
大手に入ったから大きな仕事ができるとは限らない。
重要なのは、個人に与えられる仕事の裁量の大きさ
就職活動では、あえてあまり規模の大きくない会社に行こうとはじめから考えていました。大きな会社では、えてして会社の歯車となるだけで、やりたいことができないと直感的に思ったからです。ちなみに、多くの学生は大企業に行けば大きな仕事ができると思いがちですが、実際に大企業に行ってしまうと、大きな仕事を達成するための仕組みの中の、ごく一部を担当することが多いと思います。
結果的には、上場した直後の、酒類小売業界で価格破壊をもたらそうとする会社に、システム部門の人間として入社しました。入社当時は社員数が100名程度の会社でしたが、上場を境に急激に拡大していき、数年で300名規模にまで成長しました。
店舗を急激に拡大させていく過程で、システム部でも各店舗の売上の収集や人事の給与データの管理といった経営の根幹に関わる部分を任されたりしました。その中で、私一人が担当する給与データの送信でトラブルになったことがありました。期限に間に合わなければ、社長や役員も含めた全従業員の給与が支払われなくなる状況で、上司からは「全従業員の生活費が懸かっているんだぞ!」と迫られ、人事部長からは「最悪の時は私が銀行にこのデータを持って駆けつけますよ」と励まされながら、最終的に危機を乗り越えました。このような全社に影響を及ぼすような仕事も重荷と感じるよりはむしろやりがいと感じていました。そんな大役のいくつかを弱冠24~25歳の若僧ただ一人に任せてくれた上司には今でも大変感謝しています。
また、小売業は商売の原点であり、わかりやすいビジネスだったため、情報システムが事業全体の中でどのように活かされるのか、ひいては会社経営の流れも、売上・商品・在庫・人事・経理のデータに触れることで学ぶことができました。こういった経験は、急成長ステージにある企業ならではでしょうね。
経営者と直接触れ合うことから学んだ帝王学
その後、より経営に近い立場にかかわりたいと考え、システム開発を手掛ける30名規模の会社に転職しました。 そこでは、経営陣と直接意見を交わす機会が豊富にあり、また業務でも取引先の経営者と共にプロジェクトに取り組みました。ここでの経験は、実際に経営者がどのようなマインドで仕事をしているか、どのような悩みを抱えているかを直接見聞きでき、それまでなんとなくでしか考えていなかった起業についても真剣に考える契機になりました。言うなれば、経営者の帝王学を働きながら学んだことになります。 独立を決心したのは、やはり周囲にいた経営者の影響が強くありました。経営者と身近な距離で接する環境で働き、またフリーランスで誰にも頼らず生きている先輩方を多く目の当たりにし、自然と独立を決心するようになりました。もちろん、雇用の安定を手放すことへの不安はありましたが、独立するなら今しかないという想いで、一歩を踏み出しました。周囲の人からの後押しも多分にありましたね。
ラポール・ラボ株式会社
事業内容:
業務系アプリケーションソフトウェアの開発。経営効率化を図るためのコンサルティング及びシステム開発。その他研修、セミナー、カウンセリング。
所在地:
〒151-0071 東京都渋谷区本町1-40-14カームコート初台303
おかだ・よしひこ●1971年、埼玉県生まれ。法政大学を中退後、酒類小売チェーンのシステム部門やシステム開発会社などで、システムエンジニアとして活躍。経営陣と距離の近い企業を渡り歩き、じかに経営者と向かい合ってきた経験を活かし、2007年にラポール・ラボ株式会社を設立。代表取締役に就任。