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10年・20年先にも価値が残り続けるプロダクトの創り方

新規事業を次々にリリースする会社はあるが、事業を成功させるまでやり抜ける会社は多くない。社員を「起業家」、経営陣を「投資家」と捉え、少人数のチームが粘り強く事業を成功まで導くことで、多数のヒットプロダクトを生み出し続けるDonutsの秘密が今明かされる―。

Feb, 08, 2017

株式会社Donuts

根岸 心 氏

多産多死の時代に、長く愛されるサービスを創る

消費者とコンテンツ、消費者とプロダクトやサービスとのつながりは、以前と比べてはるかに希薄になりつつあると感じています。動画や音楽、SNS、ゲーム、書籍、ブログといったコンテンツの種類が爆発的に多様化し、消費者の余暇時間の過ごし方もそれと比例するように細分化していることも、背景にはあるでしょう。まずは数を稼ぐ戦略を採る企業も増えており、まさに多産多死時代とでも呼べるような状況を迎えています。

多産多死の時代にあっても、私たちはガンダムなど子どもの頃に強く影響を受けたものへの想いを20年たった今でも多くの人と共有できています。同じように10年、20年と長きにわたり愛され続けるプロダクトやサービスを輩出していくことが、創り手としてのDonutsのこだわりです。GoogleやFacebookといったインフラ化したサービスを見てみても、消費者にとって真に価値あるものは長続きしているものです。

私たちも、やるからには絶対に成功させる、その言葉通りにロングヒットを生み出し続けてきました。例えば、「App Store」、「Google Play」の総合年間国内セールスランキング上位に入った『暴走列伝 単車の虎』は、リリースから約5年たった今でもトップランクを維持しています。スマートフォンゲームの寿命はたかだか数カ月、長くて1年とも言われる中での、異例のヒットタイトルです。

資金調達をせず、長期的な視点で意思決定する

Donutsが、外部から資金調達をしていない自己資本比率100%の未上場ベンチャーであり、かつキャッシュリッチであることは大きなキーサクセスファクターだと考えています。社外にステークホルダーが存在しないため、経営の意思決定をきわめて高速に、かつ長期的な観点から行える点は明確な強みです。

事業の成長はあくまでもユーザーに向き合うことでしか実現できないことは明らかですから、中長期的な観点での投資判断を社内で完結させ、ポテンシャルあるプロダクトには相応の時間をかけてじっくり育てることも、合理的な意思決定となります。市場から資金調達した企業においては、外部株主から短期的な収益化への圧力が加わることもある状況とは好対照ですね。

実際、自社で版権を持つ『Tokyo 7th シスターズ』はリリースまでに2年ほど開発期間を置きましたが、現在では小説・マンガ・楽曲・ライブと、多方面にわたるメディアミックスが実現。CDアルバムは、オリコンデイリーチャートで初登場6位を記録するなど、コンテンツとしても高い評価を得ています。

社員は「起業家」、経営陣はそれを支える「投資家」

個々の社員が最大限にクリエイティビティを発揮し、ビジネスを主体的にドライブする存在となれるように工夫していることも、奏功しています。というのも、Donutsでは数名のチームがヒットサービスの創り手となっていることも珍しくありません。たとえば動画コミュニティ『MixChannel』は、たった3人のチームが3カ月でリリースし、月間5・5億回もの動画再生回数を誇る巨大サービスに成長しました。チームを小規模化させることで、一人ひとりが効率化を考え、エンジニアやプランナーといった職域を超えた働きをし、ビジネスにインパクトを与える主役となる。そんな、全員がスタートアップ企業の創業メンバーに近いワークスタイルを好み、自律的に行動できる組織となっていることも、ヒットサービスを継続して生み出せている要因の一つです。

新たなプロダクトやサービスは、経営陣発信で始まることもあれば、現場メンバーが手を挙げて新規に創ることもあります。いわばプロジェクトリーダーが「起業家」、経営陣が「投資家」としての役割を担い、社内での資金調達を行うべく事業計画書を練り上げます。いざGOサインが出れば、資金の投じ方、事業成長の方針などはほぼ完全に任され、まさに一経営者として意思決定していくのです。

新規事業は創るのではなく、成功するまでやり抜く

プロダクトやサービスを投入する領域は限定しておらず、BtoC、BtoBのどちらの分野にも広くチャレンジしていきます。現在でも、従来のエンターテインメント領域でのプロダクトに加え、BtoC領域のWebサービスとして20代前半の女子向けに展開しているメディア『ハウコレ』は月間6000万PV規模にまで成長し、BtoB領域の勤怠管理クラウドサービス『ジョブカン』も10000社以上が導入、収益化も加速しています。いずれもまったくのゼロから立ち上げたもので、Webとゲームの双方で一定の存在感あるサービスが育ってきています。

新規事業は、リリースがメディアに取り上げられることが多い。しかし、実際に大きくヒットさせるまでやり抜くことができている事業は多くありません。新規事業に挑戦したい方は、「新規事業を創れる」という点で会社選びしていると思うのですが、ぜひヒットさせるまで粘り強く挑戦し続けられているかというところにも注目してください。

Donutsには、BtoBからBtoCまで分野横断的にヒットを出すための経験を持った人材が集結しており、多産多死ではなく、小さなチームで一つのプロダクトを何度もピボット・改善させながら「成功するまで」やり抜ける環境があります。万人の記憶に残るプロダクトを創り、多くのユーザーが心から楽しめるサービス創りに挑みたい方と、ご一緒できることを楽しみにしています。

【Pick Up Products】550万ダウンロードを成功させた グロースハック・チームの秘密

MixChannel | スマートフォンで簡単に短編動画を撮影・編集できるアプリ。ユーザーは動画を作成するだけでなく、「歌」「顔出し」「おもしろ」「Love」などにカテゴリ分けされた他のユーザーの投稿動画を視聴したり、期間限定で開催される投稿動画コンテストに参加することができる。 また、お気入りの投稿者のファンになったり、コメントによる交流を行うことができるコミュニティ機能を搭載しており新しい動画体験を楽しめる。

リリースから2年半で550万ダウンロードを超え、月間再生数5・5億回を誇る日本最大級にまで成長を遂げた動画投稿アプリMixChannel(ミックスチャンネル)。少人数のチームで立ち上げ、試行錯誤を繰り返しながらサービスを成功させたグロースハック・チームに、その成功の秘密を聞いた。

左:Donuts MixChannel グループリーダー 西村 洋平
右:Donuts MixChannel ディレクター 鈴木 宏之

プロダクトの成功・失敗を分ける意思決定とは

―Webサービスやアプリを成功させるまでの道筋において、成功と失敗を分けるのは何でしょうか

西村 一つのコンテンツに徹底してこだわりを持ち、PDCAを高速で回し続けられるかが、成功と失敗を分ける最大の要因です。プロダクトのローンチから、どのようなユーザーをどうやって獲得し、運営側が想定している通りにサービスを使ってくれるかが、まずは重要です。その後、獲得したユーザーが思うようにサービスを使ってくれなかったり、ユーザー数の伸びが鈍化したりと、さまざまなことが起きるわけですが、常に分析してすぐに改善に活かせるかどうかが大事だと思います。

共通の哲学を持ち、短期間でプロダクトの急成長を実現

―こだわりを持って、高速でPDCAを回す、そのためにはどんな環境が必要なのでしょうか

西村 全てのメンバーが、コンテンツの哲学をきちんと理解していることです。コンテンツの裏には、哲学が必ず存在しており、そこが少しでもズレていると、アウトプットの細部においては大きなズレが生じます。少人数のチームであれば、しっかりと哲学を共有しやすく、プロダクト全体として創りたいものを一致させられます。ミックスチャンネルも、リリース後運用開始初期はプロデューサー1名、開発2名、マーケティング1名の4名体制でした。この体制で数百万ダウンロードにまで成長させ、一つの流行プロダクトを創り上げました。

フラットな少人数チームで 1年目から自律的に行動する

―少人数で急成長するプロダクトに取り組むことで、個人としても成長機会が多そうですね

鈴木 一人ひとりの裁量が大きく、スピード感も早いです。前職が外資系の投資銀行であったため、入社直後はアプリ開発についての知識はありませんでしたが、アプリの設計やコミュニティの運営を急速にキャッチアップしながら力をつけてきた実感があります。ちょうどMixChannelのユーザー数が急増加する拡大期を経験する中で、日々コミュニティの盛り上がりを感じつつ、企画や新機能の設計に打ち込む仕事はとても刺激的でしたね。結果として、わずか1年間でアプリの全てのページをコンセプトとともに一新し、2016年秋からは新しい試みとして、LIVE配信機能(MixChannel LIVE)もリリースしました。

―少人数チームによるプロダクトの成功を目指すというのは、Donutsにおいて共通の考え方なのでしょうか

鈴木 そうですね。MixChannelだけでなく、ほとんどのサービスは3〜5人のチームでスタートし、リリース後にスケールしたサービスの場合でも多くて20名程度の少人数チームで運用しています。少人数の場合、一人ひとりが自律的に行動することが求められ、新卒だからといって担当領域を制限されることはありません。チームメンバーはフラットな状態で、大企業にあるような主任、係長、課長といった細かな役職や序列もありません。だからこそ、1年目でもしっかり意見することが求められるので、自然と背伸びをして成長していってますね。

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株式会社Donuts

Interviewee

根岸 心 氏

ねぎし・しん

株式会社Donuts

共同創業者兼取締役

東京工業大学大学院総合理工学研究科を卒業後、株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)に新卒1期生として入社。DeNAでは、複数の部署と横断的に関わりながら、基幹プロジェクトに従事。同社を退職後、2007年2月に株式会社Donutsを共同創業し、取締役に就任。