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なぜ経済発展の原動力はHuman Resourceに宿るのか〜ファクトで語る、日本の未来〜

Feb, 06, 2017

アルー株式会社

落合 文四郎 氏

GDP=労働力×付加価値生産性と捉える立場からすると、経済成長は人的資源の量・質と、密接に関連する。この点、日本では少子高齢化に伴い労働力が減少の一途をたどるため、労働者一人ひとりの生産性向上が重要な急務となる。では、人の生産性とはどのようにして高められるのだろうか。科学的アプローチを活用した教育事業を行い、人の生産性向上を通じた企業成長に取り組むアルー代表取締役社長の落合文四郎氏に尋ねた―。

―もともとなぜ教育事業を創められたのでしょうか

父の影響だと思います。数学者だった私の父親は、非常に教育熱心な人でした。小学生のある夏、親戚の別荘に泊まり込みながら、付きっきりであらゆる疑問を解決する論理を教えてくれました。父のおかげで私は理数系の大学院まで進学でき、研究者になるという「選択肢」が与えられた。この原体験から、私は教育が人の選択肢を増やすと同時に、最も自分らしい生き方を選ぶことを可能にするのだと考えるようになりました。

―ではアルーの教育対象が、ビジネスパーソンなのはなぜでしょう

日本の労働力人口が減少を続ける中で、企業が成長を維持するには、ビジネスパーソンを教育し、生産性を上げることが急務です。

しかしながら、現在一般的な企業で人材育成にかけられている一人あたりの研修費は、1年に約3万円と、極めて少ない。このような現状を踏まえても、アルーによる人材教育は社会的に大きな意義を有すると考えています。

教育に、科学的アプローチを採り入れる

―重要なはず、なのにお金がかけられていないのはなぜでしょうか

経営者にとって、この領域への投資判断が難しいからではないでしょうか。人材育成の成果(人の成長)は定量的可視化がしにくい、というのが一般的な認識ですので。ただ、私は可能になると考えていますし、実際にAIをはじめとする科学的アプローチにより、私たちアルーでは可能にしつつあります。

―具体的にはどのように生産性を定義し、これが向上したことを定量化・可視化するのでしょうか

「生産性」は各企業が、将来的にどのように成長したいか、に左右されます。中長期にわたる企業の経営計画を見据えながら、社員がどのような行動の変化を起こすべきか、を起点に定義します。

現在ではグローバル化、多様性の尊重、イノベーションの創出などの変化のベクトルが掲げられており、私たちはその変革の目標に沿いながら生産性を定義します。

また、生産性を捉える上で、人々の仕事に対するモチベーションが変化しつつあることを理解する必要があります。従来企業側は、「昇給」「昇進」により画一的に社員のモチベーションを上げる試みをし、その方法が功を奏していました。

マネジメントに変革を迫る、組織と個の変化

ただ、時代の変化とともに、自らの生き方が組織によって定義される時代は終わり、組織の枠を超えた個人としての充実に価値が置かれる時代が到来したのです。したがって、生産性を考える上で、何が「その人」の精神的充足につながるのか、という問いが重要となりはじめました。この他、上司や経営陣の振る舞いが社員の生産性に大きく影響することなども考慮する必要があります。

生産性を定義した後は、一連のプログラムを通じて生まれた各ビジネスパーソンの行動変化を数値で測定。そのデータをクライアント企業へ提示し、コンサルティングを行います。そして、クライアントの求める目的と結果にこだわり、何年にも渡って一緒に探求し続けるのです。

企業の変革に、第三者的立場から携わる

―落合様は新卒でボストン コンサルティング グループに入社されました。 戦略コンサルティングファームの仕事と、現在のアルーでの仕事と共通するところはありますか

企業変革に第三者的立場から携わることは共通するのではないでしょうか。ただ、変革の対象が”人と組織”であるため、より長く関わり、成果を生み出していくことが求められます。その点、アルーの仕事は難しくもあり、そして面白いと感じています。

―逆にアルーの仕事の特徴的な要素とは

”当事者”として企業の成長にコミットしていることです。クライアントの課題解決に向け、企画からプロダクトの開発を目的に合わせて1から自社で行います。また、研修実施後には更なる成長ステップをお客さまと一緒に考え、目的を達成するまで中長期的・多面的にフォローを続けていきます。

このように、お客さまと伴走しながら一気通貫したサービス提供を行うことができるアルーだからこそ、成果にこだわり、企業の成長を支援できるのだと自負しています。

また、日本の多くの大企業では、人事担当者は3年で入れ替わるケースが一般的です。一方、私たちは何十年というスパンでこの領域における知見を蓄積しているため、高い専門性をもとにクライアントと信頼関係を築けています。

私たち、アルーの環境で働くことで、一つ語れる領域を持ったプロフェッショナルとなることができるでしょう。

アルー株式会社

Interviewee

落合 文四郎 氏

おちあい・ぶんしろう

アルー株式会社

代表取締役社長

東京大学大学院理学系研究科卒業後、株式会社ボストンコンサルティンググループ入社。2003年10月株式会社エデュ・ファクトリーを設立、2006年4月アルー株式会社に社名変更し、代表取締役社長に。総合商社からテレビ局まで、さまざまな業界で企業研修を担当。