日本への危機意識はいつごろからお持ちですか?
スタンフォード大学に客員研究員として行っていた頃です。 特に印象的だったのは、スタンフォード大学内での就職セミナーで、マイクロソフト、IBMインテルなどの大企業の人気が全然なかったことです。スタンフォードの学生にどこに行きたいのか?と聞くと「既に大きな会社には興味ない。社員が3人とか多くても10人までの会社が理想」とか言うわけです。 優秀な人ほどベンチャー企業に行きたがるたくましさに触れて衝撃を受けました。彼らは小さい会社であれ、最初から経営に近く参画し急成長を実現することを希望します。一方で、日本の学生は大きなサイズの会社、流行の会社に就職することが王道と考えます。前職の研究者であったときに、当時学生であったYahoo!の創業者が研究留学で来日していました。同期の話によれば、米国に帰国する際に、学位を取得する前に中退して起業するか、大学を卒業してから起業しようか悩んでいたそうです。結果的に、彼は前者を選択しました。日本では非常識ですが、シリコンバレーでは日常的な行為です。
そういった危機感を持った学生は少ないと思いますが、どう思いますか?
現状では物質的な豊かさの絶対値は問題ないから、危機感がないのは仕方ないことかも知れません。でも問題なのは絶対値じゃなくて変化です。日本の相対的な国際的な地位は、確実に低下の一途です。ここ2~3年で中国に抜かれ、インドやベトナムにも抜かれるかもしれません。中国に出張後に、東京の港区をドライブすると、中国の北京や上海の街並みの方が近代的だということに気づきます。既に抜かれつつあります。最近の日本の景気回復は、中国などの成長による特需であり一過性の景気回復に過ぎません。「日本経済が良くなっている」なんてとんでもないですよ。学生の皆さんは、海外に出て、自分の目で確かめて欲しいものです。
サイバーレーザーの事業の特徴や可能性を教えてください。
レーザー加工の特徴は非接触であり、加工や検査の限界サイズが従来の技術を超えるナノサイズ、つまり刃物で加工できない微細な加工ができる点です。遺伝子分析や創薬の分野でも使えます。昔は大手電気メーカーなどが中心に取り組んでいた分野ですが、今は大企業の基礎研究は縮小し、当社のようなベンチャーが支えている分野です。世界中の国の研究所や大学との提携を進め、各国でトップレベルの研究所の中に共同研究施設を開設し、各国の主要な企業や研究者が当社の装置を使用できる環境を整備しています。自国だけではなく、海外との関係の中でビジネス戦略を考えていく必要があります。日本は特に世界の工場であるアジアの中の経済ネットワークをいかに構築するかが重要で、当社はアジアの企業とも積極的にビジネスを進めています。
サイバーレーザーの経営戦略を教えてください。
マーケティングにより選定された市場に集中投資して独占を目指します。競合商品がいないようなハイエンドな製品にフォーカスしています。インテルに近いビジネスモデルで、光産業のコアとも言うべき、レーザー光源に経営資源を集約し、技術的優位性の維持を図っています。
将来のキャリアについて考える上でのアドバイスをお願いします。
学生時代は勉強だけでなく、友人と遊んだほうが良いですよ。PCやテレビゲームじゃダメですよ。結局ビジネスは人と人ですから、人と接する上で重要なEQを高め、どんどん人とコミュニケーションして、必要なコンピテンシーを磨いてほしいです。キャリアに関しては、はじめから花形でかっこいいことを希望しがちですが、その日その日のことを一生懸命頑張っていれば、その先に道が開けます。最初から花形の仕事ができないからといってすねないで、“楽(ラク)“して成功するなどの都合のいいことは考えず、毎日の地道な頑張りの積み重ねで、経験や成長を積み上げて欲しいですね。
サイバーレーザー株式会社
事業内容:高付加価値の最先端レーザー装置の開発・製造およびソリューション提供
所在地:〒135-8070 東京都江東区青海2-38 テレコムセンタービル東棟2階