職業人としての足腰を鍛えておけ
こざかしく計算している人たちが就職先に選ぶのは、ほとんどが既に有名になった大企業でしょう。人気の企業としてもてはやされているところに、こぞって入っていき、大組織のサラリーマンとしてのキャリアをスタートさせるのです。 ただし、その大企業での出世競争など、しょせん「ごっこ」でしかありません。出世を決めるのは、たまたま上司に好かれるとか、宴会で人気を博すとか、それくらいの違いに過ぎません。その「ごっこ」に勝っても、大企業を出て、自分の名前で仕事をする力はつかないのです。しかもその大企業だって、今後のパラダイムシフトによっていつ潰れるか、落ちぶれるかわかりません。 ひとつ、覚えておいてほしいことがあります。それは、若いうちにこざかしく計算し「うまく世の中を渡っていければ満足」と考えていたような人たちも、40代くらいになると急に「自分が社会に残してきたものは何だろうか、真剣に取り組めてきただろうか」と気になり始める、ということ。特にインテリの人たちは皆そうです。そしていきなり社会貢献とかやりがいとかが大事だ、と言い始めるのです。 しかし、その社会貢献ややりがいを形にできるかどうかは、その前の時間をどう過ごしたかにかかっているのです。すなわち、新卒で社会に出てから10年ないし15年程度の間で、企業の名前に依存しないプロフェッショナルスキルを身につけておくべき、ということです。いわば、職業人としての足腰を鍛えておく時間として、真剣に仕事をして自分のプロフェッショナルスキルを高めることでしょうね。
東大・早慶生へのメッセージ
大企業や、既存のできあがった組織で働くことを否定しているのではありません。そうした安定した働き方があることが社会的には健全でしょう。しかし、皆さんのような東大や早慶の学生には、そんな安定は本来必要ないでしょう。それなりに優秀とされ、社会からも十分な投資を受けて恵まれた環境で学び、優遇されている存在の皆さんですから。漫然と大企業のブランドの寄りかかったキャリアを歩むのではなく、何の保障もない状態で、企業の名前に頼らなくてもどこでも通用するプロフェッショナルスキルを身につけ、ひとりの職業人として勝負できるような人材を目指す道を選んでほしいと思います。