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起業大国アメリカは、若者に何を教えるか。【Babson College編】

Feb, 15, 2017

Babson College

山川 恭弘 氏

Babson Collegeとは?

■卒業生に
・トヨタ自動車代表取締役社長豊田章男氏
・イオン取締役兼代表執行役社長 グループCEO岡田元也氏

■アントレプレナーシップ(起業教育)の分野で17年連続ランキングNo.1

日米のベンチャーキャピタル投資額における著しい差は、新興ビジネスに対する両国の姿勢を象徴しているかもしれない。

世界でも最低レベルの起業意識(起業への自信の有無、起業へのハードルの高低等から測定)などと言われるこの国で、新しい事業を創ることへの前向きな意識は、一体どのように醸成しうるのだろうか。

この答えを探るべく、Babson College教授の山川恭弘氏へ、Babson Collegeがいかにして「起業家」を輩出しているか尋ねた。

批判を歓迎し、潮流を生め。 自我を超えた社会への献身に起業家精神は宿る。

Babsonでは、学部の1年生から起業を体験・体感します。シミュレーションでなく、リアルにビジネスを立ち上げ、事業を経営する機会を提供します。もちろん、実践のみならず理論も学びます。セオリーとプラクティスの融合です。トライさせるだけではなく、まずは「起業家精神とは何か」から始めます。

―では、Babsonが教える「起業家精神」とは

一番の基礎は自分を知ることです。何か「なりたい職業」がある学生に対して、その先に何を実現したいのかを問い、自分が「何になりたいか」ではなく、社会に存在するどのような問題に働きかけるために「何をしたいか」という本質を考えさせるのです。そして本当の「起業家精神」とは、もはや「私が」起業家と呼ばれるか否かという次元を超えた、社会への献身に宿るといえるでしょう。

―日本にいる私たちにも、今日から出来ることはありますか

自分を知るには自身のネガティブな側面に向き合うことも当然伴います。皆さんもぜひ、周りで自分を批判している人を大切にしてください。

そして最も大切なのは行動です。Act→ Learn → Buildとは私たちが常日頃学生に教えていること。悩むより、足を動かして行動することが重要です。そうして、本当に解決したい問題が見つかったら、次は多くの人が賛同し、その問題に向き合う勢い、「Momentum」を生みましょう。なぜなら社会に山積する問題というのは決して一人の力では解決できないのだから。

―ありがとうございます。最後に、世界各国を巡り、米国でも8年間教鞭を執る先生から見て、日本が変わるために必要なことは何だと思われますか

リストを挙げれば限りないですが、日本特有のものとして次の三つが効果的だと考えます。一つは(既存企業発)コーポレートベンチャーが増えること。そのためのインフラ、ストラクチャー、リソース、ならびに(新事業推進的)カルチャーを醸成すること。会社は社員の起業家精神を妨げず歓迎することが大事です。次に、女性起業家のさらなる進出。女性は元々それだけのパワーがあるので、ぜひもっと力を発揮してほしい。DeNAのようなメガベンチャーのCEOが増えることを期待します。最後は、世にいうエリート層が起業すること。トップの大学に通う、いわゆるメインストリームにいる人たちが 「Game Changer」(仕組みを変える人)になることで、社会は変わっていくのではないでしょうか。

Babson College

Interviewee

山川 恭弘 氏

やまかわ・やすひろ

Babson College

教授