就職ランキングなどを見ても、依然として金融業界は人気が高いようです。
昔に比べて、金融の社会的使命は薄れつつあります。社会全体で資金が潤沢になり、資金需要が減ったから、金融商品を作り始めた。賭博場を作って、ただ敗者と勝者というゼロサム構造を生み出しているに過ぎません。例えば90年代の日本では、不動産という金融商品を作ることで、バブル崩壊を招いてしまった。その後、アメリカでも金融資本主義が増長し、残念なことに世界的金融恐慌の引き金になりました。人のふんどしを使って儲けるだけでは、事業を創造して社会に価値を生み出すスキルは身につきません。給料が高いからとか、目先の表面的なことを考えるのではなく、社会的に価値のあることをできるかどうか?という本質的な問いを自分に投げかけるべきです。 金融では解決できない社会的な課題・テーマがあちこちに存在しています。世界的な食糧問題や水資源の問題、医療や教育の問題など解決されるべきテーマに対して、堅実に価値創造に取り組む仕事の方が意義があり、やりがいもあると思うのです。
第二の挑戦ステージとして、医療分野をお選びになった理由は?
「自分は何を目指すのか」これをいつも考えています。そして、より良い医療のために貢献したい、ということを軸に置きました。創業時は57歳で、しかも、医療分野では素人です。法律や規制で固められた魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界に踏み込むなんて自殺行為だと周りからは言われましたよ。
ただ、医療は必需品なのに、充分なレベルで国民に行き届いていない状態で、これから財政が逼迫していく中でさらに、国民にとっての医療サービスが後退していくことは明白です。行政の問題でもありますが、自分たちの責任として、私たちのような民間企業ができることもたくさんあります。実際に、民間の知恵を使ってあるべき医療の姿を実現させようと、教授や医師や医学生の中に飛びみ、少しずつですが変革に関われるようになっています。
あるべき医療の実現に向けて具体的に取り組まれていることをお聞かせください。
例えば、「ドクターズマガジン」という医師向けのマガジンを発行しています。横のつながりが希薄だった医療業界に、新たなコミュニケーションを生み出すことができ、たくさんの病院や医師の方々に喜んでもらっています。ほとんど広告を載せずに、医師の皆様との信頼のネットワークを作ることを優先したおかげで、日本中の医師の皆様から信頼をいただいております。その信頼をベースに、ドクターの立場に立った転職紹介、医療訴訟など備えるリスク管理、情報交換や生涯学習のサポートなどを、従来の大学縦割りの医局に代わって、「新しい形の医局」を提供する「民間医局R」を通して実現できました。人材ビジネスという視点よりは、医療を良くするという視点で今後さまざまな事業展開をはかります。医師に限定せず医療産業に関わる事務職の人たちのキャリア支援や教育、病院向けには病院経営の質を上げるソリューションや、個人向けには医療の情報格差をなくす医療リテラシーの向上に取り組みたいと思います。これらの事業は医療を専門に学んだ人でなくとも、チャレンジできます。社会全体とのつながりを考えて、社会を良い方向に変えたいと思う人にとって、医療のフィールドは最適な分野だと思います。
企業は成長だけが目的ではなく、社会貢献や社会的責任を果たすことも企業のあり方のひとつです。当社は一貫してより良い医療の実現という社会との関わり方をプリンシプル(原理原則)としてこだわり続けています。
最後に後輩へのメッセージをお願いいたします。
今の学生は恵まれすぎて、逆に不幸だと思います。生活には困らない、良くも悪くも政治は安定している、経済も豊かになった。社会構造的に、自分を見つめなおして、何を達成したいのか考える機会を得にくくなったのかもしれません。私が学生だった当時は、日本経済の復興中で学生運動や日米安保の問題など、混沌とした中で人生について考える機会が多く、目標を自分なりに見つけないといけなかったのです。今の学生には、周りが何をしてくれるのか?という受身のスタンスの人が増えてしまいました。社会を意識した上で、その中で自分はどうするのか?を能動的に真剣に考える人が増えてくれると良いと思います。
株式会社メディカル・プリンシプル社
メディカル・ドクターエージェント業
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