

また、こうした取り組みは何も企業だけに向けたものではありません。海を渡った韓国では若者の就労が社会問題化しており、国が主導してその対策を講じています。私も韓国へ出張して、若者の日本での就労支援などに関するアドバイスを行なっていますが、パーソルキャリアだからこそ国や地域からの要望にも柔軟に応じられるのです。

そんな多岐にわたる活動を通じて、おそらく日本で一番たくさんの学生に会って思うのは、いまの若い人たちは決してアツくないわけじゃないということ。内側に燈る青い炎に満ち溢れた、面白い人材に日々たくさん出会います。そんなみなさんと一緒にこうした社会課題を楽しみながら、解決する術を探っていけたら、とてもうれしいですね。

パーソルキャリア株式会社

Interviewee

佐藤 裕 氏

さとう・ゆう

パーソルキャリア株式会社

コーポレート本部

パーソルキャリア株式会社のエバンジェリスト兼新卒採用部リクルーティング ディレクターを務める傍ら、株式会社ベネッセi-キャリア特任研究員、株式会社パーソル総合研究所客員研究員、関西学院大学フェロー、デジタルハリウッド大学の非常勤講師、BSテレビ東京『ジョブレボ! ―Job life Revolution―』コメンテーターとしての肩書きも持つ。2016年には、年間207本の講演・講義を実施。これまで3万人以上の学生と接点を持ち、キャリア教育支援プログラム「CAMP」ではキャプテンも務める。また、パーソルホールディングス株式会社にて、グループにおける新卒採用統括責任者も兼務。現在活動はアジア各国での外国人学生の日本就職支援まで手を広げ、文部科学省の留学支援プログラム「CAMPUS Asia Program」の外部評価委員に選出されグローバルでも多くの活動を行っている。