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東京大学法学部を1985年に卒業後、株式会社ボストンコンサルティンググループを経て、国内初の独立系戦略コンサルティングファームである株式会社コーポレイトディレクションの設立に参画、2001年に代表取締役に就任。 その後、産業再生機構COOとして、ダイエーやカネボウなどの大企業から、中堅メーカーまで数々の企業を再生に導く。 現在は2007年に設立した株式会社経営共創基盤のCEOとして、ハンズオン型のコンサルティングビジネスを通じて、創業時・成長段階・再生など、企業の様々な段階における経営支援を実施している。
外資系のコンサルティングファームを経て国内独立ファームを興し、その後も産業再生機構COO、経営共創基盤CEOと独自の道を歩み続ける冨山和彦氏。
東京大学を卒業しながら、安泰な道を選ばず常に社会の第一線で勝負し続けてきた冨山氏に、読者が就職活動をする上で知っておかねばならない社会の動き、その中でとるべき考え方・行動について、アドバイスを語ってもらった。
世の中で普遍的に起こり続けていること-パラダイムシフト
時代々々を作り上げているパラダイムはすぐに変わってしまうものです。歴史を振り返ってみても、20年や30年のサイクルで確実に、パラダイムが移り変わってきているのです。 私が大学を卒業した1985年頃は、長銀(日本長期信用銀行)・興銀(日本興業銀行)が日本の頂点に君臨していました。高度経済成長からバブル期に至るまで、資金の流れを一手に引き受け、絶大な覇権を誇っていました。しかしご存じのとおり、バブル崩壊後の金融機関再編で二行は姿を消し、あるいは名前を変え、権力構造はすっかり変わりましたね。 また逆に、いま覇権を極めているグーグルは、インターネットの普及というパラダイムの大転換前には、誰も知らない企業だったわけです。それが20年もしないうちに、世界のトップを走るような企業になっているのです。
パラダイムシフトはこれからも繰り返す
人間は愚かにも、過去にパラダイムシフトが起こったことは知っていても、今あるパラダイムが変わってしまう可能性は考えないのです。20年前は無名で、今有名な大企業が、この先ずっと有名で覇権を持ち続けると思ってしまうのです。しかし、現在のパラダイムが成り立つのも、それを支えている前提条件があるからにすぎません。技術革新や制度変更などにより前提が覆ったとき、覇権の構造も簡単に変わってしまうのです。
そこで「これからどんなパラダイムシフトが起こるだろうか」と考える人もいるかもしれません。しかし、こればかりは誰も知りえません。あまりにも変化の要素が多すぎるからです。10年先のことさえ確実に言い当てられる人はいないでしょう。
こざかしい計算をしない
いま就職活動をしている皆さんは、現在のパラダイムが長続きしない、ということを頭に入れて、就職先、さらには職業人生全体を考えなければなりません。もしかすると「こういうキャリアを狙えばこれくらいの収入が得られ、こんなポジションにつけて、これだけ余暇も過ごせて」といろいろ計算してキャリアを考えているかもしれません。ただ、パラダイムがどう変わるかわからない世の中で、そんな計算はおそらく全く意味がないでしょう。5年後のことならまだしも、10~20年後に業界および各企業がどうなっているかなんて、誰も答えを持っていないわけです。しかも皆さんが知りえている知識は、世の中の実相のごく一部です。わずかな知識をもとにこざかしく計算しても、何にもなりませんね。 私は元来、こう生きれば正解、なんて言われていたものを信じていませんでした。私が新卒で入社したボストンコンサルティンググループだって、当時は「何その会社?」と言われるような会社でした。今ではコンサルティング自体が日本に浸透し、皆さんがこぞって入りたがるような組織になっています。 今後も、そのようなパラダイムシフトが起こらない方がおかしい。今は名前も知られていないような小さい会社、マイナーな業界が一躍トップに躍り出る可能性もあれば、停滞した伝統的組織が息を吹き返す可能性もないわけではないですよね。