ハーバード・ビジネス・スクールにも行かれた経験から、日本とアメリカの違いをどのように感じてますか?
20年近く前に流行ったビジネス界のジョークで、日米の違いが表れていると思います。アメリカでは「一番優秀な人、かっこいい人は大学なんて辞めて起業する。すぐに自分でできない人は中小規模の会社で経営に近い仕事をしたり、コンサルティング会社に行く。それもできない人は仕方ないから大企業に行く。それも無理な人がお役所に行って公務員になる」という話があります。一方で、当時の日本はどうかというと全く逆ですよね。
子供の頃から塾に通って、良い中学・高校に入って良い大学に入って、その後は官僚という既定路線が良しとされていました。
日本の大学生は大手志向の学生が多いのですが、その点どう思われますか?
時代とともに世の中は、必ず移り変わります。
例えば、30年前は、外資系なんて得体が知れず、外資系に行くという選択肢自体があり得なかった時代です。マッキンゼーと日本興業銀行(現・みずほグループ)なら、当然日本興業銀行に行けと周りの大人や友人は言ったわけです。世間で良いと言われるような、その時点での安全パイの選択は、将来的に良くない選択肢となる可能性が高いのです。なぜならば、安全パイの大手はその時点でブランドになっている背景として、過去の時代に最適化された組織であるわけで、これからの時代の変化に最適化された組織とは限らないからです。現時点での大手企業は成長率に限界があり、一方で成長中の中小規模の会社の成長率と比べると大きな差があります。成長中の組織の方が、若くしてマネジメントの経験ができますし、会社が伸びると人も伸びます。当時の大手志向だった人は、将来的に成長機会を相対的に失って損する可能性が高いわけです。
さらに言えば、大企業においてずっとその会社にしかいなかった人と話していても全然つまらないことが多いのです。逆に小さくとも自分で事業を営んでいる人や、新しいことにチャレンジしている人の話の方が断然面白いですし、人間的な魅力もあります。
右肩上がりの日本経済という前提が崩れている以上、これからも日本の大手企業が年功序列を維持し、頑張ったご褒美としてリーダーになれるような組織形態は存続し得ません。これからの時代は、ますます経営力が大事になってくるでしょう。
日本では、経営者を目指す若者が少ないかもしれませんね?
日本では経営者が憧れの職業と見られていないのも問題ですね。金儲けはいけないことだと日本では言われることがありますが、そもそも金儲けは悪いことではありません。大事なことは、儲けたお金をどう使うかです。ビル・ゲイツやウォーレン・バフェットは数兆円単位の私財を投じてファンドを設立しました。そのお金で、全世界からマラリアを撲滅したり、地域差が激しい公教育の格差を埋めたり、社会への還元を考えています。 日本の経営者は給料が安すぎるのではないかと思います。もっと高い給料を払ってあげてその分の働きをしっかりとしてもらうようにすれば良いのです。優秀な人には相応の待遇を用意すべきなのです。そうしないと、日本全体として経営者人材の活力が失われ、経済全体としても衰退する一途をたどることになってしまいます。
最後に学生へのメッセージをお願いします。
若い人は何に取り組むにしても、もっと徹底的にやるべきです。これから社会に出る人は、何でも良いからとりあえずは上を目指すことを考えると良いでしょう。例えば、「希望通りの会社に入る」ことを目指す場合でも、そこで満足するのではなく、その中で一番を目指すくらいの気持ちを持つべきです。オンリーワンはそもそも当たり前の話なので、ナンバーワンを目指すべきです。上を目指さずに、そこに居座ろうと思うことほど、不安定なものはありません。安定志向な人ほど、不安定な状態になるのだということに気づくべきです。
カタリナマーケティングジャパン株式会社
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